めぐりの森は、三浦半島の中央部、湘南国際村の中にあります。
大楠山は、「花の百名山」と「関東百名山」に選ばれている、三浦半島の最高峰です。
京急バス: 逗子駅 → 湘南国際村 京急バス: 新逗子駅 ← 前田橋
地理院地図: 大楠山
大楠山の天気: 横須賀市 , 湘南国際村
めぐりの森
レポ: 大楠山
5月6日、ゴールデンウィークの最終日、湘南国際村における、めぐりの森植樹祭に参加しました。終日曇り空で肌寒い日でしたが、森作りの実践学習に老若男女、約600名が参加し、3000本のポット苗を密植・混植しました。
JR逗子駅から数少ない「湘南国際村センター」行きのバスに乗ります。車内は植樹祭に参加する人々でいっぱいになりました。湘南国際村入口あたりからぐんぐん高度を上げ、ツツジのきれいなグリーンパークを見ながら、湘南国際村に到着しました。相模湾が望め、晴れていれば富士山も見える、すてきな場所です。
どうしてこんな緑豊かな場所に、たくさんの木を植えようというのでしょうか?まあ、行ってみれば分かるだろう、ということにしました。まずは時間調整を兼ねて、広大な斜面を埋め尽くすつつじを見物。庭師たちの造った密植・混色の美をたっぷり味わってから、ゆっくりと「めぐりの森植樹祭」の会場まで歩きました。テントで受付を済ませます。全部で9班あり、私は第1班だということでした。大楠山がすぐ目の前です。
10時前から協力企業や団体の紹介が始まり、続いて主催者の方々の挨拶。そしていよいよ、世界一多くの木を植えた男、宮脇昭先生がステージに立たれました。生命の奇跡とか、生命を守ることとか、実践的かつ哲学的なことを少し語られてから、植える木の名を教えてくれました。タブノキ、スダジイ、シラカシ、アカガシ、アラカシ、ウラジロガシ、オオシマザクラ…後は忘れました。大切なのは、密植・混植すること。植え方、藁の敷き方、縄の掛け方まで説明され、オリエンテーションが終了しました。いよいよ植樹です。
各班のリーダーが、もう一度現場で植樹の手順を説明してくれました。二人で苗カゴを持ってポットを水に浸す。移植ごてでポット苗の径の1.5倍の穴をマウンドに掘る。苗の根元を持ちながら、ビニールポットを静かに外す。よい土を穴に入れ、地面と同じ高さになるよう根鉢を穴に入れる。すき間を土で埋め、根鉢の外回りをしっかり押さえる。決して根の上から押さえない。ここまで1分でできてしまいます。植える間隔は移植ごて2本分、約60cm。同じ種類の木が隣り合わないように植える。縦・横が碁盤の目にならないよう、三角形をつくりながら植える。
ポット苗は3000本用意したそうです。一人平均5本くらい植えました。次に、マウンドに藁を敷きます。マルチングと言い、地面の乾燥を防ぐ、土の温度を安定させる、草が生えるのを防ぐなどの効果があります。藁は斜面上を流されないよう、軸が水平になるように敷きます。植える場所はすべてマウンドの斜面なので、藁を敷くと足が滑りやすくなります。小さい子供たちは歩きにくそうでした。最後に敷き藁の上に荒縄を張って、藁を抑え、植樹が完了です。
記念撮影が始まりました。班ごと、家族ごと、仲間同士で、個人でお互にと、とても楽しそうです。宮脇先生も快く撮影に応じてくださっていました。この日の夕方に、ケニヤに発たれるそうです。私はお腹が空いたので、テントに行って、ほかほかのチキントルティージャを食べました。もう12時です。午後からはステージで歌やバンド演奏などが予定されていました。私は一休みして、大楠山に向かいます。
大楠山へは、一本道の舗装道路を道なりに、真っ直ぐ下って行きます。下りきると、階段が待っていました。ここからは、ひたすら階段を登って行きます。途中に桜並木がありましたが、もちろん花はとうに終っています。前田橋・芦名口ルートを右から合わせると、山頂はすぐそこ。めぐりの森から、わずか30分で山頂広場に至りました。残念ながら、強風のためでしょうか、展望塔は閉じていました。そのうち雨になるかもしれません。
晴れていれば360度の展望がある大楠山ですが、まあ、こんな日もあるさと思ってあきらめます。植樹祭の時間に雨が降らなくてよかったと思うことにしましょう。めぐりの森植樹祭は元々「雨天決行」なのですが、海から冷たい霧が押し寄せ、小さい子供たちにはちょっと試練の天候でした。植樹祭から大楠山に来た人は、私だけみたいです。「のらないで」と大きく書かれたベンチに腰を下ろし、ゆっくりとお茶を飲みました。
帰りは、前田橋ルートです。山野草の端境期なのでしょうか、花も蝶もトンボもほとんど見られず、道草を食う場面がなかったので、あっと言う間に下山してしまいました。でも、天然の密植・混植を、大楠山はたっぷりと見せてくれました。最後の楽しみは前田川遊歩道です。足下をさらさら、ゆっくりと流れるせせらぎを見ながら、その音を聞きながら、私もゆっくりと飛び石を踏んで歩きました。前田橋から逗子駅行きのバスはたくさんあるので、時刻表は要りません。
この日の植樹祭は、「本物の森」の造り方を練習する、一種の野外授業だったと思います。緑豊かな三浦半島の真っ只中といえども、一旦開発されて表土が剥ぎ取られてしまうと、森がひとりでに再生するということはないのでしょう。しかし樹種の選定や植え方が適切なら、森は造ることができます。表土が流されない、樹木がバッタリ倒れない、山が崩れない、維持に手間がかからない、「本物の森」作りの初歩を楽しく学べた、めぐりの森植樹祭でした。
津波、地震、台風、洪水、大火災などの災害は、いつ起こるか分かりません。かけがえのない生命を守ってくれるような森造りを、この日本は言うに及ばず、世界中に普及させたいという熱意が感じられた、めぐりの森でした。かかわったすべての皆様、ありがとうございました。
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