裏高尾というのは、高尾山の北山麓、高尾駅から小仏に至る、旧甲州街道沿いの地域です。東京都八王子市裏高尾町という正式な地名があります。
裏高尾は高尾山、小仏城山、景信山、北高尾山稜、八王子城山など、多くの山への登山口があります。また小仏川の上流である、日影沢、木下沢は、スミレの宝庫として、早春から多くの人々の足を引き寄せます。
京王バス: 高尾駅 → 日影(小仏行き)
地理院地図: 富士見台
裏高尾の天気: 八王子市 , 高尾山
レポ: 北高尾山稜 , 裏高尾から八王子城山
3月30日、裏高尾から、北高尾山稜の一部を歩いてきました。3月も終わろうとしているのに、木下沢(こげさわ)梅林の梅花は見頃にもまだ遠く、林道沿いにも春の草花はほとんど見られませんでした。本当に今年の春は足が遅いのです。今年の春こそ、早く来て欲しかったのですが・・・。
前日の春真っ盛りの晴天から、この日は打って変わった曇り空。JR高尾駅北口、小仏行きバス乗り場に発車時刻の10分前に行きましたが、まだ誰もいませんでした。7時12分、定刻どおりにバスは出ました。車内はガラ空きです。日影で下車したのは、私だけでした。
バスの進行方向(小仏方面)に歩きます。日影林道への道を左に分け、道なりに右折して短いトンネルを抜けると、木下沢梅林の入口が右に分岐します。木下沢梅林は、紅梅がかなり咲いてはいましたが、白梅の大部分は未開花でした。梅林の先から、林道木下沢線になります。
「富士見台の道」を右に分け、次いで「こげさわの森」の案内板を右に見て、さらに「いざないの道」を右に分けます。ここで、デジスコ2台を林道にセットして、木下沢の何かを狙っている男性が二人と女性が一人いました。こんなところに、何の撮影ポイントがあるのかな?
私の方はスミレを探しながらキョロキョロと目を光らせて歩きます。あった!咲いています。でもこの日見つけたスミレの花は、この1輪だけでした。左手の木下沢に降りれば、もっと他の花も見つかったかもしれませんが、沢は歩きにくそうです。右手の斜面には、何物(者?)かが掘り返したような、まだ新しい穴ぼこがいくつもあります。この穴ぼこは、2〜300mに渡って見られました。何の穴でしょうか? ちょっと気になります。
車止めゲートを越えた先、景信山への分岐点の前が広場のようになっています。ここで念入りに準備運動をしました。私はここから狐塚峠を目指します。登山口には、「北高尾山稜」を指し示す小さな道標が低く立っています。
狐塚峠へは急斜面を登ります。登山道はジグザグに造ってあるので、難なく登ることができます。先ほど準備運動をした広場が、どんどん下に下がって行きます。上に登るにつれて、風の音が大きくなってきました。
尾根に飛び出すと、そこが狐塚峠。谷から吹き上げる強風がまともに顔や手に当たり、手袋がないと、手がかじかみそうです。空は、全面的に曇ったまま。この強風は、もしかすると天候の崩れる前兆かもしれないと思い、先を急ぐことにしました。(実際に天候が崩れたのは、その翌日になってからのことでした。)
これが今年の春一番かな?とも思えるような強風が吹き荒ぶ尾根。あまり見るべきものもなさそうなので、どんどん東に向かって進みます。高ドッケを越えて下るところで、熟年のご婦人が単独で西に向かって登って来られました。なかなか勇ましい姿です。
杉沢ノ頭で小休止しました。このピークには三等三角点があるのですが、現在展望は利きません。樹木に囲まれているからですが、風を凌ぐには好都合です。菓子パン1個をほおばり、温かい紅茶を飲みます。
