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ワラビタタキ(赤鞍ヶ岳)

ウバガ岩からの眺望

ウバガ岩からの眺望

ワラビタタキは、道志の山です。地理院地図では無名ですが、本記事では「赤鞍ヶ岳」とも呼ぶことにします。

バス停 神奈中バス: 橋本駅 → 三ケ木
バス停 神奈中バス: 三ケ木 → 月夜野
バス停 富士急バス: 月夜野 → 大栗 登山口
バス停 送迎バス: 上野原駅 ← 秋山温泉 登山口

地図 地理院地図: ワラビタタキ

天気 ワラビタタキの天気: 道志村 , 月夜野


コース & タイム 鉄道駅 橋本駅 バス停 6:20 == 6:52 三ケ木 バス停 6:57 == 7:35 月夜野 バス停 7:50 == 8:12 大栗 8:15 --- 8:36 送電鉄塔 8:43 --- 10:08 ワラビタタキ三角点 10:08 --- 10:15 ウバガ岩 10:26 --- 10:33 ワラビタタキ雨量観測所 10:42 ---(道迷いでタイムロス20分)--- 11:48 細茅ノ頭 11:48 --- 12:16 長尾 12:16 --- 12:36 鳥井立(御牧戸山) 12:50 --- 13:24 送電鉄塔 13:30 --- 13:33 巌道峠 13:34 --- 14:24 金波美峠分岐 14:24 --- 15:19 秋山温泉 バス停 16:30 == 16:46 上野原駅 鉄道駅
※歩行時間には道迷いと撮影の時間が含まれています。
ワラビタタキ(赤鞍ヶ岳) わらびたたき(あかくらがたけ):標高 1256.8m 単独 2016.12.10 7時間4分  満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

12月10日(土)、絶好の晴天日、道志山塊のワラビタタキから鳥井立にかけての稜線を歩いて来ました。ウバガ岩では眺望に陶酔。その後、道迷いもありました。最後に巌道峠から、舗装道路をテクテク秋山温泉まで歩き、足が疲れました。

段落見出し大栗から歩く

道志の山に行くのは、空気の澄んだ秋晴れ、または冬晴れの土曜日がお奨めです。今回も、土曜日限定で乗り継げる、月夜野発長又行きのバスを利用しました。昭和レトロの旧型バスに乗ることを期待したのですが、やって来たのは、ピカピカに輝く今どきのバス。でも乗客はわずか2名で、一人は久保へ、私は大栗(おおぐり)まで、運賃前払いで乗ります。運賃表示板は使わず、運転士さんが運賃表を見て運賃箱に入力し、520円也をPasmoで支払いました。

ところで、バスで道志村に行くと、帰りの便をどうするかが、思案のしどころです。今回の山行計画では、下山候補地として、秋山温泉、奥牧野、月夜野を考えました。このうち、月夜野は、平野峠からの下山路に不明な点があるので、まず除外。巌道峠から久保経由で月夜野まで歩けば安全ですが、交通量の多い国道歩きは初めから候補外です。そこで、平野峠に午後2時までに着けたら、ヘッデンを使っても綱子経由奥牧野へ、着けなければ秋山温泉行きと決めました。

大栗でバスを降りると、右手に大きな石碑があり、「←赤鞍岳」と書かれた小さな標識が西を指していました。そこで西にしばらく歩いたのですが、登山口らしい場所が見当たらなかったので、石碑まで戻り、北に上がる小路に入ってみました。2台のダンプカーが道を完全に塞いでいて、先が見えません。右手の石垣を越えて回り込むと、道の突き当りに赤鞍ヶ岳を指す標識がありました。以後、道標が必要に応じて適宜設置されていて、迷うことなく登山道に入れました。

段落見出し展望好し、スリップには注意!

