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大霧山 + 天空のポピー

大霧山頂より望む、外秩父の山なみ

大霧山頂より望む、外秩父の山なみ

大霧山は、往路と復路とに、それぞれ歴史ある峠道を楽しむことができます。また長いコースですが、「外秩父七峰」縦走路中の一峰として歩くこともできます。

バス停 西武観光バス: 西武秩父駅 → 定峰 登山口
バス停 イーグルバス: 和紙の里 ← 天空のポピー 登山口
バス停 イーグルバス: 小川町駅 ← 和紙の里

地図 地理院地図: 大霧山 , ヤマレコルート図

天気 大霧山の天気: 大霧山 , 秩父市 , 東秩父村 , 皆野町


コース & タイム 鉄道駅 西武秩父駅 バス停 9:25 == 9:54 定峰 9:55 --- 10:06 定峰神社 10:10 --- 10:23 時計付き道標 10:23 --- 11:36 旧定峰峠 11:37 --- 11:54 桧平 11:54 --- 12:22 大霧山 12:47 --- 13:16 粥仁田峠 13:18 --- 13:54 ふれあい牧場(登山終了)14:12 --- 14:28 天空のポピー バス停 16:00 == 16:20 和紙の里 バス停 16:45 == 17:04 小川町駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と撮影の時間が含まれています。
大霧山 おおぎりやま:標高 766.7m 単独 2019.5.30 全 3時間59分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:

5月30日(木)奥武蔵の大霧山に行ってきました。遠路はるばる出かけるのですから、大霧山だけではもったいないと思い「秩父高原牧場」と「天空のポピー」を特別付録としました。もともと老年期の低山であることに加え、登山道が整備されていて、歩きやすい山です。見るに楽しい虫はたくさんいましたが、顔にうるさい虫はいませんでした。縦走路では、緑の牧場の先に、笠山、堂平山を望め、山頂では両神山や武甲山のほか、外秩父の広大なパノラマを楽しめました。

段落見出し 定峰バス停から定峰集落へ

峠道を経て大霧山に登り、高原牧場に下りるために、出発地を定峰にしました。バスの時刻表に合わせ、西武秩父駅への到着を乗換案内で調べて行ったのですが、朝の出勤ラッシュに巻き込まれることになりました。7時15分、八王子駅で八高線に乗り換えるため1番線に行くと、電車を待つ人々でプラットフォームが満杯状態。お勤めの皆様は、毎日ここに立つのですね。本当にお疲れ様です。ただ、拝島駅でドアが開くまでに、車内で立っていた人の全員が座れました。

西武秩父駅前のバス乗り場2番で、定峰峠入口行き西武観光バスに乗りました。幾つかある「札所〇番」というバス停を通過するたびに、「秩父に来たんだなあ」と思わされます。栃谷では、札所一番に行く巡礼者に、運転士さんが行き方を説明していました。その三つ先の定峰橋で男性登山者2名が下車。次の定峰で私が降りると、バスはカラになりました。定峰峠入口へと走り去るバスを見送ります。民家の小犬に吠えられながら、来た道を少し戻ると、石の道標がありました。

ここから始まる坂道が、旧定峰峠への峠道ですが、定峰に住む人々には日常の生活道路です。心地よい緑の木々、季節の花々、テフテフと舞う蝶々。懐かしい、ふるさと感がいっぱいです。広告板やコンビニなどありません。「村社定峰神社」の鳥居を見て、20段ほどの石段を上ると、村の男性がサカキの苗を植えようとしていました。天皇陛下の即位記念の植樹だそうです。もちろん姫榊ではなく、本榊。静かに社殿を表敬し、神社の由緒を読んで、先に進みました。

段落見出し 峠道を歩いて、旧定峰峠へ

引き続き、きれいに舗装された生活道路を上っていきます。すると道路沿いの民家の敷地に、大日如来像ほかの石仏、道祖神、石碑などが置かれていました。時計付きの道標もあります。そのすぐ先に休憩所があり、地元のおばあさんたちが座っておしゃべりをしていました。自ずと目が合い、「こんにちは」を交わしたのが、この日の数少ない「こんにちは」の最初になりました。素晴らしいハイキング日和でしたが、平日のせいか、ハイカーは少ないようです。

