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要害山(上野原市)

要害山

午後の日差しを浴びる要害山

日本全国に、要害山と名の付く山は幾つあるでしょうか。この記事でいう要害山は、山梨県上野原市の要害山です。「城山」と同様、展望と防御性とアクセスに優れています。

バス停 富士急山梨バス: 上野原駅 → 鏡渡橋 登山口
バス停 富士急山梨バス: 上野原駅 ← 新井 登山口

地図 地理院地図: 要害山

天気 要害山の天気: 上野原市 , 上野原駅

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コース & タイム 鉄道駅 上野原駅 バス停 8:30 == 8:46 鏡渡橋バス停 8:50 --- 9:09 山神社 9:09 --- 9:44 要害山 10:11 --- 10:27 見晴らしの好い峰 10:31 --- 10:38 岩の峰 10:38 --- 10:52 風の神様 11:08 --- 11:38 コヤシロ山 11:54 --- 12:16 墓村分岐 12:22 --- 12:44 墓村 13:00 --- 13:35 用竹バス停 13:35 --- 14:13 尾続山登山口 14:13 --- 14:57 新井バス停 バス停 15:19 == 15:32 上野原駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
要害山、コヤシロ山 ようがいさん:標高 536m、こやしろやま:610m+ 単独 2016.11.25 全 6時間07分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

11月25日、山梨県上野原市の要害山に登り、雪の稜線を歩いて墓村に下りました。横浜に11月としては54年ぶりの積雪があった日の翌日です。秋山ながら冬山の様相に早変わりしたため、スノーハイクと紅葉ハイクとを同時に楽しめるという徳用版(?)でした。でも木々の枝から絶え間なく落ちてくる雪で、上半身はびしょびしょに。名前に惹かれて訪れた墓村は、明るく美しい山里でした。

段落見出し 鏡渡橋から入山

上野原駅を出たバスが、台地の上に達すると、左手の車窓から雪をまぶした権現山稜が望めました。雨降山に無線アンテナが立っているのが目印です。澄んだ朝の光を受けてキリッと聳える山容が美しく、バスを降りて撮影したいと思ったほどでした。降りる乗客のためにバスが停車するたび、運転士が「道が凍っていますから気を付けて」とアナウンスします。バスもタイヤにチェーンを装着していました。

鏡渡橋バス停で私が降りると、バスは一人残った客を乗せて走り去りました。バス停は橋を渡り終えたところにあります。私は橋の中央付近まで戻って、ゆったりとカーブする鶴川を見下ろしました。流域の田畑は雪で真っ白になっています。バス停に戻ると、掲示板の足に括り付けた道標があり、「要害山登山道入口」とありました。駅前でもらったハイキングマップによると、山頂までの所要時間は、わずか50分となっています。でも雪道ではどうでしょうか。

車道を上って行くと、丹沢、道志、前道志(秋山山稜)の峰々を望めました。前景に先ほど眺めた鶴川を置いて、絵画的な構図になっています。きょうは全く急がないので、立ち止まってとっくりと眺めてやりました。素敵な日和に、素敵なハイキングコース。「当り」です。畑の白菜は、皆おそろいの真っ白な綿帽子のいで立ち。ネギたちはピンと立っていましたが、蕗らしい背の高い野菜は倒れて雪に埋もれていました。

段落見出し ぬかるみと落雪に閉口

行く手に要害山が見えてきました。幼い子供が描いた山の絵みたいに、あるいは砂遊びでお椀に詰めた砂をポンと伏せたような、微笑みを誘う形をしています。かつて要害の置かれた山だけに、展望に優れ、守るに易く、攻めるに難そうな山容ですが、単独峰ではありません。昨日の大雪の跡で、空気がかなり湿っているのでしょう。きれいな青空が出ていたにもかかわらず、山頂は濃いガスに煙っていました。

