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奥武蔵10峠めぐり

真っ赤に燃えるヤマツツジ

関八州見晴台のヤマツツジ

ここでいう10峠は、旧正丸峠、サッキョ峠、虚空蔵峠、刈場坂峠、檥峠、飯盛峠、七曲り峠、花立松ノ峠、傘杉峠、顔振峠です。

地図 地理院地図: 旧正丸峠 , 関八州見晴台 , 顔振峠

天気 奥武蔵グリーンラインの天気: 飯能市 , 越生町 , 吾野駅 , 関八州見晴台

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コース & タイム 鉄道駅 正丸駅 7:13 --- 8:26 旧正丸峠 8:27 --- 8:57 サッキョ峠 8:57 --- 9:22 虚空蔵峠 9:22 --- 9:50 刈場坂峠 9:58 --- 10:08 ツツジ山 10:19 --- 10:50 檥峠 10:51 ---(フウリンツツジ探し約40分)--- 11:59 飯盛峠 12:00 --- 12:34 関八州見晴台 12:59 --- 13:09 七曲り峠 13:09 --- 13:22 花立松ノ峠 13:23 --- 13:53 傘杉峠 14:07 --- 14:51 顔振峠 15:11 --- 16:10 吾野駅 鉄道駅 16:38
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
単独 2018.04.29 全 8時間57分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

4月29日(日・祝)、関八州見晴台を中心に、奥武蔵のハイキングコースを歩いてきました。ねらいは山に咲く色々なツツジ。ヤマツツジが満開になるのを待って行ったので、これは期待どおりだったのですが、1本しかないという貴重なフウリンツツジは見つけられませんでした。この日は気温が上昇したことと、舗装路歩きが長かったことで、コース中盤バテ気味に。題の「10峠めぐり」は、そのように計画した訳ではなく、山中を歩いていて思い着いたものです。

段落見出し 正丸駅から旧正丸峠へ

大型連休の混雑を避けるため、自宅最寄駅の初電に乗りました。八王子駅での乗り換え時間は、わずか2分。「乗換案内」では表示されない5時51分発、川越行き電車に乗らねばなりません。八王子駅に到着すると、6番線から1番線に向かって、階段を猛ダッシュ! 奥多摩方面に行くときの定番行事なので、ここは慣れたものです。川越行き電車は、駆け込み客が乗り終わると、ほとんど同時に発車。乗れた人は涼しい顔をしています。休日で、車内はほどよく空いていました。

順調に進み、正丸駅のホームに下り立ちました。駅舎を出ると、すぐ右手にある斜め階段へ。伊豆ヶ岳方面に行くときに通る、平衡感覚のおかしくなる階段です。きょうは見るだけで、降りません。そのイメージを掴んでから、駅前広場に戻って、柔軟体操をしました。旧正丸峠へは、駅から左手の橋を渡って、国道299号を300mほど歩き、道標を見て狭い道に下ります。高麗川の源流であるせせらぎに沿う道を、花や人家を見ながら、散策気分で集落を抜けて行きました。

たぶん最後の民家の前だったと思いますが、ミニ野草園みたいに、アマドコロや白花タツナミソウが咲いていました。何と、クマガイソウもあります。その先の畑地には、チチブドウダンでしょうか、真っ赤なドウダンツツジの花がびっしり。右手の山腹には、新緑にからむヤマフジのうす紫がきれいです。そして道が、ほの暗い杉林に吸い込まれて行くと、代わって現れたのが、ウツギ、ガクウツギ、名前の判らないネコノメソウなど。シダロードもありました。

段落見出し 旧正丸峠から刈場坂峠へ

駅から50分ほどで、林道に飛び出しました。左に100mほど坂道を上って、右手の山道に入ります。少し勾配の急になった山道をさらに20分ほど登ると、旧正丸峠が見えてきました。尾根道と峠道が交差する、現役の十字路です。かなり汗をかいたので、峠でベストを脱ぎました。ここ旧正丸峠から先、顔振峠に至るまで、林道区間を除き、ほぼ尾根歩きになります。地図を見て、きょう通過する峠を数えたら、10ほどあることが分かりました。その第一番が、旧正丸峠です。