この登山道に立つ一連の「赤鞍ヶ岳」道標は、ワラビタタキ(1257m)を指すものと思われます。ワラビタタキを「赤鞍ヶ岳」と呼ぶことが、ここでは当たり前なのでしょうか。地理院地図に赤鞍ヶ岳と記された峰(1299m=山と高原地図では朝日山)にも縦走して行けますが、それは屁理屈。名称のことはよく分かりませんが、紛らわしい状態だけはよくありません。ワラビタタキには山頂標がありませんが、山頂標を立てるに立てられない事情があるのかも知れません。

バス停から20分ほどで、送電鉄塔下にやって来ました。素晴らしく見通しが利きます。空は真っ青、富士山は真っ白。道志の山なみも、北丹沢の稜線もくっきりと、爽快なパノラマです。これ以降、針葉樹林帯を除いて、ずっと美しい山々に背中を押されて登ることになりました。でも登山道には枯葉がいっぱい。急傾斜地では、足がズルズルと滑ります。葉が落ちたおかげで景色が見えるのですが、歩きにくくて、予想以上に時間がかかりました。

ゴトウ石と白ペンキで書かれた石があります。謂れの説明板はありません。大した石のようには見えませんが、山と高原地図にも記されているので、現在地の確認には役立ちます。汗をかいたので、上着を脱ぎ、夏山と同じ服装になりました。風はありましたが、歩いている限りは寒くありません。傾斜がさらに増すと、道もジグザグで、特に困難な箇所はなく、縦走路に達しました。道標があり、来た道は「道志村」、直進は「赤鞍ヶ岳」、右は「巌道峠」となっています。

段落見出しワラビタタキとウバガ岩

ここまで省エネ登山で、疲れを感じることなく来ました。でも落ち葉ズルズルのせいで、所要時間が長くかかり、予定より遅れています。すぐにワラビタタキ山頂を目指しました。1220m+の小丘を越え、その先の鞍部から、急登に取り付きます。途中で右に巻き道が分岐していましたが、笹薮を直登する径路がはっきり見えていたので、笹薮に突っ込みました。足下が滑るので、笹を掴みながらグイ、グイと登りますが、下りは大変そうです。

山頂に達すると、雨量計を巻いて、三角点に至りました。今ここに展望はありません。すぐにウバガ岩に向かいました。ワクワクしながら、小笹の道を西に進みます。三角点から6分ほどで、松の木の立つウバガ岩、そこにほぼ360度の大パノラマが待っていました。富士山とともに真っ白な南アルプス! 北岳や甲斐駒ヶ岳が見えます。感激! 勇壮な道志の山々、誘い込むように続く甲相国境尾根、どっしり貫禄の加入道山と大室山。みんな個性豊かな姿と存在感です。

予定時間のことはすっかり忘れて、心ゆくまで眺めました。“カメラでこの感動がどこまで記録できるかな?” “きょうは、ここに来て、本当に良かった!” “それにしても、こんな素晴らしい山、こんなに素晴らしい天気なのに、どうして人が誰もいないのだろう...?” やはり道志はアクセスが不便だからでしょうか。焼山登山口では大勢の登山客がバスを降りたのに。結局この日は、安寺沢に下りるまで、誰にも出会いませんでした。

段落見出し油断、道間違い!

寒くなって、ようやく時間のことを思い出し、ワラビタタキ山頂に戻りました。雨量計の傍らの、日当たりがよく、風を防げる場所に腰を下ろして小休止。定番の紅茶と菓子パンで、エネルギーを補給します。雨量計を囲む柵に、「この施設は、雨量を無線で城山ダムに知らせるためにつくられたものです...」と説明がありました。道志の山は、私の住む横浜市の水源です。城山ダムは相模川を堰き止め、津久井湖を成し、洪水調節や発電など、とてもお世話になっています。

下りは、笹薮でなく巻き道を下りたのですが、こちらの方がずっと簡単でした。先ほど通過した大栗分岐で、道標が厳道峠を指す道に進みます。道というより踏み跡ですが、明瞭なので、何の疑いもなく下りて行きました。ふと気が付くと、南に向かって下っています。縦走路は基本的に東西に延びているので、あまり長く南に下り続けるのは変です。道を間違えたと気づきました。即、戻ります。かなり下ってしまったので、登るのもうんざりですが、仕方ありません。

