1周目は、自然観察のためのハイキングコースです。
2周目は、大部分が道標のないマイナールートです。
神奈中バス: 本厚木駅 → 宮ヶ瀬 神奈中バス: 本厚木駅 ← 宮の平
地理院地図: 春ノ木丸 , ルート図
春ノ木丸の天気: 清川村 , 宮ヶ瀬
12月28日(木)、今季東丹沢ヒル休み山行第6弾は、宮ヶ瀬湖畔の春ノ木丸です。ただ1回登るだけではあっけないので、山頂を2回通過する周回ルートを考えました。1周目は自然観察の子供たちもよく歩くハイキングコース。この季節はたくさんの落ち葉が積もっていて、急な下り道ではスリップに注意が必要です。2周目は地形図が頼りのマイナールート。特に危険箇所はありませんでしたが、最後に早戸川林道に下りる部分で地図読みを怠り、道を間違えました。
この計画は、宮ヶ瀬のクリスマスイベントに合わせてゴールインするように、当初は午後に出発する予定でした。ところが11月25日の山行で、下山が予定よりも遅くなったことにより、図らずも夜のイルミネーションを既に見てしまいました。そこでこの山行は後回しになり、結果的に今年の山納めになったものです。
この日の朝は、まず空を見上げて絶好の晴天を確認し、おもむろに家を出ました。気象情報で言う「晴れ」の定義は幅があり、どの程度の晴れなのか、その日になってみないと分かりません。さて、本厚木駅9時40分発のバスは、この時間にしては意外にも登山客がたくさん乗り込みました。皆さん、終点の宮ヶ瀬まで乗って行きましたが、どこへ行ったのでしょうか。このバスで来て、春ノ木丸ハイキングコース(南口)に向かったのは、私だけでした。
登り始めるとすぐに、日当たりのよい尾根に立ちました。樅の大木が立ち並び、すてきな山奥に来たような雰囲気があります。すぐに春ノ木トンネルの真上ですが、ここは楽しみにして来ました。通り抜けるために造られたトンネルの上を横断するという、たわいもない楽しみです。これが鉄道のトンネルだったら、もっと楽しいに違いありません。かつて駿遠線や近江鉄道本線のトンネルに、短い気動車や電車が出入りするのを、山上から眺めて楽しんだ日々がありました。
仕事道の分岐に、ハイキングコースらしく「順路⇒」と書かれた、古い標識が立っていました。地面には落ち葉がかなり積もっています。落ち葉の下に隠れている物次第では、踏んだ拍子に足を取られかねないので、子連れ登山ではよく注意しましょう。登り始めてから、道草を食いながら30分ほどで春ノ木丸山頂に到着しました。木々の小枝がうるさいものの、宮ヶ瀬湖を望めます。「春ノ木丸自然だより」という掲示板があり、丹沢に生息する哺乳類の一覧がありました。
山頂から北へ300m、休憩卓が三つある広場にやって来ました。これよりハイキングコースは、右手の尾根を下降します。左の道は汁垂沢右岸尾根で、後ほど湖岸から登って、再びここに来る予定です。まずはハイキングコースを下ったのですが、これが意外と急峻でした。急勾配の箇所には階段やロープが設置されているし、ザレもなく、よく整備されてはいます。でも落ち葉の深い坂道は要注意。運悪く見えない小枝を踏むと、コロコロッと転がり、足を取られかねません。
無事に県道に下り立ちました。これで、今日の計画の1/4を消化しました。次は早戸川林道に進みます。この林道は等高線に沿って、湖岸をくねくねと蛇行する長ったらしい道です。そこで、ものはためし、駐車場を突っ切って行ったら、ちょっと近道になりました。林道を進んで行き、対岸の山上に2基の送電鉄塔が見えたら、すぐ左を見てください。お誂えの石段があります。ここが汁垂沢右岸尾根の取り付き地点です。このときちょうど正午でした。さっそく石段を登ります。
石段はすぐに終わりました。その後は踏み跡を辿って行きます。これもすぐに不明瞭になったので、早めに尾根に乗りました。尾根に立つと、樹間から青い宮ヶ瀬湖の入り江と、対岸の尾根が見えるようになります。左から上がって来る尾根と出合う地点に「←鳥屋造林組合管理地」の標識がありました。その先100mほどの地点にも同じ標識があり、右から上がって来る尾根と合わさります。このあたりから尾根に沿う鹿柵(植生保護柵)が現れ、足場が狭くなりました。
