城山かたくりの里では、今もカタクリの群落が繁殖・拡大しているそうです。また数多くの山野草が植えられ、深山の花が手軽に見れてしまいます。
草戸山を含む南北に伸びる稜線は、自生する山野草を訪ねながら、家族連れで歩くのにも適したハイキングコースです。高尾山のようには混雑していません。
神奈中バス: 橋本駅北口 → かたくりの里(臨時運行)
地理院地図: 草戸山
城山湖の天気: 相模原市緑区 , 津久井湖 , 八王子市
レポ: 城山湖と草戸山
花: かたくりの里
3月31日、「城山かたくりの里」に初めて行ってみました。カタクリの花は満開から7日目。まだきれいに咲いていました。他にも、ユキワリソウ、アカヤシオ、ヒカゲツツジなど、山の花がみごとに開花。あっけないほど何の汗も流さずに見れてしまいました。その後は、草戸山に行ってシュンランを探訪。東高尾山稜とも呼ばれる尾根を北端まで歩いて、高尾駅のすぐ近くに下り立ちました。
橋本駅のバス乗り場に行くと、「かたくりの里」行き直行便には、長い人の列ができていました。春休みですが、小中学生の姿はごくわずか。ほとんどが熟年男女の乗客ばかりで、全員乗ると、バスはほぼ満員になりました。このバスはカタクリの咲く季節限定で、諸々の花の咲く最盛期には午前8時30分から30分毎に運行されます。私が乗ったバスは、15分で「かたくりの里」に到着しました。
入園する前に、まず入口手前の溝に下り、アズマシロカネソウを見ました。かたくりの里の開花情報はWEB上で容易に見つけることができます。受付窓口の手前にも「現在園内で咲いている花」が書き出されていたので、ざっと目を通しました。関心を引いたのは、「白花かたくり」「大岩うちわ」「黄花セツブン草」「雪割いちげ」など。他に、普通は山の花とされている花の名がいろいろと並んでいます。へえ、すごいなあ、と思いながら、受付で入場券(大人500円)を買って入りました。
入場したら、「かたくりの里花マップ」と「城山湖への山歩きコース」の案内をもらいます。「花マップ」で目当ての花の場所が分かります。もちろん、中には今が開花期ではない植物も。園は半日向の斜面にあり、見学路に沿って色とりどりのユキワリソウほかの山野草が、見るにも撮るにも好適な位置に植えてあります。上の方には、ほうき桃やミツマタなどの花木が多く、そして残り全部がカタクリの群生でびっしり埋まっていました。なんと30万株の日本カタクリがあるそうです。
かたくりの里には、2時間半もいてしまいました。出入口の「おみやげ広場」で、味噌汁用にと菜の花を一袋買って出発。「城山湖への山歩きコース」を見ながら、まず寶泉寺を目指します。歩き始めると、道沿いの小川にアオサギがいて、私と目が合いました。野鳥です。私は、動物園や植物園の持つ意義を、改めて考えていました。動物園でライオンやジャガーを見れても、アフリカや南米に行ってまで、野性の姿を見たい人がいます。きょうは、アカヤシオとヒカゲツツジを1枚の写真に収めるなど、山では考え難いこともできました。でもやはり、私は山に、その山の花を見に行くでしょう。
寶泉寺の脇から、長い斜め階段を登りきって、低い尾根の向こう側に少し下りると、「小松城跡」の案内板が立っていました。これより城山湖まで、小松ハイキングコースです。きょうは気温が平年の5月中旬なみに上昇し、針葉樹の木陰がさわやかで心地よく感じました。途中で50名以上の大パーティーに追いつきましたが、皆さんが次々に「急行ーッ!」と叫んで道を空けてくれました。実はその先の「評議原」で休憩しようと思っていたのですが、急行らしく通過することにしました。