さて、尾根道は幾つもの小峰を越えて行きます。アップダウンが緩やかなので、足腰にきつくはありません。その三番目の小峰に、ヤマツツジの群落がありました。鮮やかな赤からサーンピンクまで、花色には個体差があります。美しくも野性味のあるヤマツツジ。これだけ開花していると、行く先が楽しみです。そして次の四番目の小峰から激下りになりました。結び目付きのお助けロープがあります。ここを下りきると、サッキョ峠。交差する峠道は現存していません。

山道には、点々とフモトスミレが咲いていました。この先もずっと見ることになるとは知らず、何度もカメラを向けてしまいます。虚空蔵峠から刈場坂峠へは、近道である林道を歩きました。ロードバイク(自転車)が空気を鳴らし、一列縦隊で下って来ます。皆さん、路面の状態が良いことを調べてあるのか、爽快なスピードです。この道の制限速度は20km/hだということが、後で分りました。先頭の人が私を見ると、後方に合図を送り、私を避けるように走って行きます。

段落見出し ツツジ山

広々とした刈場坂峠に到着。バイク、自転車、スポーツカー、飲み物を売る車などが見えます。北面に立つと、素晴らしい眺望がありました。電波塔の点々と立つのは、剣ヶ峰、堂平山など、外秩父の山なみ。最も左に見える、パラボラアンテナの峰は、丸山でしょうか。ところで、ハイカーの姿がありません。林道でありながら、一種の山上ハイウェイのような奥武蔵グリーンライン。そのパーキングエリアのような刈場坂峠。黙って通り過ぎる人もありかな、と思いました。

刈場坂峠のトイレを使い、横見山に向かいました。林道から右手の山道に入り、神素盞鳴大神(かむすさなるのおおかみ)の祀られた祠をちょっと覗きます。傷んだ階段道を少し登ると、「ツツジ山」という山頂標の立つ三角点峰でした。この峰の名称は、横見山ほか、諸説あるようです。山頂のツツジ群を保護しているので、いずれ美しいツツジの山になるに違いありません。何株かのヤマツツジが美しく咲き、ウスバシロチョウが舞っています。ここで昼食にしました。

ツツジ山、あるいは横見山は、本日の最高点ですが、刈場坂峠から10分で登れてしまったため、達成感がありません。このレポの主題とするには、燃焼度が不足です。そこで考え着いたテーマが、「10峠めぐり」ですが、果たしてそれぞれの峠で、何と出会い、何を感じられるでしょうか? 行って見なければ分かりません。まだ残っている6峠を楽しみに、腰を上げました。次は檥峠(ぶなとうげ)。ツツジ山のツツジをもう一度愛でて、山道を下って行きました。

段落見出し 奥武蔵グリーンライン

ツツジ山山頂から8分ほど下ると、「林道に出ます。注意しましょう」という看板がありました。「関東ふれあいの道」は、林道への出入りを頻繁に繰り返す道です。舗装された林道を歩いて行くと、バイカー(自転車乗り)やランナーが、次々とやって来ました。ランナーたちは5月19日開催のレースに備え、下見に来ているのかと思ったら、コースの山道は走らないで、林道だけを走っています。奥武蔵グリーンラインは、サイクリングとランニングの人気コースのようです。

林道(ここでは奥武蔵グリーンライン)は当然ながら、途中の各峰を巻くように造られています。そのために、関東ふれあいの道が山道になるのは、峰を越える区間だけです。普段の山歩きでは、名もない峰はできるだけ巻き道を歩くものですが、ここでは巻き道(=林道)があるのに、わざわざ時間と労力をかけて峰越えをします。考えようによっては、アホらしい歩き方ですが、そうしないと、舗装道路ばかりを歩くことになってしまいます。

