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丸岳(箱根外輪山)

丸岳(箱根外輪山)

丸岳より、箱根外輪山、伊豆半島、駿河湾を望む

丸岳は、芦ノ湖の北方にあり、箱根外輪山の一峰です。

バス停 小田急箱根高速バス: 最寄停 → 乙女峠 登山口
バス停 小田急箱根高速バス: 最寄停 ← 仙石高原 登山口

地図 地理院地図: 丸岳

天気 丸岳・湖尻・仙石原の天気: 箱根町 , 芦ノ湖 , 箱根

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コース & タイム 最寄バス停 バス停 == 乙女峠バス停 8:44 --- 9:11 乙女峠 9:20 --- 9:53 丸岳 10:01 --- 10:26 富士見台 10:28 --- 10:44 長尾峠 10:45 --- 11:34 富士見ヶ丘公園 11:57 --- 12:07 箱根芦ノ湖展望公園 12:10 --- 12:49 湖尻峠 12:50 --- 13:07 深良水門 13:13 --- 13:33 湖尻水門 13:37 --- 14:19 自然探勝歩道南口 14:19 ---(サイクリングコース)--- 14:36 自然探勝歩道北口 14:37 --- 14:44 早川左岸の休憩所 14:53 --- 15:23 ススキ草原 15:57 --- 16:00 仙石高原バス停 バス停 16:06 == 最寄バス停
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
丸岳 まるだけ:標高 1156m 単独 2017.10.26 全 7時間16分 満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

10月26日(木)、箱根外輪山の北西部、乙女峠から湖尻峠にかけて、稜線のハイキングコースを歩いてきました。びっしりと繁る箱根笹が、目隠しのように左右の眺望を遮っていました。でも、所々でパッと現れる芦ノ湖や富士山のパノラマは、絵のように美しく、幾度となく心がときめきました。その後、芦ノ湖畔の深良水門に下り、遊歩道とサイクリングコースをテクテク散歩。終点の仙石原では有名なススキ草原を見物し、美しい秋の道草をたっぷりと食ってきました。

段落見出し 乙女峠バス停から乙女峠へ

台風21号と22号の合間にできた、貴重な快晴日。秋晴れの箱根に行くなら今だ!と、前夜に高速バスをネットで予約しました。バスに乗ると、おお、私の席に「予約席」と書かれたプレートがある! 以前は、座席指定とは名ばかりで、「空いている席にお掛けください」でしたが、改善されたようです。これも東京五輪、パラリンピックのおかげでしょうか。席は最前列のかぶりつき。晴れ渡った空。丹沢、富士山ほか沿線の山々が、右から、左から、生き生きと登場します。

美しく雄大な富士山を望む、国道乙女峠で下車。バス停の名は「乙女峠」ですが、本家の乙女峠は、登山道を約30分登ったところにあります。前日までの長雨でじめじめした登山道。足慣らしのため、ゆっくりと登ります。体がほどよく暖まった頃、乙女峠に到着しました。富士山の方角が景観伐採され、富士山がよく見えるようになっています。でも、枝を切り落とされ、裸になった木々がそのまま立っていました。これはまずいのでは? 美しい絵画に粗雑な額縁のようです。

乙女峠に着いたら、すぐに丸岳に向かわないで、少しだけ金時山方向に行きましょう。すばらしい展望の休憩所があります。特に、威厳ある神山の姿と、白煙を上げる大涌谷とを眺めるのに絶好の位置です。手前の山は台ヶ岳。山裾にススキ草原とその遊歩道とが見えます。きょうのゴールは、あのススキ草原。楽しみです。山々はまだ濃い緑ですが、その表面に紅い色が表れ始めています。山の空気は爽やか。汗をかく前にベストを脱ぎ、リュックの中にしまいました。

段落見出し 丸岳へ

これより箱根外輪山の稜線を歩きます。道は幅広、よく整備され、遊歩道と言ってもいいほど。でも、左右の樹木や笹が目隠しになって、あまり展望が利かないことは、来てみるまで分かりませんでした。それだけに、突然のように現れる大パノラマは、演出効果もあって、ここを初めて歩く私にとって、胸躍らせる景観。その第一が、丸岳山頂にありました。箱根の中央にひときわ高い神山、青い水を湛える芦ノ湖、脈々と連なる外輪山。手の込んだ造形。何と言う開放感!

きょうは、ここに来てよかった! つくづくそう思いました。でも、こんな素敵な稜線で、どうして誰とも出会わないのだろう? 金時山はきっと賑わっているだろうに。富士山が見えないから? それは言えるでしょう。でも、富士山をすっきりと、裾野まできれいに見渡せる場所は、この稜線上にいくつかあります。まあ、とりあえず、私が独り占めしましょう。ところで、山頂の1、2分先に、もっと眺望のよい場所がありました。駿河湾と伊豆、明神・明星と相模湾を一望!