杉沢ノ頭から5分ほど歩いたら、もう富士見台でした。八王子城山(はちおうじしろやま)からの道を左から合わせたすぐ先に休憩所があります。この富士見台はその名の通り、富士山が良く見えました。大室山を旗頭に、谷すじに雪を残した丹沢も見ごたえがあります。手前正面には小仏城山(こぼとけしろやま)。山頂の電波中継塔が目印です。右に景信山、左に高尾山。これらすべての山々が、高曇りの空の下で、無彩色に近い風景を成しています。(上の写真)晴天の日だったら、どんなにきれいに見えることでしょうか。
富士見台のすぐ東側で木下沢への道を右に分けます。さらに東に進み、標高530m台のピークを下る道から、真新しい圏央道が見えました。高尾山の山腹に二つのトンネルが開いています。建設には反対運動もあったのですが、もうできてしまいました。今後通行車両が増えて行くと、排気ガスがどの方向に流れ、山のどの部分の木々が、どんな影響を受けるのでしょうか。獣たちや鳥たちもどうなるか、まだ分かりません。
荒井・摺差(するさし)方面への分岐点のすぐ手前に、左手の八王子城山方面に行けそうな分岐がありました。でも、「ここは歩道ではありません。大変危険な場所がありますので、進入しないでください。」と書かれています。その2分ほど東が、荒井・摺差方面への分岐点です。ここににツバキの花が咲いていたので、2度目の小休止にしました。ツバキは人が植えたものか、自生しているものか分かりません。ささやかな花見をしながら、まだ温かい紅茶でのどを潤します。
荒井・摺差方面への分岐から8分ほどで、八王子城山への道を左に分けます。このあたりは、ハイキングルートとして整備されているので、地図に記された線を頼りにルートファインディんグをするよりも、現場の新しい道標に従うほうが良さそうです。私は駒木野(こまぎの)を目指して直進します。八王子城山への分岐から15分ほどで、直進路は通せんぼになり、左に折れます。
午前11時、お地蔵様四像が立っている場所にやって来ました。「山と高原地図」に、「地蔵ピーク」と記されています。四像のうち、手前の二像は新しく、後の二像が古い石像です。古い方の背には、「明治四十二年八月」と刻まれています。新しい方は、石柱の裏に「平成十八年八月吉日」と記され、表には、「永の歳月に傷みし地蔵尊 復元かなえた心の嬉しさ」と刻まれています。お地蔵様の、子供のような、素直で平和な顔を見ながら、ここで三度目の小休止にしました。
お地蔵様から東に7分ほど歩いた地点に、根が互いに繋がった2本のモミの木が、登山路の両側に立っていました。繋がった根は2本あり、人はこれを跨いで通行することになります。このように根が繋がった場合、生命を結ぶ樹液はどのように流れるのでしょうか。
11時30分、中央自動車道の脇に降り立ちます。高速道路の下を通り抜けると駒木野の里に出ました。視界が明るくなったので見上げると、西に青空が広がっていました。陣馬山あたりは晴れていそうです。高ドッケで西に向かっていた単独行の婦人も、今頃どこかで素晴しい富士山を見ているかもしれません。私の方は、神明神社の苔生した鳥居の前を通り、中央本線を越え、バス通りに出ます。駒木野バス停のある小仏関跡で4度目の小休止にしました。紅白の梅の花がきれいに咲いています。
さて、ゆっくりと立ち上がると、折りよく高尾駅行きのバスがやって来ました。でも梅の咲く季節、ここはバスに乗ってはもったいない道です。まず、駒木野バス停から駒木野公園に行きました。「高尾梅郷」と彫られた大きな石があります。ここも紅白梅が見頃を迎えていました。この公園のゲートボール場の脇の狭い道を抜け、小仏川に沿って歩きます。のどかな川の土手に、きれいな梅並木がずっと続きます。
12時22分、JR高尾駅に到着。午前中だけのハイキングは、ほどよい運動になりました。これから帰宅して、一仕事片付けます。夕方には、先日中学校を卒業した娘の、最後の部活である吹奏楽コンサートがあります。
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