鹿柵は有刺鉄線ですが、下部の網を留める太い鉄線だけは棘がありません。これを左手で掴みながら、足場の狭い尾根を登って行きました。411m地点は気付かずに通過。帰宅後にGPSデータから通過時刻が判りました。尾根の勾配が緩くなると、鹿柵が東側に傾いていたり、完全に倒れたりしていて、歩きやすくなりました。左手の木々の隙間より、先ほど通った駐車場や、白い宮ヶ瀬ダムを望めます。そして石段から正味40分ほどで、ハイキングコースと出合いました。
その出合から、1周目とは逆方向に歩いて、再び春ノ木丸山頂にやって来ました。遅くなりましたが、ここで昼食にします。私の冬の定番は、菓子パンと熱い紅茶。みかんは冷たそうで、見ただけで食べる気になりませんでした。ポケットから地形図を取り出して、汁垂沢ノ頭(568m)へのルートをしっかり見定めます。多くの人々が本間ノ頭から宮ヶ瀬に下りるのに歩いているので、特に難しいところはないでしょう。でも道標は全くないので、地形図が必携です。
春ノ木丸から南西に、40m余の標高差を下ります。かなりの急勾配ですが、立ち木がたくさんあるので、心配はありません。鞍部からは、90mほどの標高差を地道に登って行きます。右から上がって来る汁垂沢左岸尾根と出合う地点に、赤帽白杭が2本あり、傍らの木に青とピンクのテープが結ばれていました。ここは地形図でも明瞭なY字路です。汁垂沢ノ頭は、これより300mほど南方の小さな峰。6分程度歩くと、小規模に伐採された、作業地のような広場がありました。
来た道をY字路まで戻り、汁垂沢左岸尾根に進みます。Y字路から2分ほど下ると、黍殻山から焼山にかけての稜線を望めました。午後の日差しを受け、うまい具合に陰影が付き、南東面の数ある枝尾根を立体的に望めます。さらにもう少し下ると、左手に栂立尾根を縦に望めました。本間ノ頭からタロベエ峰にかけて、右に、左にと、尾根上の峰々がジグザグに連なって見えます。惜しいのは、逆光であること。晴れた冬の日の午前中なら、素晴らしい景観になりそうです。
汁垂沢左岸尾根は、快適な尾根でした。所々に好展望があり、心安らぐ陽だまりがありました。落葉樹林、灌木林、檜林など、林相の変化もあります。歩きにくいところがないので、距離をほとんど感じませんでした。そして左手にキラキラ輝く湖水が見えるようになると、すっかり心を奪われてしまいました。本当は、右に分岐する尾根に注意を払わねばならなかったのです。足取り軽くどんどん進むと、笹薮に入りました。そして、眼下に早戸川林道が見えてきました。
あれ? おかしい!右に汁垂沢を見てないのに、もう尾根の突端にまで来てしまった? ここでポケットから地形図を取り出して、ルートを確認しました。しまった、来すぎてしまった! 引き返します。10分ほど戻ると、間違った箇所が分かりました。ここから北に延びる尾根があります。この地点をしっかり撮影し、北に下って行きました。汁垂隧道の上では、汁垂橋と汁垂沢とを俯瞰。いい気分です。そして水際まで下り切ると、左手の草原を横断し、林道に上がりました。
汁垂隧道を抜け、汁垂橋を渡ります。その後、早戸川林道をテクテク、宮ヶ瀬やまなみセンターまで歩きました。こうしてきょうも、無事ゴールイン。今回の山行はここで終了ですが、バスを待っていると寒くなって来ました。時間があるので、水の郷大つり橋を渡って、宮の平まで歩くことにします。クリスマスのイルミネーションは終了しましたが、無数のLEDを纏った大吊橋。渡り終えて振り返ると、焼山に続く稜線が、きれいな青紫色のシルエットになっていました。
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