国師ヶ岳は奥秩父山塊の主脈縦走路にあります。
北奥千丈岳は、奥秩父山塊の最高峰です。
中央自動車道: 勝沼IC → 大弛峠
大弛峠通行規制情報
地理院地図: 国師ヶ岳
国師ヶ岳の天気: 山梨県山梨市 , 金峰牧場
10月13日(土)、山の友たちとともに、奥秩父の国師ヶ岳と北奥千丈岳を歩いて来ました。秋晴れの晴天に恵まれ、素晴しい眺望を満喫して来ました。
大弛峠(おおだるみとうげ)の駐車場は、大混雑が予想されました。私たちが到着した7時20分には、すでに峠付近の林道は、山梨側も長野側も、延々と縦列駐車でいっぱい。峠まで上ってUターンし、登山口からかなり離れたところに、やっと1台分の駐車スペースを見つけました。紅葉シーズン、晴天の土曜日、車はなおも次々とやって来ます。
国師ヶ岳と北奥千丈岳を目指す私たちは、大弛峠でしっかりと身支度を整え、大弛小屋に向かいました。登山口に、「大弛峠 2,365m 車で越えられる峠としては日本一標高の高い峠です」と書かれています。ここの気温は平地よりも13度ほど低いはずです。そう思って保温効果の高い下着を着てきました。皮膚の露出している部分に、きりりと鋭い冷気を感じます。
大弛小屋からの登山道は、木道になっていました。きれいにカンナがけされた木製階段もたくさん設置されていて、お殿様かお姫様でも来られたのかな? サンダルでも登れちゃうね、などと冗談を言いながら登って行きます。シラビソのしっとりした林は、ところどころに赤や黄色に彩られた広葉樹がアクセントになっています。地面を覆う石楠花は、ハクサンシャクナゲでしょうか。花の季節はどれほど素晴しいことか。あまり人が歩いていないところを見ると、大弛峠に車を置いた大部分の人々は、金峰山に向かったのでしょう。
「夢の庭園」と呼ばれる展望地にやって来ました。その名に偽りなく、夢のようなパノラマが目を奪います。正面から飛び込んでくるのは、朝日岳から金峰山に伸びるゆったりとした稜線。五丈岩が、見間違えようのない金峰山のモニュメントです。その左側の南アルプスは、鋸岳から始まって遥か南の赤石岳までくっきりと、楽譜のように切れ目なく続く稜線が、いざないの旋律を奏でているかのようです。右側に並ぶ八ヶ岳の山々も、権現岳から北横岳まで、明瞭な質感を伴って存在感は十分です。残念ながら、北アルプスは遠く霞んでいました。
前国師岳に近づくと、富士山が大きくその姿を顕しました。おおう、と一同から歓声が上がります。逆光で、青くなった富士山は、版画のようにすっきり単純化されて、美術作品のようです。「日本に富士山があってよかったなあ」「噴火して崩れないでね」などの声が聞こえます。天を見上げると、はるか高く、薄い秋の雲がたなびいています。天気の崩れる心配は全くありません。
分岐点では、まず奥秩父の最高峰である北奥千丈岳に向かいました。登山道に霜柱が白い飴のように伸びて光っています。手に取ってもすぐには溶けません。登山道は緩やかです。時間はたっぷりとあるので、ゆっくりと登って行きます。山野草の花は、全く見られません。背の低い松が増えてきたなと思ったら、あっという間に山頂に着いてしまいました。
北奥千丈岳からは、国師ヶ岳が目の前に望めます。樹林の縞枯れもよく分かります。国師ヶ岳の背後に甲武信ヶ岳、木賊山、破風山、雁坂嶺と連なる奥秩父の主脈。いつの日か縦走するのが夢です。目を近くに移すと、ほとんどが針葉樹の山々ですが、赤や黄色もほどよくちりばめられています。ここでコーヒータイムにしたかったのですが、風が強かったので、後のお楽しみに。奥秩父最高峰の景色を十分に堪能して、国師ヶ岳に向かいました。
先ほどの分岐点に戻り、北に進むと、またあっという間に国師ヶ岳に到着。ここでも富士山にすっかり目を奪われてしまいました。圧倒的に美しいのです。他にも素晴しい山々はあるのですが、ここではみんな脇役。これはもう仕方がありません。きょうは、大きなケーキの一番上の、一番美味しい部分をつまみ食いしている気分です。
もう一度分岐点に戻り、お湯を沸かしてコーヒーと味噌汁をいただきました。ここは、周りの樹木のおかげで風が遮られています。私たちの他に、二つのパーティーがランチタイムを楽しんでいました。時おり空を見上げると、はるか高度10,000mあたり、銀色の旅客機が東から西に、気持ち良さそうに飛んで行きます。上空からも素晴しい山々が見えていることでしょう。
大弛峠に戻ると、さらに車が増えていました。峠から歩けば20分くらいかかる距離にまで、延々と続く縦列駐車。もう、道路に斜線の引かれた部分にまで車が置かれています。待避所がなくなって、すれ違いには苦労することでしょう。駐車場の拡張工事をしていますが、きょうのように多くの車が押しかけたのでは、焼け石に水かも知れません。次は平日に来たいな、と思いました。
帰路、「花かげの湯」に立ち寄りました。市外者の入浴料は、大人500円です。屋根の下の半露天風呂は、ぬるめなのでのぼせることもなく、つい長風呂になってしまいました。普通なら下山後の温泉で足腰を揉むのですが、きょうは典型的な楽チン登山。疲れた筋肉はありませんでした。
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