シダンゴ山の魅力は、何といっても山頂から望める360度のパノラマ。天候に恵まれれば、丹沢、富士、箱根の山々はもちろん、相模湾の向こうに房総半島、伊豆半島、大島などを雄大に望めます。
寄バス停から山頂までの標高差は、約500m。登山路はよく整備され、家族や仲間とのハイキングにもお奨めです。
富士急湘南バス: 新松田駅 → 寄 富士急湘南バス: 新松田駅 ← 田代向
地理院地図: シダンゴ山
シダンゴ山の天気: 松田町 . 寄バス停
シダンゴ山の由来
レポ: 檜岳山稜・シダンゴ山
2月18日、山の仲間たちと、丹沢山塊の南西部に位置するシダンゴ山に行ってきました。前の晩から降った新雪の輝く山頂で、すばらしい展望を楽しむことができました。
午前8時、小田急線新松田駅に到着。跨線橋の上から見える、大きく真っ白な富士山と箱根の山々。早くも大歓迎を受けるような気分でわくわくします。
寄(やどりき)行きのバスは、駅前ロータリーの3番乗り場から出ます。隣の2番乗り場には、玄倉経由西丹沢行きのバスを待つ人々の長い列。低山ハイクのような軽装の人がほとんどですが、檜洞丸を目指すのでしょうか?
私たちのグループは男性のみの3名。他に女性3名のグループを乗せただけで、がら空きのバスは定刻どおりに発車。道路が凍結しているので、ゆっくりと走って行きます。左側の座席を取ると、深い谷がよく見え、慎重に運転する訳を体で感じられます。
8時50分、寄に到着。バス停に隣接する、「寄自然休養村管理センター」に立ち寄り、トイレを済ませます。センターの小母さんが、「日陰ではスリップに注意してください」と親切な言葉。空は真っ青な快晴。風は微風か無風。絶好の登山日和です。
出発してすぐに渡るのが、中津川に架かる大寺橋。この橋は欄干をたたきながら歩くと「おうまのおやこ」のメロディーが奏でられると聞いていたのですが、残念、景色に気を取られて、たたき忘れてしまいました。次回のお楽しみです。
シダンゴ山を示す道標はたくさんあり、迷うことがありません。はじめ民家の間を通り抜け、やがて茶畑の中を通って行きます。霜に弱い茶の木には、砂糖か真綿のような軽い新雪が積もっています。日がもう少し高くなれば溶けてしまうでしょう。コンクリート舗装のこの道は、農作業に使う道でもあるのでしょうが、かなりの傾斜があります。歩き始めて早々に、正月以来の運動不足の体を反省させられます。
坂道を振り返ると、のどかそうな寄の集落がよく見えます。茶畑がたくさんあるのは、気候が温暖なのでしょう。中津川沿いに暖かな空気が太平洋から流れ込むのかも知れません。この日、このあたりの気温は、午前9時半で約2℃でした。
コンクリートの農道をかなり登ったところでまた振り返ると、遠くに海が見えました。金色に輝く相模湾です。24金のようにきれいです。何か宝の海みたいです。
猪の防護柵をくぐると、杉林の連続でした。暗い登山路に、雪が溶けずに残っています。時おり風が吹くと、杉の枝に乗っていた雪がキラキラと粉のように舞い散ります。木漏れ日が、舞い落ちる粉雪を貫いて、幾条(すじ)もの光のショーを見せています。黒々とした樹幹越しに見える相模湾は、さらに金の純度(?)を増したかのように輝いています。
大きな松の倒木がありました。ここで初めて休憩にします。冷水専用の魔法瓶に入れてきた紅茶は、まだ温かく飲むことができました。私は、行動食のヨモギ餅を1個食べます。
山頂に近づくにつれて、積雪が増えてきました。といっても踏み締めるほどもない深さです。やがて馬酔木の植え込みが現れ、これを抜けると山頂でした。自ずと、真正面の富士山に目が行きます。右手前の達磨山(ダルマ沢ノ頭)に隠され、富士山は山頂と左肩の稜線だけが望めます。この風景は、誰が言い出したか、「奥ゆかしい富士」と紹介されます。青空に聳える真っ白な富士山は、晴天の日にいつもそうであるように、崇高な美を感じさせます。ただ、この構図だけは微妙です。
次に目が行くのは、丹沢の最高峰、蛭ヶ岳。日本アルプスにも劣らない、堂々と白銀のいでたちです。その向かって左の前衛は、伊勢沢ノ頭、檜岳(ひのきだっか)、雨山と続く山稜。山びこが返ってきそうな距離です。一方、右の前衛は鍋割山稜。骨太の尾根を幾本も、しっかりと張っています。
(時計回りに)その右へ目をやると、おお、これは巨大な三ノ塔。頼もしげな広い山頂に、見覚えのある避難小屋が見えます。その右手には二ノ塔を挟んで、大山が凛として鎮座。神奈川県随一の霊峰です。自宅からは、大山をいつも東側から見ているのですが、山容に冒すべからざる品位があるのは、西側から見ても同じです。
さて、海を忘れてはなりません。相模湾の向こうに大きな房総半島、右に伊豆半島。逆光ですが大島もはっきりと望めます。金色の海は、肉眼には見えるのですが、うまく撮影できないのが残念です。シダンゴ山は、海を見る山でもあるのです。
箱根の駒ヶ岳、神山、金時山を見ると、富士山に戻ります。山頂に二人組みの女性が来ていましたが、その一人がもう一人の方を指して、「この人は金時山に千回も登っているんですよ」と話してくれました。私たちはびっくりしましたが、その方は「三千回登った人もいるんです」と涼しげな顔で言いました。
山頂には腰を下ろすところがありませんでしたが、30分以上も立って景色を眺めていました。飽きません。桜の木が2本立っていますが、花の季節はどんな丹沢が見られるのでしょう。名残を惜しみながら下山の途につきます。
登ってきたのとは反対側に下ります。こちらは寒風が吹いていましたが辛い寒さではありません。それも林道秦野峠への分起点まで。ここから宮路山に向かいます。ここから先は、所どころに穏かな陽だまりが見られ、登山路も緩やかでした。
宮地山の山頂は、山頂標こそ立っていますが、それだけでした。落ち葉の斜面に腰を下ろし、最後の休憩を取ります。あとは、田代向(たしろむかい)に向かって下るばかりです。
田代橋を渡って、左に行くと、細流(せせらぎ)山荘という湯があります。私たち三人が入浴したいと言うと、湯を温めてくれました。湯は大きな浴槽が一つだけの、極めてシンプルな造りです。貸しきり状態の湯に浸かり、思い切り手足を伸ばし、存分にくつろぎました。
Alt + < = 戻る。 Alt + > = 進む。 Internet Explorer では、最後に Enter を押してください。 了解