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菜畑山・今倉山・二十六夜山

菜畑山より望む白銀の富士山

菜畑山より望む白銀の富士山

菜畑山(なばたけうら)、今倉山、二十六夜山は、道志山塊の西部に、ほどよい間隔で配置され、ミニ縦走するのにうってつけです。天候次第で素晴らしい展望も期待できます。欠点は、入下山ともにバスの便がよくないこと。しっかり時刻表を調べて計画を立てましょう。

バス停 神奈中バス: 橋本駅 → 三ケ木(乗り換え)
バス停 神奈中バス: 三ケ木 → 月夜野(乗り換え)
バス停 富士急山梨バス: 月夜野 → 和出村 登山口
バス停 都留市内循環バス: 都留市駅 ← 西川 登山口

地図 地理院地図: 菜畑山 , 今倉山 , 二十六夜山

天気 菜畑山の天気: 道志村 , 道志の湯
天気 今倉山の天気: 今倉山頂 , 芭蕉月待ちの湯


コース & タイム 鉄道駅 橋本駅 バス停 6:20 == 6:51 三ケ木 バス停 6:55 == 7:38 月夜野 バス停 7:50 == 8:23 和出村 8:35 --- 9:16 送電線の下 9:33 --- 10:22 菜畑山 10:27 --- 11:01 水喰ノ頭 11:01 --- 11:58 今倉山(東峰)12:16 --- 12:34 展望の小岩 12:40 --- 12:50 西ヶ原 12:50 --- 13:02 赤岩 13:12 --- 14:05 二十六夜山 14:18 ---14:52 尾根から斜面への屈曲点 14:52 --- 15:08 仙人水 15:10 --- 15:39 登山道終点 15:39 --- 15:54 西川バス停 バス停 15:58 == 16:29 都留市駅 16:34 鉄道駅 ホリデー快速
※歩行時間には道草と撮影の時間が含まれています。
菜畑山、今倉山、二十六夜山 なばたけうら:標高 1283m、いまくらやま:1470m、にじゅうろくやさん:1297m、 単独 2015.12.05 全 7時間19分 満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

12月5日(土)、道志みちから菜畑山に登り、一路西へ、今倉山と二十六夜山を経て、上戸沢に下りました。終日快晴に恵まれ、雪の輝く富士山や南アルプスをはじめ、多くの山々をたっぷりと展望できました。

段落見出し雲一つない富士山!

富士山の見える山に行くとき、果たして実際に富士山が見えるかどうかは、登山者の大きな関心事です。私の場合、tenki.jp のサイトで、赤外図と水蒸気図のそれぞれに「雨雲を重ねる」ことで予想を立てます。今回の山行では、富士山がきれいに見えることに高い期待感をもって臨みました。

月夜野行きのバスは立つ客がいるほどの盛況でしたが、その大多数は焼山登山口で下車し、終点まで乗って行ったのは7人だけ。その全員が富士急山梨バスの長又行きに乗り換えました。運転士が各人の行く先を尋ね、運賃を教えてくれます。運賃表示板は使わず、車内アナウンスもありません。途中、行く手に富士山が見えたところで、「きょうは富士山がよく見えます。雲一つない富士山!」と運転士が言ったのが、唯一のアナウンスでした。

バスは「和出村」の直前で「道志の湯」に立ち寄ります。ひとつ前の「和出公民館入口」で下車すれば、10分ほど時間を節約できるでしょう。私は「和出村」から登山道への行き方を調べて行かなかったので、さらに10分ほどロスタイムを生じました。帰りのバスの時刻を気にしながらの山行計画なので、合計20分のロスはかなり痛いところ。もう道迷いは許されません。

段落見出し祝福された日

鹿ゲートを通って、約20分ほど植林帯の登山道を登ると、明るい落葉樹林帯に出ました。日当たりはよく、風もほとんどありません。先行していた5人組パーティーに追いつくと、千葉を早朝に出発して来たとのこと。しばらく一緒に、陽だまりの尾根道を登って行きました。やがて送電線の下に差しかかると、東方に素晴らしい展望がありました。道志みちを挟んで、左に道志山塊、右に丹沢山塊、はるか遠方にどこかの都市部が望めます。