緩い丘を越えると、ヤマザクラの花が咲き始めていました。ここは、5月に燃えるようなヤマツツジの花が咲きます。ハイキングコース突き当りでは、金刀比羅宮の石段を上らず、脇のジグザグ道を通って、城山湖のゲートに行きました。このゲートは、閉門時刻に注意しなければなりません。城山発電所は揚水式で、夜間に津久井湖の水を城山湖に汲み揚げるからです。堰堤で聞こえた放送によると、一日最大28mも水位が変動するとのこと。これにはちょっと驚きました。でも日中に訪れるのには、のどかな湖畔です。堰堤の上から東方を望むと、山々に咲く桜が春の色を添えていました。
城山湖の北東コーナー付近では、湖の中に佇む大きな鯉が見えました。城山発電所の「ポンプ水車」がポンプになるとき、下池である津久井湖から魚の卵を揚げるのでしょうか。もしそうなら、上池(城山湖)と下池には、同じ魚が棲んでいることでしょう。そしてめったにないことらしいですが、北東のコーナーにある余水吐から水が溢れ出ると、境川を流れて江ノ島で相模湾に流入します。小学生グループを引率して、城山湖で理科と社会科の野外授業をしたらどうでしょうか。面白い質問が飛び出して来そうに思います。
クイズを出しましょう。城山湖に流れ込む川はどこにありますか?(周囲をぐるりと見渡しましょう)では、城山湖の水源はどこでしょうか?(天然の水源はありません。強いて言えば、城山湖よりも下にある津久井湖が水源です)こういう水力発電は、「純揚水発電」と言います。相模湖のように、ボートを浮かべて遊ぶことができませんね。何故でしょうか?(水際には鉄柵も設けられていますね)生活排水による汚染がありますが、付近に人家がたくさんありますか?(全然ありません)
さて、「はなさき休憩所」に行くと、桜が咲いていました。「花咲」です。そして段差の大きな階段道を頑張って登り、左に少し下りてまた登ると山頂に至りました。ここは松見平と呼ばれるように、長い尾根上の小さな平地という感じがします。ただ、町田市最高峰という栄えを担っていることと、標高が365mだと思われて、一名「一年山」とも呼ばれたことで、ささやかながらネームバリューがあります。山頂の小高い展望台に上がれば、忘年山行にぴったりの標高になるかもしれません。
下山は、北に続く尾根をひたすら歩いて、高尾駅に向かいます。下り始めると、小学生と幼児たちが、保護者と共に登って来ました。山頂が見える地点まで来ると、「わあーっ」と歓声を上げて走り出すほど元気いっぱい。ご存知でしょうが、子供は「つまらない」ときに、しばしば「疲れた」と言います。この子らの中には、何も荷を持たない子や、脛に絆創膏を張った子もいました。草戸山は家族登山向きの山ですが、山は山です。小さなリュックと長ズボンは用意してあげましょう。
草戸峠では、北西に高尾山を望めます。高尾山は日本でも有数の人気を誇る山の一つですが、その山容を想い描ける人は、あまりいないと思います。私が最も思い出しやすいのは、ここ草戸峠から眺めた高尾山の姿です。その後、梅ノ木平への道を左に分け、高尾山口駅または四辻(よつじ)を指す道標に従って進みます。途中の枝尾根には、かつて多くの立ち木に「⇒高尾方面」と、人を惑わすような落書きがたくさんありましたが、すべて消されていました。
四辻では直進して、明るい展望地に出ました。山林が大きく伐採されて、眼下の高尾霊園と、宅地化の波の押し寄せる丘陵地帯を、広々と眺めることができます。四辻からわずか2〜3分なので、高尾山口駅を利用する方にもお奨めの場所です。私はさらに尾根を北進しました。最後に登山口に至ると、駅への近道である三和団地内を通らず、より楽しい金刀比羅宮経由の山道を歩き、尾根の北端から車道に下りました。高尾駅はすぐそこですが、駅南の大光寺に立ち寄り、枝垂れ桜を見ながら、お腹いっぱいに道草を食いました。
「かたくりの里」の花
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