ここでいう高取山は、半原高取山です。
みやがせ道を最後まで行くと、七曲橋の下で、道が宮ヶ瀬湖に落ちて終ります。
神奈中バス: 本厚木駅 → 半原 神奈中バス: 本厚木駅 ← 仏果山登山口
地理院地図: 半原高取山 , みやがせ道終点
半原高取山の天気: 愛川町 , あいかわ公園
レポ: 高取山・南山
12月22日(金)、今季東丹沢ヒル休み山行第5弾は、シモバシラの氷花を訪ねて半原高取山へ。このところ低い気温が続き、雨も降らなかったので、登山道にも山頂付近にも、たくさんの氷花が見られました。その後、仏果山を経て旧土山峠に下り、みやがせ道を探索。それは古道の趣もあり、雰囲気のよい道でしたが、意外な終わり方をしていました。
自宅の最寄り駅に行くと、すでに電車がホームに到着していました。これに飛び乗ると、それは遅れて来た1本早い電車。ここから乗り換え予定が順次前倒しになり、本厚木駅7時15分発の田代経由、半原行きバスに乗ってしまいました。このバスは、ダム行きに便利な愛川大橋を通りませんが、バス乗り場が寒かったのです。ただ、終点の半原でトイレが使えるという利点はあります。乗客のうち、山行き姿は私だけ。終点まで乗って行ったのも私だけでした。
中津川沿いの道を石小屋ダム目指して歩きます。目を引くのは、マンリョウやナンテンの真っ赤な実。家々の庭先の素朴なアクセントになっています。この季節、庭にも野にも、花はあまり見られません。国道412号をくぐり、あいかわ公園への道を右に分け、まっすぐ行くと、石小屋ダムです。古代ローマかインカ帝国の、巨大石造物のようなデザインですが、これは重力式コンクリートダム。大規模な宮ヶ瀬ダムと、この小さな石小屋ダムが、セットで運用されています。
宮ヶ瀬ダムサイトの開門は、8時30分。のんびりと公園の展示などを見て、8時40分に入りました。訪問者は、今のところ私だけ。さまざまな説明板や掲示があるので、これらを見て、また時間を過ごします。ダムの規模と機能、観光放流の時刻、エレベーターとインクラインの運行時間など。そして、8時59分にエレベーターの前へ行きました。一人で乗るのは、もったいないような気がします。9時きっかりに▲ボタンを押すと、エレベーターが天端から降りてきました。
エレベーター内のアナウンスで、天気の良い日には、天端の展望塔から横浜ランドマークタワーとベイブリッジが見えると聞いたので、行ってみました。目を凝らして探します... が、どちらも見つけられませんでした。でもそんな遠くのものは、山上で探せば済むこと。ここでは、ダムの下流を見下ろしたり、湖水を前景に丹沢を眺めたり、極上の景観が欲しいままです。しかも、完全な貸し切り状態! 神の造った傑作と、人間の造った傑作とを鑑賞する、特別招待席でした。
「水とエネルギー館」の開く10時まで待てないので、高取山に向かいます。相変わらず人の姿はありません。湖畔の登山口から、いきなり急勾配の階段が始まりました。長い区間ではありませんが、ふうふう喘ぎます。上で音がしたので見上げると、鹿が立って私を見ていました。そして私が銃を持っていないと知ったのか、悠々と立ち去りました。ようやく階段が終わり、休憩所に到着。宮ヶ瀬ダムを見下ろせる、すばらしい展望地です。これはもう、休むしかありません。
息が整ったところで、山頂に向かいます。キョロキョロ視線の先は、草の根っこ。もちろん、シモバシラの根っこ! しばらく行くと、簡単に見つかりました。一つ、二つ、三つ ... あるある! 登山道の右にも左にも、たくさんありました。高尾山のようにロープは張ってありません。うっかり踏まないように気を付けながら、カメラをネズミの目線くらいに下げて、マクロで撮影します。初めてこの氷花を見たときの感激は忘れません。今でも冬が来ると、ソワソワします。