林道を越えて送電鉄塔の下にまで行ってみると、今度は西方に素晴らしい展望がありました。まったく雲一つない富士山、右にドーンと御正体山、そして道志みちが谷間を蛇行しながら山中湖方面に細々と続いています。加入道山に隠されていた大室山も頭を出し始めました。

林道に戻り、先を急ぎます。きょうはいつものように道草を好きなだけ食ってはいられません。林道の終点近くに軽四車両があり、地元の方から「おはようございます。きょうの山登りは最高だね」と言われました。「はい、大当たりです!」と私。もし林道終点まで車で来れば、菜畑山は簡単に登頂できそうです。

段落見出し菜畑山

登山道の始まる地点に「林野庁認定、水源の森百選、道志水源林」と書かれた標識が立っていました。私の住む横浜市の水道水は、道志水源林のおかげです。聞けば、道志村の山林のかなりの面積を、横浜市が所有しているとか。なかなか来難い道志の山ですが、来たからには感謝して精一杯歩かせてもらいます。登山道は、はじめ檜と松の針葉樹林でしたが、10分ほど歩くと、ミズナラの多い落葉樹林となり、明るい日差しがいっぱいでした。

菜畑山まで20分と書かれた古い標識のあたり、時間の目途も立ったし急登で空腹を感じたので、腰を下ろしてお茶にしました。冬の定番、菓子パンを少しかじります。同じバスで来た2人組男性が、私を抜いて行きました。この方々も芭蕉月待の湯方面に下りて、都留市内循環バスに乗るとのこと。その後も抜きつ抜かれつ歩くことになりました。

10時22分、最初の目的地、菜畑山山頂に到着。期待どおりのすばらしい展望です。東の焼山に始まり、大室山、甲相国境尾根を経て、光る海、箱根の噴煙、宝永山をステップとした二段式滑り台のような富士の稜線、露払いの御正体山。こういうのを値千金の眺望と言うのでしょう。他方、朝日山をはじめ道志の山々は、立ち木が多くてあまりよく見えませんでした。

段落見出し今倉山へ

次の目的地、今倉山に向かいます。菜畑山頂の道標によれば、2時間10分の道。少々長いので、とりあえず水喰ノ頭を目指します。クマザサの生えた極めて明るい落葉樹の尾根道を、足取り軽く下ったり、登ったりして行くと、右手に姿の整った双耳峰が見えてきました。今倉山に違いありませんが、カラマツなどの枝がごちゃごちゃして、きれいな絵にはなりません。樹間に覗いた真っ白な南アルプスも同様。その後、足下のクマザサが濃くなり、行く手に現れた顕著なピークを登り詰めると、水喰ノ頭でした。

水喰ノ頭から4分ほど進むと、左手にすばらしい展望地がありました。やや競り上がった御正体山の向こうにスッキリ姿の富士山。道志みちと甲相国境尾根、三ヶ瀬川(さがぜがわ)が道志川に流入する扇状地など、最高によくできた立体模型を見るようです。その先もいくつものアップダウンを経て、今度こそ、今度こそと思いながら、やっと今倉山に到着しました。

今倉山頂では、先ほどの2人組が、南向きに座って談笑していました。360度見回したところ、どこにも展望がありません。時刻はちょうど正午。大きなブナの下に倒木があったので、腰を下ろして昼食にしました。すると、西から一人、二人と、人がやって来ました。合わせて5人ほどがバラバラに到着しましたが、山頂では一つのグループのようにしていました。きっとベテラン揃いなのでしょう。日差しは明るく暖かいのに、鳥の声も風の声もない山頂。でも人が来てくれたと、山は喜んでくれているかな?

段落見出しさらに西へ

きょうの行程は、所要時間から考えると、まだ半分しか来ていません。でも所要エネルギーから考えれば、70%はすでにこなしたでしょう。長居をする理由のない山頂なので、食事が終わるとすぐに立ち上がりました。引き続き西へと、雰囲気のよいモミやカラマツの林を進んで行きました。

今倉山東峰から12分ほどで西峰(約1480m)に着きました。標高は東峰よりも高く、こちらが主峰かも知れません。山頂には赤い私製標識があり、「御座入山」と書かれています。さらに5分ほど行くと、小さな露岩があり、富士山はもちろん、きょう初めて南アルプスをきれいに望めました。この先、赤岩でもっと優れた展望があることを知らなかったので、ここぞチャンスとばかり、撮影に時間をかけました。特に聖岳、赤石岳、荒川三山には、格別な思いがあり、見れば胸が熱くなってしまうのです。

