秋山二十六夜山の山頂付近、ヤマツツジが咲き終わり、ヤマボウシが見ごろでした。
バスの便は極めて少ないので、帰路もバスを利用するのなら、時刻表をしっかり調べておきましょう。
富士急山梨バス: 上野原駅 → 浜沢(無生野行き)
地理院地図: 二十六夜山
二十六夜山の天気: 山梨県上野原市
レポ: 秋山山稜
6月17日、梅雨の晴れ間を狙って、旧秋山村(現上野原市)の二十六夜山に行ってきました。道志二十六夜山と区別するときは、秋山二十六夜山と呼ばれています。
中央本線上野原駅を8時28分に出る無生野(むしょうの)行きの富士急山梨バスに乗りました。このバスは、大都市の路線バスと同じサイズですが、林道のような狭くて曲がりくねった道をスイスイ走って行きます。対向車が来たらどうするのかと、少し心配していましたが、広い道に出るまで対向車はありませんでした。乗客はわずか8名と利用者も少なそうなので、もっと小さな車体にしても良さそうです。運賃はやや高額ですが、浜沢(はまざわ)までの48分間(840円)、ちょっとしたバスハイクを楽しめました。
9時16分、浜沢のバス停で下車。秋山川に架かる橋に、「立野峠」「矢平山コース」との看板があります。山側には「廿三夜」と刻まれた石碑。ここからも二十六夜山に登れるのかは、判りません。草ぼうぼうの道がありますが、何の標識もないので敬遠。西に少し歩いて、「アオゲラの森キャンプ場」から登り始めました。
少々急な尾根を真っ直ぐ登るので、ぐんぐん高度が稼げます。山頂に早く着きすぎてはもったいないので、じっくりと自然を味わいながら登ります。ウツギの真っ白な花、日陰のちっちゃなヤブレガサ、「ゼーリン、ゼーリン」とハルゼミの声など。小さな野ウサギが駆け下りてきましたが、私の手前で驚いたように立ち止まり、急いで回れ右して茂みに飛び込んでゆきました。
小一時間登ると、小さなピークに至りました。西方の樹木が開け、南アルプス方面の山々が望めます。二十六夜山頂からの眺望が望めない季節には、ここでしばらく休憩するのがお奨めです。
これより東方の山頂に向かう尾根道からは、道志の山々が右手に高々と連なって見えます。残っていたヤマツツジの花も増えてきました。コアジサイの青みを帯びた花が、暑い日を少し涼しくしてくれます。
10時50分、山頂に到着。緑の葉が生い茂って、眺望は利きません。「山梨百名山」の杭も朽ちかけて、ちょっと寂しい山頂でした。
山頂まで汗して登った褒美であるかのように、近くにヤマボウシの白い花がたくさん咲いていました。庭や街路にも見られますが、山で見てこそ「本物だ!」と言いたくなる風格と風情とがあります。その近くには二十六夜塔の石碑が立っています。大人の腰くらいの高さがあり、「廿六夜 明治廿二年七月吉日」と刻まれています。
尾崎集落への道を下って行くと、大きな岩が現れました。特に名は記されていませんが、頭に木を生やしているほどの堂々とした岩です。やがて沢の音がかすかに聞こえ、小さな清流を渡ります。ここで顔を存分に洗い、休憩がてら森林浴を楽しみました。
尾崎に下りて、最初に出会ったのはクロネコ宅急便の集配車と郵便バイクです。人口の疎らな村落にも同じ料金で配達してくれるのはありがたいけれども、不採算だろうなあ、と余計なことを考えました。犬が吼え、キンケイギクが風に揺れています。山から下りて人里に入ると、何もかも懐かしく見えます。寺下峠を挟み、矢平山と舟山が青空にくっきり映えていました。
上野原駅行きのバスまで2時間以上あったので、寺下峠を越えて帰ることにしました。秋山川に架かる立派な橋を渡り、大曲橋を渡ると、左手に草ぼうぼうの分岐点。この道を通る人はあまりいないようです。がさがさ歩いて行くと、すぐに草はなくなり、歩きやすい登山道になりました。ほの暗い沢に沿って、ミソサザイがチチッと鳴きながら、すばしこく飛んで行きます。
寺下峠では、電車の時刻表を見て、時間調整のため、舟山に往復しました。舟山は標高818mのピークですが、眺望も標識もない、地味な山頂でした。峠から往復30分ほどです。
寺下峠から塩瀬集落に下りる道は、一部斜面のジグザグ道がザレて、滑りやすくなっていました。このような状況は、高畑山から鳥沢駅への下り道、本社ヶ丸と鶴ヶ鳥屋山の間(ヤグラ跡)から笹子駅に降りる道にも見られます。しかし、きょうの道には延々とロープが張ってあり、安心して歩けました。ここでトレイルランニングの男性が小走りに下って行きましたが、あまりスピードは出せない場所です。ちなみにこの山行で出会ったのは、この男性だけでした。
塩瀬は桂川の作った広い谷を見渡す、景観の素晴らしい里でした。民宿前のベンチでもう一度時間調整をし、この日二度目の里歩きを楽しみながら、ゆっくりと梁川駅に向かいました。
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