四月半ば、城山と高尾山を結ぶ稜線は、満開のヤマザクラで春うららの道。奥高尾分岐点付近に群生するミツバツツジも、目の覚める赤紫の花を全開して、このコースの圧巻です。
これを陽とすれば、日影林道に小さなスミレを訪ねる路程は陰。いずれも春の高尾山稜の強い魅力です。
京王バス: 高尾駅 → 日影(小仏行き)
地理院地図: 小仏城山
小仏城山の天気: 東京都八王子市 , 高尾山
わが家の周りのソメイヨシノもすっかり葉桜になった4月20日、裏高尾から日影林道を登って、小仏城山と高尾山を歩いてきました。日影林道では下を見ながらスミレや春の花を探し、城山から一丁平にかけては満開のヤマザクラを見上げながら歩きました。
高尾駅から小仏行きのバスに乗って、日影で下車したのが10時30分。小仏方向に少し歩いて、左手の日影林道に入ります。この林道は城山山頂の無線中継所まで続き、しかも全線舗装されています。登山としては面白みのない道ですが、種々のスミレやニリンソウをはじめとする山野草の宝庫です。
「踏まれて消えた花」という看板が立っています。「植物観察や写真撮影に訪れる人が増え、地面が踏み固められるにつれ、ニリンソウ群生地が縮小・分断化してしまいました。」と書かれています。そもそも林道自体が植生を分断するものですが、私たちも大切な遺産を護るべく、過度な立ち入りは慎まなくてはなりません。
林道で最も目立つのは、ニリンソウです。真っ白な花が一面に咲いた群生地は、とりわけ見事です。スミレや他の山野草は、あまり群生が見られません。あちらこちらにポツリポツリと咲いているのを、宝探しのように見つけ出します。大型のデジタル一眼レフカメラを持っている人が何人か来ていました。何やら怪しげな男性二人組みもいます。
スミレ類は、どうしてか、途中からぷっつりと見られなくなります。数百メートル歩いて、車止めのゲートを越えたあたりから再び現れてきました。
城山山頂が近づくと、無線アンテナの立つ山頂から高尾山方向への稜線に桜並木が望めます。12時42分、山頂に到着。花を観察したり撮影したりして、地図に示されたコースタイムを大幅に超過しました。もちろん、想定内です。
城山山頂には、茶屋があり、広場にはたくさんのテーブルとベンチが置かれています。桜も咲いています。でも、このような人工物の敷き詰められた場所で食事をすることを、私は好みません。山の食事は、土、岩、切り株、倒木などに腰を下ろしていただくのが好きです。
相模湖方面に通じる東海自然歩道の入口にあたる斜面は、明るくて気持ちよく休憩できます。昼寝をしている人も何人か見られます。頂上付近は少し花壇風に造られ、ヒヤシンスやハナモモが咲いていました。園芸種よりも山野草を植えてくれたらもっとうれしくなるでしょう。ちなみに、城山山頂は、私有地だとのことです。
城山から一丁平にかけての縦走路は、期待通り、山桜が満開でした。まだ散った花びらがほとんどありません。行き交う人々の表情にも桜が咲いています。花びらが風に散る頃も、また風情があることでしょう。
奥高尾分岐点のミツバツツジ群生地には、大勢の人が群がっていました。ミツバツツジは明るく澄んだ赤紫色です。これが巨大な花の塊になって、ヤマザクラと共に春を謳歌しています。ミツバツツジの目の覚めるような花色は、ヤマザクラのつつましいうす桃色と対照的です。
縦走路は高尾山頂の手前で、5号路と交差します。私は右折して山頂を巻くことにします。この巻き道を歩いていると、高尾山に来ても高尾山頂を踏まない人がかなり多くいることが分かります。この先、5号路は稲荷山コースと交差し、さらにその先で3号路と6号路に接続します。私は、6号路を下りましたが、この道は、4月29日から5月8日まで、登り専用になると注意書きがありました。
6号路は谷間のコースで、一部がじめじめしています。ここで、ヤマルリソウやハナネコノメに出会う楽しみがあります。日影沢ほど多くはないものの、ニリンソウやスミレ類も咲いていました。
15時29分、ケーブルカーの清滝駅に到着。これから登って行く人たちが乗っています。何を見に行くのでしょうか。東京スカイツリーより低い高尾山(標高 599m)ですが、楽しみ方は多様です。
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