小さな露岩から10分ほどで、西ヶ原と呼ばれる分岐点(1383m)にやって来ました。ここからパラジマ沢沿いに道坂(どうざか)隧道までは約60分の下り道ですが、12月から3月までと、8月のバスは運休です。道坂隧道までマイカーで来て、今倉山と赤岩とを周回するのが、最も手軽なプランかも知れません。そして西ヶ原から10分、大きなミズナラの立つピーク(約1450m)を越えると、赤岩(約1450m)にやって来ました。

段落見出し赤岩と二十六夜山へ

赤岩の展望は、この日の圧巻でした。360度ぐるりと、すばらしい展望に酔いしれそうです。見える山の名を全部書いたら、大変な長さになるでしょう。見渡す山々の大半には、一つ一つの峰や峠に思い出があり、赤岩は登山人生の展望台と言えそうです。本当に良い日に、良い場所に来れました。

赤岩を後に、最後の目的地、二十六夜山に向かいます。ミズナラやブナの林立する明るい尾根を下って行きました。ここでは変化に富んだブナの樹形に目が引かれます。もったいないと思いながら30分ほど下ると、行く手に高い峰が見えてきました。二十六夜山に間違いありません。なのに、まだまだ下りが続きます。最後に滑りやすい丸太の土止め階段を慎重に下りて、ようやく舗装された林道に降り立ちました。

舗装林道を右に1分登り、歩いて来た尾根の続きに取り付きます。先ほどは遠そうに思えた二十六夜山でしたが、15分ほど登ると、山頂でした。赤岩ほどではありませんが、ここも素晴らしい展望の峰です。東面の道志山塊の展望がよいので、きっと月の昇る様がよく見えることでしょう。きょうは旧暦十月二十四日、午前7時ころ、三ケ木の空に細い月を見上げました。もっと細い二十六夜月は、何時ころ昇るのでしょうか。ここで、月待ちの人々はどんな思いを胸に、夜を過ごしたのでしょう。

段落見出し下山

きょう一日中励ましてくれた富士山と周辺の山々に一旦別れを告げ、下山の途に就きます。廿六夜塔の頭を撫で、都留市の名山案内をサッと読み、登山道の分岐図を見ました。下山路は戸沢方面(右)と引き野田方面(左)とに分岐しますが、道が分かりやすくて所要時間も短い戸沢ルートに決めて来ました。まず北向きに尾根を直下降します。積もった落ち葉がスリップを誘いそうですが、張られたロープをつかんでいれば谷へ滑落する心配はなく、せいぜい尻餅をついて止まるでしょう。

山と高原地図によれば、山頂から「小さなコル」まで所要20分ですが、ゆっくりと歩いたので34分もかかりました。この「小さなコル」には「下山道」の標識があり、道は右の斜面へと屈曲します。道がジグザグになったので、何倍も歩きやすくなりました。快足で下って行きます。「小さなコル」から15分ほどで、「仙人水」にやって来ました。岩の割れ目から、蛇口1本分程度の水量が流れ落ちています。さっそく手と顔を洗い、両手で水を受けて3杯飲みました。

その後、「かっちゃ石」や山の神を経て、木橋で矢名沢右岸に渡り、10分ほど沢沿いに歩くと、狭い舗装道路に飛び出しました。人里に入ると、正面に九鬼山を眺めながら歩くようになります。紅葉はすでに平地まで下りていて、美しく懐かしみのある里山風景がありました。この道は10分ほどで、普通の車道と出合い、右は芭蕉月待ちの湯、左が赤坂駅方面です。私は左へ5分歩いて、西川バス停でゴールインとしました。

段落見出し感謝の日

バスは4分後にやって来ました。きょうの時間調整は大成功! 可愛らしいコミュニティバスに気分よく乗り込み、終点の都留市まで30分間のバスツアーを楽しみました。運賃は、1乗車200円均一です。そして都留市駅では、5分待ちでホリデー快速富士山新宿行きに乗れました。快適な特急型車両です。こうして、予想外に早く帰宅することができました。のんびり風呂に入って、めでたし、めでたし。すべて感謝、感謝です。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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