早く時間を取り戻そうとして急いでも、脚の重いこと! 無理をすれば疲れます。そのうち、どうも道に見覚えがあるような気がしました。これは大栗から登って来た道です。がんばって、池の窪付近で縦走路に復帰するまで、20分強ほどのタイムロスでした。迂闊なミスでしたが、これで覚醒しました。あの素晴らしい景観に陶酔して以来、ホンワカ気分で歩いていたのです。日の短いこの季節、しかも交通の便の悪い山域で、これ以上道迷いで時間を失うことはできません。

段落見出しほがらか尾根道ランラン

1193m峰を軽く越え、幅広の遊歩道のような尾根道を進みます。アップダウンは有りますが、とても歩きやすい道です。小広場のような気持ちの良い場所から少し登ると、細茅ノ頭に達しました。「口笛を吹きながら...」と書いた私製の標識が木に括り付けてあります。口笛を吹いても息の切れない道だし、クマ避けの効果もあるかも知れません。引き続き、緩く下って、緩く登り返すと、落葉樹ばかりの明るい尾根道になりました。ランラン、軽快に歩けます。

長尾の手前の鞍部に、ロープが張られ、立ち入り禁止になっている場所がありました。何か、大きな四角い穴を掘っているように見えます。本当はいけないのですが、覗いてみると、工事中の林道がありました。すでにこの尾根に達しています。さらに林道が延びれば、登山道は一旦林道に下りて、また登ることになるのでしょう。ここには「長尾峠」とでも、名前が付くのでしょうか。張られたトラロープに沿って歩いて行くと、すぐに長尾山頂でした。

その先、アカマツの多い林がありました。ここの松は、元気そうです。そして再び明るい落葉樹の道になり、ランランと歩いて行くと、あっさり御牧戸山(鳥井立)に到着しました。山頂にテレビ中継局と、防災行政無線中継局があります。北面に展望があり、甲州街道筋の向こう側に笹尾根、手前に秋山山稜(前道志)が望めました。稜線漫歩はここで終わりなので、腰を下ろしてお茶にします。熱い紅茶と菓子パン2分の1個で、小さな幸せが胃にしみ込んで行きました。

段落見出し安寺沢ロングウォーク

巌道峠に向かって下ります。前方にムギチロが可愛らしく見えました。富士山は雲で半分隠れていましたが、大室山や檜洞丸がよく見えます。松の落ち葉で滑らないよう気を使いながら下って行くと、故郷の裏山を思い出しました。私の故郷ではめったに雪が降らないので、スキーはできません。そこで子供の頃、「ゴスキー」をして遊びました。「ゴ」とは、落ちて積もった松葉のことです。「ゴ」が分厚いほど、よく滑りますが、きょうは滑る「ゴ」がうれしくありません。

送電鉄塔下で、もう一度好展望を楽しみ、気を引き締めて巌道峠に下り立ちました。時刻は午後1時33分。さて、どうするかです。ムギチロに登れば、平野峠到着は午後3時近くになるでしょう。池の窪付近での道迷いと、滑りやすい落ち葉や「ゴ」の道を慎重に歩いたため、制限時間を30分以上も超過しました。それでは秋山温泉へは、平野峠から行くか、ここ巌道峠から車道を下って行くか。30秒ほど考え、疲れた足に楽チンそうな後者に決めました。

山と高原地図に、「長い車道歩き」と書かれた道を下ります。こんなところは絶対に歩きたくない、と思っていた道ですが、見どころはありました。展望地では東京スカイツリーを望め、安寺沢左岸尾根の恐ろし気な谷には紅葉が残っていました。安寺沢地区の山里風景も、ノスタルジックで、墓村に次ぎ「お気に入り」になりました。巌道峠から金波美峠分岐まで50分。さらに秋山温泉まで55分。計1時間45分。長い車道歩きでしたが、車はほとんど通りませんでした。

段落見出しうれしいメンズDAYと送迎バス

秋山温泉は、0の付く日はメンズDAY、5の付く日はレディースDAYで、それぞれ400円で入浴できます。私にとってはうれしいメンズDAYでしたが、男性よりも女性ハイカーが大勢来ていました。でも何と言ってもありがたいのは、送迎バスがあることです。私は35℃の露天風呂にゆったりと、バスの時間まで目いっぱい浸かりました。風呂から上がると総着替えをし、心身ともに爽快になり、きょうの山行を感謝しながら家路に就きました。

木の葉ライン

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