大楠山は三浦半島の最高峰です。標高こそわずか241mながら、空気が澄んでいれば、山頂から相模湾、東京湾、房総半島などを広大に展望することができます。
山頂へは四方からハイキングコースが整備されていて、多くの花、虫、鳥たちと出会うことができます。
大楠山は、「花の百名山」と「関東百名山」に選ばれています。
京急バス: 逗子駅 → 新逗子駅 → 前田橋 京急バス: 汐入駅 ← 大楠登山口(本数少ない)
地理院地図: 大楠山
大楠山の天気: 神奈川県横須賀市
レポ: めぐりの森と大楠山
ゴールデンウィーク中の平日、三浦半島方面に所用で出かけた際、大楠山を経由して行きました。この日、黄砂で太陽が薄黄色になるほど空がくすみ、期待した眺望は得られませんでした。しかし新緑の山と渓谷には、多くの生きものたちが黄金のときを迎えていました。
横須賀線の電車は、鎌倉駅で乗客のほとんどが下車し、ガラガラに空いた状態で逗子駅に到着。逗子駅東口の2番乗り場でバスを待ちます。前田橋を通る路線は多いのですが、バスの本数は意外と少なく、午前11時台はわずか4本のみ。発車後も、葉山御用邸までは道路の渋滞で、とても時間がかかりました。
11時44分、前田橋に到着。運賃は360円でした。バス停わきに立つ「関東ふれあいの道」の道標にしたがい、大楠山に向かいます。2分ほど歩くと「お国橋」。ここが前田川遊歩道の起点と書かれているので、さっそく川沿いの遊歩道に下りてみます。
初夏の陽射しが強く、やや汗ばむ日でしたが、水辺の遊歩道は涼しげです。澄んだ水の上を、流れる風も爽やか。流れの中に飛び石が置かれているので、ひょい、ひょいと、軽やかに歩けます。
「大楠山ハイキングコース」と書かれた分岐で川の上に上がります。明るい道端にはハルジオン。少し暗ければニリンソウ。「まむしに注意」と書かれた橋から、大楠山への登山道が始まります。
登山道は始め広く、コンクリートの流れ止めが施されています。新緑の木々が茂り、胸いっぱいに瑞々しい酸素を吸いながら涼しく歩けます。眺望はほとんどありません。カゴシダやウラシマソウなど、日陰を好みそうな植物が道端のアトラクションです。
コースのところどころにベンチが置かれています。三浦半島に関係したクイズと、山頂までの歩行距離が書かれたパネルも立っています。急ぐ道ではないので、全問にチャレンジしましたが、半分くらいしか正解できませんでした。
一つのピークを越え、緩く下ってから、ややきつめの登りになります。道が明るくなるにしたがい、日当たりを好む山野草の花も見られるようになります。タチツボスミレ、フデリンドウ、ヘビイチゴ、ホウチャクソウなど。
山頂が近づくと樹木が切れ、菜の花畑が見えてきます。急に視界が明るくなり、国土交通省のレーダ雨量観測所のタワーが、灯台のようにすっくと立っています。このあたり、ジャコウアゲハがたくさん飛び交い、ハルジオンの花から吸蜜していました。
山頂には「大楠山ビューハウス」と書かれたガラス張りの展望室があり、雨の日でも弁当を食べられそうです。螺旋階段で昇れる展望台があり、私も登ってみましたが、黄砂と霞のせいで、青い美しい海は見られませんでした。
山頂の広場では、咲き始めたツツジが蝶たちを集めています。「のらないで」と書かれたコンクリートのベンチに腰を下ろし、お茶をたっぷりと飲みます。潅木の根元にはシャガの花。
下山は阿部倉コースを取りました。急な階段の道が前日の雨でぬかるんで少々歩きにくいものの、その距離はわずかです。横須賀市の平作川の源流とされる渓谷で、特色ある三つの石橋を渡ります。
阿部倉温泉を経て阿部倉橋までは難なく行けましたが、その先のバス停までの道筋は、分かりにくい上に道標がほとんどありません。私は運よく通りかかった人に道を教えてもらいました。13時48分、「大楠登山口」バス停に到着。昼飯前の山歩きは、2時間で終わりました。
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