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鈴ヶ尾山・大桑山・高畑山

鈴ヶ尾山頂に1本立ちするモミジ

鈴ヶ尾山頂のモミジ

鈴ヶ尾山(大秋日山)の山頂広場に1本立ちのモミジがあります。今回訪れた11月30日、色鮮やかな紅葉を見せていました。

バス停 富士急バス: 猿橋駅(小沢で乗車)→ 朝日小沢上 登山口

地図 地図: 鈴ヶ尾山 , 大桑山 , 高畑山 , ヤマレコ

天気 高畑山の天気: 大月市 , 高畑山

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コース & タイム 鉄道駅 猿橋駅 7:50 --- 8:17 猿橋(見物) 8:43 --- 9:23 小沢バス停 9:32 == 9:35 朝日小沢上バス停(登山開始) 9:37 --- 10:17 鈴ヶ音峠 10:17 --- 10:32 突坂峠 10:32 --- 10:52 鈴ヶ尾山 11:05 --- 11:23 突坂峠 11:24 --- 11:40 突坂山 11:40 --- 11:59 大桑山 12:14 --- 12:31 大桑岩稜 12:32 --- 12:43 高畑山 12:55 --- 13:47 オシノ沢出合(夫婦杉探し) 14:11 --- 14:35 小篠貯水池 14:35-- 14:45 イトヒバへの分岐(道間違いでタイムロス21分) 15:06 --- 15:28 鳥沢駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影と道迷いの時間が含まれています。
鈴ヶ尾山、大桑山、高畑山 すずがおやま:標高 833.8m、おおくわやま:標高 980m+、たかはたやま:標高 982m 単独 2020.11.30 全 5時間51分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

11月30日(月)、大月市の鈴ヶ尾山、大桑山、高畑山を歩いてきました。当初の計画では田幡橋を出発地点として、鈴ヶ尾山の北西尾根を登る予定でしたが、所要時間を短縮する必要があり、また倒木だらけの現状では面白みに欠けるかと思い、計画を一部変更。バスは終点まで乗り、さらに突坂峠まで林道歩きを採用しました。望外の恵みは、鈴ヶ尾山頂に1本モミジが、今が見頃と輝いていたこと、富士山がきれいに見えたこと。今回も幸福感の多い山歩きになりました。

段落見出し名勝猿橋を観光

これまでバスの車窓から何度も猿橋を見ました。でも観光バスではないので、見られるのはほんの一瞬。下山後のバスを途中下車して立ち寄ろうと思ったこともありましたが、いざその時になると、疲れのせいでどうでもよくなり、猿橋駅まで乗ってしまうのです。ならば、登山前に見ようと思い立ち、早めの電車に乗り、猿橋駅から猿橋まで歩きました。で、猿橋には人っ子ひとりいませんでした。白くうす霜の降りた静かな橋。足跡を残して渡ります。来た、見た、渡った。

宿題を一つ減らしたような気分で、朝日小沢方面に向かって歩きます。この時間帯は、途中のどこかでバスに追い着かれるでしょう。バス停間の間隔が大きいので、バス停以外の場所で追い抜かれないよう、バス停を通過するたびに時刻表と腕時計を見比べます。その結果、小沢でバスを待つことになりました。終点の4ストップ手前です。初めて歩く道、特に田舎道は楽しく、中でも桑畑の木々から白い息が立ち上っている様は、肉眼で見てこその美しい絵になっていました。

小沢でお茶を飲んでいたら、狭い道から突然顔を出すようにバスが現れたので、意表を突かれました。乗り込むと、運転士さんが、話しかけてきました:「登山ですか?」「どこの山に登るのですか?」「地元の方ですか?」等々。最後の質問で、やはりそう来たか、と思いました。“今は山梨県に来ないで!”という思いは、多くの山梨県民が抱いていることでしょう。でもバスはあっという間に終点、朝日小沢上に到着。車内アナウンスでは「あさひおざわかみ」でした。