最初の通過点は、山神社の赤い鳥居。これを右に見ます。ここで道が三つに分かれますが、道標に従って真ん中の道を登って行きます。数分で桜の木の根元に標識が現れ、鋭角に右折するのですが、ここからぬかるみに悩まされました。と同時に、木々の枝に積もっていた雪の塊が、バサッ、ドサッと落ちてきます。この落雪には、その後もずっと、墓村に下りるまで悩まされ続けました。

ぬかるみを抜けると、雪と落ち葉の道になり、俄然歩きやすくなりました。やがて緑の笹も現れ、明るい広葉樹林帯に入ると気分はルンルン、足取りは軽快。道もよく整備されているようです。積雪は足首程度で、当然ながら根雪もありません。念のために軽アイゼンを持って来ましたが、出番はなさそう。雪上には、ウサギのものでしょうか、左右をそろえた足跡が見られました。

段落見出し 山頂に白いサザンカ

山頂は雨雲のような灰色のガス(霧)が立ち込めていました。南面の山座同定のできる大きなパノラマ写真がありますが、景色は見えません。山頂に立つ大杉さえも煙って見えるほど。北面には青空があって、尾続山に続く稜線を望めましたが、ピーク部には濃い霧がかかっています。それより、頻繁に雪のシャワーに見舞われ、カメラごとびしょ濡れになりました。樹上の雪は半ば融けた状態で落ちて来るのです。

突然、陽が差して雪面が輝きました。そしてまた曇り。ガスは動いています。ともあれ、きょうの目的地に着いたので、紅茶ポットとおやつを取り出しました。ベンチがありますが、25cmほどの雪が積もっていて、腰を下ろせません。立ったまま飲みます。熱々のミルクティーは、甘い登山仕立て。おやつは一口サイズのあんドーナツ。遠望は利きませんが、陽が差すとなかなか好ましい山頂です。ガスが晴れれば、素晴らしい眺望も楽しめるはずです。

山頂には、植栽だと思いますが、サザンカの木があって、白い花がいくつか咲いていました。この八重咲きの花は種子を付けるのでしょうか。虫も飛んでこない雪の中にひっそりと咲いて、これは愛でてやらねばなりません。きょうは、時計を気にすることなく、山での時間を存分に愉しんで行きます。

段落見出し 「風の神」へ

次は、「風の神」と呼ばれる峰に向かいます。要害山頂を辞し、道標が「用竹・尾続山」を指す方向に進もうとしたら、南西にきれいな富士山が見えました。西面はガスが薄かったようです。きょうは晴天なので、雪解けによる水蒸気がなくなれば、好展望が期待できるでしょう。「風の神」までは北西に進むのですが、まず途中の570m峰を目指します。スギ林の尾根を下って行くと、鞍部が十字路になって、傾いた石燈篭が立っていました。ここは直進します。

十字路から7~8分登り返すと、見晴らしの好い小峰に立ちました。富士山、道志、大室山、蛭ヶ岳までを望めます。重い灰色のガスは消えて、白い軽やかな霧に変わっていました。よくよく目を凝らすと、蛭ヶ岳山荘も見えています。丸い山頂に、ちょこっと立った山小屋。要害山と似ていなくもありません。この見晴らしの好い峰からさらに7分ほど進むと、大きな岩の峰に立ちました。ここもなかなかの好展望。さらにもう一度下って登ると、「風の神」でした。

「風の神様」と書かれた標識と、小さな祠があります。北面には実成山(みなしやま:609m)とコヤシロ山が白銀をまぶした錦の衣をまとい、西面には枝越しに不老山、高指山、雨降山と、その最奥部に権現山が望めます。富士山から蛭ヶ岳まで、あたかも連山のような山なみも、さらにくっきりと見えてきました。風の神様は休憩中のようなので、私もこの絶好の展望台で休憩します。ここで初めて人と出会いました。単独男性で、コヤシロ山まで行ってくるそうです。

段落見出し コヤシロ山へ

次は、コヤシロ山に向かいます。「風の神」から北に針路を転じ、急坂を下りますが、結び目つきのトラロープがあって、助かりました。鞍部まで下りきると、そこはモミ、スギ、アカマツなどの針葉樹林。この日のルートで最も歩きやすかったのが、ここからコヤシロ山への登りでした。手ごろな枝を拾って、杖にします。散る寸前のカエデの葉に太陽のスポットライトが当たって、とても美しかったのですが、撮影したらその感動が写っていませんでした。