定岳寺の前を過ぎ、定峰集落を振り返ると、斜面に建てられた家々が、奥武蔵によくある山上集落のように、郷愁を誘う風景になっていました。その中の一軒に、水色の仮設トイレがありましたが、これはハイカーも使えるのかも知れません。家々に花が植えられ、白いヤマボウシ、赤いポピーなど、最後の家まで色々な花が目を楽しませてくれました。一方、山野草は端境期なのか、粥仁田峠に至るまで、ウツギ類とイボタノキ以外に、あまり見るものがありませんでした。

県道11号のヘアピンカーブをショートカットし、再び出合った県道を少し上ると、左手に「旧定峰峠」を指す道標がありました。「白山大權現」と彫られた、古そうな石標もあります。そこから山道は樹林帯に入り、展望がない代わりに、涼しい木陰がありました。花がない代わりに、カミキリムシや蛾などの昆虫がたくさんいました。私は夢心地で虫を追いかけ、撮影しまくったのですが、帰宅してから見ると、ああ残念! その9割以上がブレだらけのNG写真でした。

段落見出し 尾根道を歩いて、大霧山頂へ

虫を追って大道草を食って来たので、予定時間を大幅に超過し、11時36分、旧定峰峠に到着しました。傾いた道標がやや陰気です。白石方向は、切通しになっていて、かつて往来した人々の声や馬の足音が反響したことでしょう。峠を見守る祠を右に見て、尾根道を北に登ります。勾配のやや急な区間には、階段状の土留めがありました。長い丹沢の木段とは違い、すぐに終わるので、変に足が疲れることはありません。やがて道はなだらかになり、軽快に歩いていけました。

3本の尾根を合わせる標高約700mの地点、桧平(ひのきだいら)に来ました。まだ展望はありません。そこからわずか5分、北東に尾根を少し下って登り返すと、右手にすばらしい景観が現れました。立ち木の間から、緑の放牧場と、笠山、堂平山を望めます。尾根沿いに有刺鉄線が張られていますが、これは家畜が外に出るのを防ぐためでしょう。牧歌的なこの景観は、大霧山頂にはないので、写真を撮りたい方はお忘れなく。ここから足がますます軽くなりました。

やがて山頂への最後の登りに差しかかると、展望はなくなりました。樹林を慎まし気に飾る白い花は、マルバウツギとイボタノキ。たくさんあります。私はイボタノキを見ると、蝶や蛾の幼虫の食痕や糞がないか見るのですが、この付近にはありませんでした。そしてあっけなく大霧山に登頂。熟年男性が何人かいました。私がまず探したのは、先週登った両神山と、昨年登った武甲山。きょうの展望はあまりスッキリとはしていなく、遠い山々はシルエットになっていました。

段落見出し 大霧山頂から粥仁田峠へ

眺望を楽しむため、立ったままでお昼にしました。と言っても、荷物を軽くするために、リュックの中身はおやつと飲みものだけです。山頂の北面と西面に景観伐採がなされ、パノラマ図のような、山名入りの説明板がありますが、あまり解りやすいとは言えません。これから行く北面を眺めると、外秩父の山なみの彼方に、白い峰々も見えていました。眼下からは、赤い「天空のポピー」が目を捉えます。山頂付近では、蝶やトンボが高速で飛び交っていました。

大霧山頂ではのんびり25分ほど休憩し、リュックを背負いました。「外秩父七峰縦走ハイキングコース」を北に進み、まず粥仁田峠へと下ります。途中で咲いていたコアジサイが、涼し気な水色を現し始めていました。他に目ぼしい花や虫がほとんどなかったので、スタコラサッサと下り、「広町山十分岐」と呼ばれる三叉路に来ました。「高原牧場入口バス停」への下山ルートを図示した注意書きがあります。車道ではなく、関東ふれあいの道を歩くように、促すものです。