高取山頂に着くと、さっそく展望台に上りました。私は、ここの展望が大好きです。丹沢と宮ヶ瀬湖と関東平野をぐるりと見渡しました。そして目が行くのが、私の場合は送電鉄塔。先週は、新多摩線29号から32号までを頼りに、御殿森周辺を歩き回りました。以前のウォッちずにはなかった送電線が、地理院地図に表示されるようになって、地図読みと地形読みが大助かりです。次に、先月末に歩いた栂立尾根と、その1043m峰から誤って下降した尾根とを再確認しました。
展望を十分に楽しんだので、シモバシラを探しに行きます。展望台直下には、さすがにありませんでしたが、日陰の草むらを探すと、たくさん見つかりました。でも、ちょっと質感が異なります。来た道で見た氷花は、飴のように無数の白い線から成っていたのに対し、山頂のは透明感があり、ガラス細工のようです。少し溶けたのかもしれません。でもこれはこれで、また別の美しさがあります。このほか、土の下には霜柱が、地表の落ち葉には霜が見られました。
次は仏果山に行き、また展望台に上りました。丹沢と宮ヶ瀬湖のパノラマは、高取山展望台のそれと似ていますが、少し違う視角で望めます。特に先ほど登ったばかりの高取山、行く手の八州ヶ峰、穏やかそうな中津川の流れ、秘密ありげな村道10号橋など、近場はよく見えました。十分に展望を楽しんだので、山頂広場に下りて昼食にします。ぽかぽかと日の当たる山頂。きょうの行程は、ここ仏果山が中間点です。これより南方の尾根道は、やや険しくなります。
昼食を終え、南の尾根に向かいます。仏果山から、秋葉山分岐(馬渡分岐)と八州ヶ峰を経て、休憩所のある熊古谷山に至るまで、狭い尾根と好展望が続きます。ただ、これらの峰には山名標がなく、気が付かないうちに通過してしまうかもしれません。立派な山頂標が立っているのは、革籠石山(かわごいしやま:640m)。ここで木の根に腰を下ろし、お茶とみかんで小休止しました。その先、旧土山峠を含め、4ヶ所に休憩ベンチがありました。よく整備された登山道です。
旧土山峠には、軽四が入っていました。ここに来ているということは、みやがせ道のゲートを通過できる車両なのでしょう。私は旧土山峠のすぐ東、登山道がみやがせ道と出合う地点で右折し、みやがせ道北西部の探索に向かいました。これは本日のサブミッション。この道は、どこまで行けるのでしょうか? 等高線に沿って緩やかにカーブする、幅広でほぼ水平の道。はじめは轍のある草道でしたが、すぐに杉林になりました。古道のような趣のある、快適な道が続きます。
もし採石場に入ってしまったら、何と言おう? でも無事にどこかに出られたら、山の友たちを誘って歩きたい、それは新緑か紅葉の季節がいいな、などと考えながら歩きました。一部きれいな紅葉の残っているところもありました。そして道が緩い下り坂に転じ、尾根や谷を巻いて、左の宮ケ瀬湖の方向へと方向転換すると、道が突然なくなっていました。いや、宮ヶ瀬湖に落ちていたのです。もう進めません。左のザレた斜面に逃げました。でも滑落すればドボンです。
水没して終わるみやがせ道は、ある意味ドラマチックな道でした。この道を気兼ねなく奨められる友の顔と、ザイルなしでは奨められない友の顔とが、別々に浮かびます。下り立った地点は、七曲橋の南のたもとでした。バスの自由乗降区間なので、ここでバスを待っていてもよかったのですが、車がビュンビュン、次から次へと走ってくる不快な場所なので、仏果山登山口方向に歩くことにしました。前からバスが来れば、手を挙げて乗せてもらえます。
きょうは、見たかった美しいシモバシラと出会い、行く先々ですばらしい展望を独占し、最後にみやがせ道のタイムスリップ感を味わうことができました。楽しかった一日と、無事に下山できたことに感謝です。
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