檥峠の十字路には、バイクを停めて休んでいるツーリングのグループがいました。私が休憩するような場所ではないと思ったので、撮影だけして通過。林道がUターンする直前で、フウリンツツジ(シロヤシオ)を見に、脇道へ入ります。その入口にあった「フウリンツツジ」の道標は撤去され、ロープが張られていました。ロープの先は二俣です。ここには、道標を掘り出した跡がまだ残っていました。右の道の終点まで行って見たのですが、それらしい木が見つかりません。

段落見出し 関八州見晴台へ

うーむ。木はどこかにあるはず。ゴヨウツツジなら、花がなくても、葉が開いてなくても、見分けられます。二俣に戻り、林の中を探し、また二俣に戻って、左の道も探してみました。白い花はどこだ? 5枚葉はどこだ? かれこれ30分以上費やしても見つけられませんでした。残念ながら、今回はあきらめることにします。林道に戻ると、暑さのせいもあり、がっくり疲れました。次の飯盛峠に向かいます。関八州見晴台のツツジを楽しみに、トボトボ歩いて頑張りました。

林道の左手の山道に入り、電波塔の立つ峰に登ると、「飯盛山 816.4M」と書かれた山頂標が立っていました。どうやら、飯盛山の位置についても、諸説あるようです。この飯盛山を下ると、飯盛峠でした。ここは、越生町の山域に入る道を左に分ける、T字路です。いつか、その山域の羽賀山、あじさい山などを歩く日もあるでしょう。その先で再び左の山道を登って下りると、林道梅本線終点。そしてp770mともう一つの小ピークの先に、関八州見晴台がありました。

関八州見晴台は、ハイカーで賑わっていました。皆さん、腰を下ろして食事を楽しんでいます。眺望は、すぐに分かる武甲山ほか、主に奥多摩の山々ですが、春霞で薄くしか見えません。でも案内図があるので、これを見ながら山名を知ることができます。しかし、この峰の魅力は、何と言っても、今咲き誇るヤマツツジ。この花の赤は、幸せ感を醸す色です。顔を寄せて見つめると、花弁に円みがあり、小ぶりで可愛らしい花。園芸種の系統かも知れないと思いました。

段落見出し 顔振峠へ

美しいツツジを見ながら、長めに休憩したので、かなり元気を回復しました。引き続き、関東ふれあいの道を東に進みます。高山不動尊奥の院を後にして、やや急な山道を下って行くと、狭い峠にピョンと下り立ちました。峠の名は書いてありませんが、標柱が1本あり、四寸道が分岐していることから、七曲り峠だということが分かります。この峠が第七番。ここから登り返してまた林道に下りた地点が、花立松ノ峠。黒山三滝に通じる林道猿岩線を左に分けます。第八番。

以後は話を端折りますが、相変らず山道と林道の出入りを何度も繰り返しながら、傘杉峠へ、そして顔振峠へと至りました。いずれも現役の十字路です。顔振峠は展望に優れていますが、私が楽しみにして来たのは、風影(ふかげ)の山上集落を望むこと。好い展望地を探して行ったら、摩利支天の横の小さな緑地に格好の場所ありました。風影は、昨年の秋に歩いて記憶に焼き付き、今眺めても、懐かしさを憶える風景です。できれば八徳にも行きたかったと思いました。

この緑地には、ウスバシロチョウがたくさんいたので、しばらく休憩を兼ねて蝶たちをカメラで追い駆けました。ウスバシロチョウは、半透明の白い翅を持つ、小型のアゲハチョウです。ギフチョウとともに、スプリングエフェメラル(春の儚い命)であり、春の一時期にだけ舞う姿が見られます。私は思わぬ得をした気分になって、先ほどの疲れはどこへやら、元気よく吾野駅に向かって山を下りて行きました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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