シモバシラは、シソ科シモバシラ属の多年草で、縦に並んだ小さな白い花を秋に咲かせます。冬の初め、生きた根から上がった水分が、枯れた茎から出て凍り、綿飴のような氷柱が見られます。
気温が上がったり、雨が降ったりすると融けるので、タイミングよく見に行きましょう。同様にして生じる氷の花は、カメバヒキオコシ、カシワバハグマ他、いくつかの植物にも見られます。
津久井神奈交バス: 橋本駅 ← 城山高校前
地理院地図: 大洞山
高尾山の天気: 八王子市 , 高尾山
レポ: 南高尾山稜 , 6号路から南高尾山稜へ
12月24日、クリスマスイブの日の早朝、高尾山に登りました。奥高尾でシモバシラの氷花を探したのですが、残念ながら一つも見つけられませんでした。その後、南高尾に向かったら、わずかながら見つけることができました。
午前6時21分、高尾山口駅に到着。すでに空が白み始めていました。電車は10両編成だったのに、下りた人はごく僅か。駅員さんの会釈を受けながら改札口を出て、清滝駅の方向に向かいます。道はヘッデンを取り出す必要のないほど明るく照らされていました。稲荷山コース登山道に入ったら、多少薄暗くはなりましたが、地面がはっきり見えました。気がかりなのは、全然寒くないこと。氷の花は、空気が冷え込まないと、咲かないのです。
東屋の立つ展望台に来たら、4時の方角から太陽が頭を出す直前でした。日の出時刻をすでに10分ほど過ぎていましたが、水平線上に濃い雲があって、この時がちょうどご来光のタイミング。赤味を帯びた光が、首都の空とビル群を染め始めました。高尾山には何度も来ましたが、こんな光景は始めてです。日の出の方角にカメラを向けると、橋本、町田方面の都市がまぼろしのように、赤い雲に浮かんで見えました。
高尾山頂もひっそりとしていました。人影がありません。まずは大見晴台に直行し、富士山と丹沢・道志の山々を、特等席で鑑賞しました。初冬の早朝、澄んだ空気のかなたにすばらしい山並みを見放題です。なぜか大山の端正な姿がとても印象的。冬至前後、高尾山はダイヤモンド富士の見られる時季ですが、さすがにまだ三脚は一つも置かれていませんでした。
さて、山頂を後に、シモバシラの探索に向かいます。奥高尾方面に下り始めたら、笹の中に雪が残っていました。雪が融けて水になるとき、そのときあったシモバシラは融けてしまっことでしょう。どこかに新鮮なシモバシラがあるでしょうか。まずはもみじ台の北面のまき道が期待の場所ですが、一つも見つけられませんでした。草の根を分けてまで探したわけではないので、もしかしたら小さなものがあったかもしれません。
引き続き、一丁平まで尾根北面のルートを歩きました。宝探しのように、鵜の目鷹の目でシモバシラを探しましたが、残念、大ハズレ。ところで、一丁平展望デッキ手前の地面に、霜柱が立っていました。歩くと、ザクッと音がします。仕方がないので、本家(?)の霜柱を撮影しました。展望デッキで再び美しい富士山を眺めます。宝探しをどうするか考えました。時刻は午前9時をわずかに回ったところ。時間がたっぷりあるので、南高尾山稜にシモバシラを探すことにしました。
一丁平から大垂水峠に向かう道は、幅広で気持ちのよい道ですが、秘密の抜け道のように静かです。出会ったのはトレイルランナー一人のみ。この方に、シモバシラを見かけなかったか訪ねてみようかと思いましたが、やめておきました。大型カメラを持った登山者に出会ったら、尋ねていたことでしょう。
大垂水峠を越え、大洞山に向かって登って行きます。ここまで来ると、もう草の根を分けても見つけてやるぞ、という気持ちになっていました。そして、大洞山手前のベンチ付近で、やっといくつかのシモバシラを見つけました。あまりたくさんはありません。でも、よくぞ見つかってくれました。さっそくカメラを向けます。氷の花は真っ白いので、簡単にピントと露出が合ってくれる、撮りやすい被写体と言っていいでしょう。
地面すれすれのアングルで撮影していたら、通りかかった男性から、「何かありますか?」と尋ねられました。「シモバシラです。」と答えると、「しもばしらができると滑りやすくなりますね。」と言って行かれました。
シモバシラは僅かしかなかったので、撮影はすぐに終わり、大洞山山頂のベンチで昼食にしました。宝探しもここまで。登山靴を脱いで、スニーカーに履き替えました。ここからは、ゆる尾根の陽だまりハイクです。アップダウンの激しい北高尾山稜では、こうは行かないでしょう。樹々の間から、きれいな富士山が見えていました。
南高尾山稜の楽しみの大きな一つに、中沢山と入沢山の間の展望地があります。富士山は頭が見えるだけですが、津久井湖を前景に、丹沢山塊を一望するパノラマはこのルートの圧巻です。三ケ木の町の向こうに見える三角の山は、仙洞寺山でしょうか。ベンチに腰を下ろし、眺望を楽しみながらお茶でも飲んでゆきましょう。どこの里からか風に乗って、正午を告げる優しいメロディーが耳に。もっと休んでゆきなさい、と語りかけられているようでした。
峯ノ薬師からは、東参道を下りました。途中、三嶋神社で小休止。境内にはスダジイの巨樹があります。かつてここにあった城山町(現・相模原市緑区)の立て札によれば、樹高20m、樹齢推定400年だそうです。神社では、冬休みに入ったらしい子供たちが、かくれんぼをしていました。鬼ごっこや缶蹴りなど、いろいろと遊べそうな場所です。
津久井湖畔の「水の苑地」では、植えられたルピナスの幼苗が太陽の光を浴びていました。津久井城山があるので、冬場の日当たり具合はどうでしょうか。ここは桜も有名ですが、ルピナスの花の見頃は、さぞきれいなことでしょう。さて、城山高校前バス停まで、あと5分足らずです。
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