その先、わずか1分下ると、粥仁田峠(かいにだとうげ)でした。粥新田峠とも書きます。「煮た」の当て字らしいので、どちらでもいいのでしょう。大きな案内板があり、管理事務所の関係者らしい人が、その文字に白ペンキを入れ直していました。この峠で山道は終了です。先に進む前に、昭和60年に建立されたという、粥仁田地蔵尊にご挨拶しておきましょう。記念碑に説明があります。過去に何の不幸もなくて、お地蔵様が立つということはないでしょうから。

段落見出し 秩父高原、ふれあい牧場へ

これより「ふれあい牧場」に向かって、車道をテクテク歩きます。道端の青草に、ウスバシロチョウが目立ちました。いずれもすでに翅がボロボロ、鱗粉もスカスカになったになった「高砂」組。接近しても逃げません。あるいは逃げる力がありません。神奈川の平地では、春の終わりと共に消えゆく、スプリングエフェメラル。残った力でひらひらと飛び、生き続ける姿が健気です。幼虫は早春に孵化し、ケシ科のムラサキケマン、ヤマエンゴサクなどを食べます。

車道を15分ほど歩くと、開放的な空間に入りました。西方に、なだらかな山容の蓑山が望めます。ふれあい牧場まで0.5kmの案内板から、左の坂道を上ると、ぐっと展望が好くなりました。ここでもまた笠山や堂平山を望めます。道端に咲くムラサキツメクサは、蝶たちに大人気。ウラギンヒョウモンやモンキチョウの新鮮な個体は、まだ人に警戒心がありません。そして坂道を下りると、ふれあい牧場でした。牛に野菜を食べさせる人、撮影する人など、楽しそうです。

アルプスの少女ハイジのオープニング曲が、「♪おしえて」の歌声を乗せて、屋外スピーカーから流れました。すると、一斉に牛舎に帰り始める牛たち。人々もこれを見に集まって来ます。観光用のお食事タイムなのかも知れません。飼育員らしい人が、牛を数えていました。ここには、ソフトクリームの店、野菜の直売所(牛や羊にも食べさせられる?)、メーメーハウスなどがあります。私はモーモーハウスまで歩き、ヤギ舎の見える放牧広場で休憩しました。

段落見出し 天空のポピーを見て、バスで下山

最後に、ふれあい牧場からポピー畑まで、少し歩かねばなりません。来た道を戻り、車道の三叉路から西方に坂道を下ります。途中に、「あと1km。渋滞時は1時間」と書いてありました。きょうは平日なので、渋滞は全くありません。ポピー畑の駐車場にも、空きがありました。入口で入園料を払い、チケットを受け取ります。中学生以上300円。小学生以下は無料。チケットのデザインは、ちょっと残念かな。バス乗り場は、下の出入口にあるとのことです。

天空のポピーのウェブサイトによると、標高500m、5haの畑に、1000万本のシャーレ―ポピー(ひなげし)が咲くのだそうです。都合により、早咲きエリヤと遅咲きエリヤとに区分され、早咲きエリヤの赤いポピーが見頃でした。地中海地方の春に咲く、見渡す限りの真っ赤なポピーとは種類が異なり、花弁がうす紙細工のように華奢で、優しい感じがします。見る人、撮る人、触れる人など、人の目もやさしそう。奥の丘に立つと、ポピー畑を前景に、大霧山を望めました。

ポピー畑をゆっくりと2周し、構図がすてきだと思った場所で撮影しました。何とかして「天空」感を表現しようと試みたのですが、なかなか難しいものです。夕陽のポピー畑はどうでしょうか? でも17時で閉園です。私は16時発の最終バスに合わせ、下の出入口に行きました。バスは「和紙の里」で小川町駅行きに乗り継ぎます。合計運賃は500円でした。きょうは最初から最後まで楽チンコース。足はもっと歩きたがっていましたが、心は十分に満たされました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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