尾続バス停への分岐点にやって来ました。右折すれば、実成山・尾続山への尾根道を経て尾続に下りられます。ここは南西方向が開け、またきれいな富士山を望めました。「コヤシロ山」と書かれた山標識が立っています。駅やバス車内で見た要害山の登山ポスターに使われている写真は、ここからの富士山です。でも地図を見ると、200mほど北東に610m+の峰があります。「コヤシロ山」の標識は、山頂標ではなく、山名標でした。

富士山の前景は、雪をまぶした紅葉の山々。移ろう初冬の一コマをカメラに収めます。さらにセルフタイマーを使って、富士を見ている後姿を自撮りしました。「風の神」で話した男性とは再び出合わなかったので、尾続に向かったのでしょう。ところで、「コヤシロ」というのは、「小社」か「古社」の意でしょうか。あるいは別の由来かな。あれこれ考えながら、紅茶とおやつを口に入れました。この熱さと甘さは、山上ならではの特別な味。ゆったりと休憩しました。

段落見出し 墓村へ

次は、道標が「権現・墓村」を指す方向に進みます。針葉樹と広葉樹の混交林を下って、また登ると、墓村への分岐でした。八重山トレイルレースの目印(方向指示板)があります。真っ直ぐ、黄葉がとても美しそうな尾根道を登って行けば、御林峠です。しばし黄金のような木々を愛でてから、墓村に向かいました。ここからは日の当たらない道になりますが、ぬかるみがなくて、下りに歩くには好都合です。木々の枝には、まだたくさんの雪が載っていました。

墓村には、飛び出すという感じがぴったりでした。パッと明るい山里に出ます。どうして墓村と呼ばれるのでしょうか? 有名なお墓でもあるのかな? 出会ったおじいさんに尋ねてみましたが、「普通の墓ならあるけど」という返事でした。それにしても美しい里です。たまたま目にした雪と紅葉とを差し引いても、郷愁を感じる家の造り、斜面の畑、石垣、ユズの黄色い実、ゆるやかな坂道、等々、墓村は私のお気に入りの山里になりました。

蕗の茎を天日干ししている方がいたので、どのくらい干すのか尋ねたら、「まだまだ何日も、手間を惜しまずに干し続けねばなりません」とのことでした。降雪について問うと、「1月末頃になると降るけれども、雪国ではありません」「鏡渡橋から登って来たのですか。雪が深くて大変だったでしょう」とねぎらわれました。本当に大変だったのは、頭上からの落雪だったのですが、それもここで終わりです。本当に安堵しました。

段落見出し 新井バス停へ

用竹への車道歩きは、笹尾根と聖武連山を眺めながら、また今野地区の風景を楽しみながら、飽きの来ない道でした。面白いのは、聖武連山が次第に競り上がって行く様。いつかこの山にも登りたいと思います。そして用竹から新井へは県道33号をテクテク、道草を食いつつ約1時間20分でした。スタコラ歩けば、正味1時間ほどの道でしょう。途中、畳店の付近から眺めた要害山は、午後の日差しを浴びて、半分赤く、半分青く、くっきりとした輪郭で鎮座していました。

新井バス停のベンチで、初めて腰を下ろしました。まだ温かかった紅茶を飲み干します。来たバスに乗って上野原駅に戻ると、急に寒気を感じました。電車内で、背中にカイロを貼ったのですが、まだぞくぞく。帰宅して下着を脱ぐと、速乾性の発熱下着と間違えて、綿100%の下着を来ていたのでした。着替えるとすぐに暖かくなりましたが、ちょっと反省。歳のせいかな? ともあれ、今回も無事に帰宅できて感謝です。

逆コースで歩けば、用竹から鏡渡橋までの約1時間を、歩かずにすみます。また尾続から入山し、鏡渡橋に下りて、新井まで歩くプランもお奨めです。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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