城山湖には、流れ込む天然の大河はありません。津久井湖から揚水して発電するために造られた人造湖です。1965年に竣工しました。
旧城山町の小松橋から、小松城跡、龍籠山金刀比羅宮を結ぶ小松ハイキングコースは、城山湖で南高尾山稜に接続します。
神奈中バス: 橋本駅北口 → 東原宿(バス路線多数)
地理院地図: 城山湖と草戸山
城山湖の天気: 相模原市緑区 , 津久井湖 , 八王子市
レポ: 城山かたくりの里から草戸山
5月9日、翌日からしばらく続く雨天の予報を見て、城山湖に行ってきました。小松ハイキングコースでは、ヤマツツジが見頃でした。城山湖の堰堤で弁当を食べ、草戸山を経由して高尾山口駅に降りる短いコースですが、むずむずしていた足を一時的に満足させることができました。
きょうのウォーキングの出発は、相模原市の「川尻八幡宮」参道口に立つ「一の鳥居」からです。橋本駅北口から三ケ木行きのバスに乗り、「東原宿(ひがしはらじゅく)」バス停で下車。信号機のある東原宿交差点まで戻り、少し北に入ると、もう大きな石の鳥居が目の前です。
一の鳥居をくぐって、真っ直ぐな道を歩き続けます。行き着く先は、川尻八幡宮の真正面。立派な注連縄の着いた鳥居があります。この鳥居の前で右折して、県道を北上。小松交差点を通り越し、次の小松橋交差点の少し先に、ハイキングコースの案内板が立っていました。左手の小さな橋から「小松ハイキングコース」に入ることが分かります。コース入口に「龍籠(たつご)金刀比羅宮参道口」と彫られた石柱も立っています。
念のため、案内板をデジカメに収めます。このハイキングコースは、Yahoo!地図、Googleマップ、山と高原地図などを見ても判然としません。ただし、コースはほぼ一本道なので、入口さえ間違えなければ、金刀比羅宮に行き着けそうです。
八重桜の花がふんだんに撒かれた小橋を渡り、ハイキングコースに入ります。軽く登ると、まず竹林が現れました。節の線が白い新竹と、やや黒ずんだ古竹が入り混じっています。人里の色合いはこのあたりまで。ハイキング路は山道っぽくなりますが、ずっとなだらかで、しかもよく整備されていて気持ちよく歩けます。コース途中での眺望は利かないようなので、里山の生きものを楽しむことにします。
小松城跡には案内板が立っていました。でも城跡そのものは風化したのか、すっかり樹木が生い茂って、何がどこやら分かりません。「この辺に城があったんだろうなあ」と思いながら、城跡付近を通過。
コース中には、程よい間隔でベンチが置かれています。丸木を単純に縦に切ったシンプルな造りで、心地よく座れます。金刀比羅宮に至るまで、5箇所にこのようなベンチがありました。
季節柄、あたりは新緑の海です。ヤマツツジの赤い花が、いやでも目に飛び込んできます。萌える緑と、燃える赤。足もとの小さなタツナミソウやジュウニヒトエも見てあげねばなりません。ヒノキ林では、その濃厚な香りに酔ってしまいそうでした。
「評議原」に近づくと、篠笛のような、やんごとない音色が聞こえてきました。曲は「月の砂漠」です。行ってみると、二人の人がデュエットを練習していました。
さらに進むと、ヤマツツジのちょっとした群落がありました。散った花が地面をも赤く彩っています。花の前で写真を取り合っていた人たちに話しかけたら、車でやって来たとのこと。もうここは城山湖が近いようです。
第五のベンチの先で車道と交差し、その先に金刀比羅宮の石段があります。段数を数えながら昇って行ったら、石段を横断中のシマヘビに出会い、ヘビを撮影しているうちに何段まで数えたか忘れてしまいました。
金刀比羅宮からは、新宿、六本木、品川、横浜方面のビル群を示す案内板がありますが、遠望は空気の透明度に依存するものです。この日は、橋本のビル群が見えただけでした。
さて、金刀比羅宮の右わきから背後の牡龍籠山(おたつごやま)に登ってみます。山頂に着くと小さな祠がありました。「航空神社」です。そのとき、どこからかオオスズメバチが飛んできました。丸々と太って、悠然と飛ぶ姿はゼロ戦みたいです。
ハチから逃げるようにして牡龍籠山を下りると、城山湖が見えてきました。公園のようにきれいに造成されて、明るい雰囲気が満ちています。きらきら光る湖水の向うに、高尾山と南高尾山稜の山並みが望めます。
城山湖には、遊覧船、手漕ぎボート、釣り場などが一切ありません。目には美しいのですが、観光施設ではないのです。城山発電所で揚水発電を行うときは、夜間に城山湖の水位が上がり、昼間に水位が下がります。原子力発電の稼動機が減って、節電がいっそう願われる今日、揚水発電所の役割も増すのではないかと思います。
管理道路を歩いて、金刀比羅宮に戻り、堰堤に向かいます。途中にゲートがあり、門限が示されています。4月〜9月は午前9時から午後5時まで、他の月は午前9時から午後4時まで通れるとのこと。
ゲートから5分ほど歩くと、本沢ダムに到着。広々とした堰堤の上で、のんびりと昼食にしました。空はよく晴れ、湖を渡る風が心地よく通り過ぎて行きます。
帰路は草戸山経由です。堰堤の北端から石段を昇り、はなさき休憩所のあずまやから急な階段道を登ります。強いて言えば、ここがきょうのコースで最も骨の折れる場所ですが、高低差が小さいので難なく登ってしまいます。
尾根道のわきで何かを熱心に撮影しているご婦人がいました。みると、キンランが二株きれいに咲いています。この黄色く明るい花は、暗い山林でもよく目立ちます。もちろん、私も撮影しました。草戸山の頂上では、チゴユリを撮影しました。こちらはあまり目立ちませんが、繊細で可憐な花を着けています。こうして道草を不規則に食うので、私のコースタイム記録はあまり参考にならないかもしれません。
草戸山頂からは、四辻に向かいます。途中、「高尾←」とマーカーで手書きされた、左に分岐する道があります。「高尾」のどこに行く道でしょうか?ここは迷わずに、地図と道標に従って四辻に向かうのみ。
ところで、四辻は、かつて十字路だったのでしょうか? 今は、高尾山口への分岐があるだけのT字路です。ここを真っ直ぐ高尾駅に向かうこともできますが、きょうはすでに十分満足したので、高尾山口駅に下りました。
午後3時36分、高尾山口駅に到着。いつも賑わいを見せる駅ですが、改札口もホームもひっそりとしていました。ガラガラに空いた長い電車に乗り、ゆっくりと腰を下ろします。明日からは天気も崩れ、もっと寂しくなるだろうなと思いながら、残った紅茶を全部飲み干しました。
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