段落見出し鈴ヶ音峠の秀麗富岳

さっそく鈴ヶ音峠に向かいます。歩くのは、林道鈴懸峠線。鈴ヶ音峠と鈴懸峠は同じ峠です。楽しみにしてきた最終民家の赤いベンチは、朝露でびっしょりと濡れていました。他に特筆することと言えば、お坊山東峰とその南東稜が見えたことです。あの稜線が三角山に見える不思議。これは秋山山稜のデン笠にも見られます。体を暖めつつ、省エネモードで40分ほど歩くと、鈴ヶ音峠に到着しました。ここから鈴ヶ尾山への近道もありますが、急登らしいので、敬遠します。

峠に立つと、道志の山々が見えてきました。ああ、ここは峠なんだ!こういう情感が湧いてくるのも、峠の魅力の一つ。下りに転じた林道を進むと、無線中継所専用の林道が左に立ち上がります。すると、1分も行かないうちに、すばらしい富士山がありました。鈴ヶ音峠の富士山。松の木によるフレーミングも好し。「富士を望む峠100選」という企画があれば、推薦したいくらいです。経験上、富士山はきれいに見える時に撮っておくのが吉。本日の最も美しい富士でした。

段落見出し鈴ヶ尾山へ

さて、その専用林道で(新)突坂峠に行けるのですが、そのやや手前で左手の(旧)突坂峠に上がりました。石仏の前に出ます。お地蔵ではありません。峠なので、おそらく馬頭観音像でしょうか。表敬をして、その背後の尾根に取り付きました。ところが落ち葉が厚く積もっていて、踏み跡が見えず、勾配も強いので下りでは難儀するかもしれません。どこかで頑丈な杖を調達することにします。登りは問題ありません。登りきると、平坦でのどかそうな尾根が待っていました。

このまま楽々と鈴ヶ尾山頂に行けるといいな、と思っていたら、突然道が切れ落ちていました。慎重に下って、登り返します。尾根が再び平坦になると、山頂広場に出ました。真っ赤なモミジが見えます。すごい! でも鑑賞は後ですることにし、山頂に直行! 足が舞い上がるように軽くなり、今度こそ楽々と山頂に至りました。山名標が、杭を含めて三つありますが、いずれも「鈴ヶ尾山」です。杭には(大秋日山)とも書かれていました。開放感のある、すてきな山頂です。

なおうれしいことに、山頂から富士山を望めました。おそらくこの富士は「秀麗富嶽十二景」のような景観伐採によるものではなく、自然の恵みでしょう。鈴ヶ尾山がますます好ましくなりました。続いて、あの真っ赤なモミジを見に行きます。それは、近づくほどに、なお見事なモミジでした。何モミジか、植栽か、自生か、いずれにせよ、平地での紅葉が終わりつつある今、紅葉の最大美を見せています。「大秋日モミジ」と勝手に命名しようか、とも思いました。

段落見出し大桑山へ

鈴ヶ尾山では、十分に心が満たされました。次は大桑山に向かうのですが、まず旧新の突坂峠まで、来た道を戻ります。ここで、来た時は気付かなかったのですが、二つの小山を抱えた大桑山の姿を初めてよく望めました。小山の一つは大桑山の中腹の突坂山、もう一つは電話塔の立つ小山。その姿が、二人の子を抱える母親のようでもあり、立派な山容です。折よく丈夫な棒も拾えたので、あの落ち葉の急坂も無難に下れました。石仏にお礼を言い、ガードレールを跨ぎます。

林道を横断した地点から登山道に取り付きます。昨年はここの障碍物であった倒木も、今回は容易にくぐれました。道はジグザグに付けられ、思いのほか軽快に登れます。途中、奥秩父の飛龍山を望める場所がありました。でもそれ以上に目を引いたのは、雁ヶ腹摺山から楢ノ木尾根を経て大峰に至る長い稜線です。私は一昨年に歩いた楢ノ木尾根に少々思い入れがあって、いつか近くの山から全容を眺めたいと思っています。手前の宮地山は、それを叶えられるでしょうか?

突坂峠から正味30分ほどで、大桑山頂に到着しました。樹木に囲まれた山頂は、山名標ばかり幾つもあって、展望のない、ある意味つまらない山頂です。でも大桑山の魅力は、(1)すぐ東に隣接する裸の小峰:道志山塊のパノラマを望めます。そして(2)そのまたすぐ東に隣接する大桑岩稜:プチ戸渡りを体験できます。その前に、水分補給と腹ごしらえをしておきましょう。大桑山頂は、本日のコースの中間地点。後半の路程に備え、ここでストレッチをしっかり行いました。

段落見出し大桑山のアトラクション

大桑山頂を辞し、縦走路を下ります。かなり勾配があるのでスリップしないよう、気合を入れ直しました。下って行くと、立ち木を透かして、行く手の高畑山と倉岳山が見えてきます。その先で岩含みのゴツゴツした小峰に登り返すと、そこは本日のコースにおける貴重な展望地。好天のおかげもあって、道志の山並みと富士山とを望めました。この小峰には大きめの倒木があり、好展望と合わせて印象付けられます。昨年はここで地図を広げて、道志の山座同定をしました。

さて、大桑山の次の楽しみである大桑岩稜にやって来ました。長さ数メートルにわたる狭い岩稜があり、左右が深く切れ落ちています。楽しみと言っても、もちろん安全が最優先。岩稜の北面にロープ付きの巻き道もありますが、私の個人的な感想では、大桑山→高畑山方向に進むのは中・上級者レベルかと思いました。逆方向なら、難易度は下がるでしょう。他方、岩稜を戸渡りのように歩けばアスレチック平均台:落ちたら人生アウト。馬乗りに渡れば楽しい遊具です。

私は足指の魚の目対策で、スニーカーを履いています。まず3分の1ほど歩いて渡り、途中にある傾斜した岩面から馬乗りになると、スイスイと面白く渡ることができました。平均台を選択するには、靴底が岩面をグリップする力がものを言います。どうせ無観客ですから、自分の冷静な判断で「山は楽しく安全に」行きましょう。大桑岩稜を過ぎると、しばらく岩含みの道が続き、やがて明るい落葉樹林の尾根が高畑山頂へと、気持ちよくいざなってくれました。

段落見出し高畑山から鳥沢駅へ

大桑岩稜から正味10分ほどで高畑山頂に到着。山名標柱に、小さな金銀の鈴が付いています。よく見ると、それは出雲大社の「しあわせの鈴」。落とし物でしょうか? でなければ、どなたがどんな思いでここに付けたのでしょうか? 私は見てちょっぴり幸せな気持ちになりました。残念なのは、秀麗富嶽の写真板。初めて訪れた2009年には、すでに今と同じくらい落書きで傷だらけでした。一つケチをつけると、この写真は、ここで撮られたのではないことが明らかです。

高畑山から下山の途に就きます。2009年には斜面のトラバース道がザレていて、歩きにくかったのですが、今回歩くと良く整備されていました。程よい道幅で、勾配も膝にやさしく、登山道としては上等の部類に入ると思います。ところで、きょうは鈴ヶ音峠からずっとフユシャク類(晩秋から早春にかけて発生する蛾)がヒラヒラと飛んでいましたが、高畑山の北面の道では、その数が増えました。飛ぶのはオスだけで、メスは翅が退化していて飛びません。

石仏から、夫婦杉と大トチノキを訪ねて、オシノ沢沿いの道を登ったのですが、見つけられず、時間切れにもなったので、あきらめて引き返しました。石仏から10分以内の場所にあると予想していたのですが、またの機会に持ち越しです。その後、鳥沢駅まで地図を見ずに歩いて、養福寺の下のT字路から間違った方向に進んでしまいました。タイムロス21分です。最終盤での慢心と油断の悪い癖が、なかなか治りません。ただ、乗る予定の電車にはギリギリで間に合いました。

段落見出し感謝

今回もまた美しい自然を見れて、楽しい山歩きと、無事の帰宅ができ感謝です。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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