稜線を進んで行くと、愛鷹山が見えてきました。あの峰から、箱根はどう見えているのでしょうか? 足下には、アザミ、野菊、リンドウなどが、目いっぱい日差しを浴びています。丸岳から25分ほど下ると、「富士見台」なる木製の展望台がありました。「富士山と芦ノ湖が見えるのはここだけ」と書いてあります。ただ、両方を同時に見るには、180度以上のパノラマを写すカメラか、鏡が必要です。この展望台に上がり、美しく装ったそれぞれを、しっかり見てあげました。

段落見出し 富士見ヶ丘公園へ

引き続き進んで行くと「長尾峠」と書かれた古い標柱が立っていました。そのすぐ先に分岐があり、「仙石原20分」と書かれています。この20分というのは、サイクリングコースに下り立つまでの所要時間で、桃源台または仙石高原バス停までは、さらに1時間ほど歩かねばなりません。間違えないよう、コースタイムの記入された地図を持って行きましょう。さて、長尾峠から箱根スカイラインと並行して歩くようになります。車の走行音や、人の笑う声が聞こえてきました。

長尾峠の10分ほど先、「トイレ⇒」と書かれた分岐がありました。箱根スカイラインのトイレが利用できそうです。ハイキングコースは、右手の笹薮によって隔てられているので、ビュンビュン走る車やバイクが見えません。ところが、ある箇所で笹薮の切れ目からちょっと出て見たら、富士山が丸見えでした。料金所のすぐ南の地点です。絶景がほしいままのスカイライン。延々と続く笹薮を恨めしくも思いましたが、歩行者の安全を守るフェンスの役目もあるのでしょう。

緩やかなアップダウンを越えて行くと、行く手の小峰(1063m)の中腹に緑地が見えてきました。休憩と食事に好さそうです。果たしてそこは「富士見ヶ丘公園」で、その名の通り、富士山とその広大な裾野をストレートに望める空間でした。来た道を振り返ると、電波塔の立つ丸岳、力こぶのような金時山、遠く丹沢の峰々、その右端の大山まで、きれいに望めました。さっそく草の上に腰を下ろして大休止とします。あの富士山は、帽子の冠り方がちょっと小粋かな。

段落見出し 湖尻峠へ

休憩を終え、先に進みます。1063m峰の登りには、ヤマボウシの赤い実がたくさん落ちていました。いつか食べてみたことがありますが、美味しくなかったので、二度と口にしていません。その小峰を下ると、湖尻水門への分岐でした。湖尻水門へは20分。桃源台バス停へはプラス15分。エスケープルートとしても使えるでしょう。この分岐から2分ほど行くと「箱根芦ノ湖展望公園」でした。車で来た人々も、ハイカーも、ここで一緒に芦ノ湖の展望を楽しめます。

その公園から7分ほど先の1018m峰で、ハイキングコースは左折し、湖尻峠への下り道になります。道標に「湖尻峠15分」とあります。でも、ここは芦ノ湖を正面に見るすばらしい展望の道。今まで見られなかったマツムシソウや、色々の花も咲いていて、私は30分以上を要しました。私がカメラの電池を交換していると、二人のランナーが、この真っ直ぐな草原の道を駆け下りて行きました。さぞ、気持ちよかったことでしょう。今の私は、全く走る気になりませんが。

花と風景とを交互に眺めながら、ゆっくり、ゆっくり歩いて、湖尻峠に下り立ちました。ここで箱根スカイラインを横断しなくてはなりません。横断歩道はないので、車によく気を付けて渡りましょう。これより深良(ふから)水門まで約15分、石畳の道を下ります。階段にも石畳が敷かれていて、もしスリップすると大怪我を負いかねないので、慎重に歩きましょう。きょうはスニーカーを履いてこようかとも思いましたが、トレッキングシューズを履いてきて正解でした。

段落見出し 深良水門・湖尻水門・早川

深良水門で、湖岸に立つことができました。湖水は透明で、底が見えます。桃源台を望むと、ロープウェイの支柱の列とゴンドラが見えました。水門のわきに「深良用水の沿革」の書かれた説明板があります。1666年から3年半の歳月をかけて、湖尻峠の下を通る、当時としては未曽有の全長1280mのトンネルを貫通させたとのこと。この地下用水路は、地理院地図に青の破線で示されています。山地の用水路や、山上の送電線を見ると、人間も大したものだと思います。

深良水門から湖尻水門まで、湖岸の道を歩きます。残念ながら、芦ノ湖は樹木の隙間から覗くだけ。20分で湖尻水門に到着しました。こちらは4基の水門を備えた立派なものです。東海道本線に早川という駅がありますが、あの早川はここが源頭です。ところが、水利権の問題があって、この水門が開くのは、大雨で水位が上昇した時だけだとのこと。防災のためには大切だけど、何だか悲しいような湖尻水門。大変な苦労をして掘り抜かれた深良用水を、陰で守っています。

これより仙石原方面へ、サイクリングコースを延々と歩きました。何か箱根の自然と出遭えるかもしれないと思ったからです。ところが歩いてみると、足に辛いアスファルト舗装である上、あまり展望のない道。半分ほど歩いたら疲れてしまいました。「湖尻自然探勝歩道」はパス。「この道は、一人歩くにゃ広すぎる。」無言でつぶやき、我慢の歩きを続けました。早川左岸に、うれしやベンチ2脚。一息つきます。さらさら、さらさら。せせらぎの音に、少し癒されました。

段落見出し ススキ草原

早川と別れる地点よりススキ草原に至るまでの道が分かるかな、と心配しましたが、要所要所に立つ道標のおかげで、難なく行けました。最後に県道を渡り、ススキ草原の入口に行くと、すごい人出。さすが有名観光地です。土休日にはどれほどの人が押し寄せるでしょうか。人ごみを早く抜け出そうと、遊歩道を急ぎます。高級カメラを手にした人々。ウェディングドレスの女性。和服姿の女性。撮影する男性。飛び交う中国語、韓国語、英語、日本語、等々。

言うまでもありませんが、雑踏とは関わりなく、ススキの草原はきれいでした。ススキは少し黄金色になり始めたところ。むしろ残った緑色が美しく、ススキを引き立てているように思いました。気合を入れてカメラを構えます。順光でカシャ。逆光でカシャ。半逆光でカシャ。遊歩道の終点まで登ってUターン。金時山とススキ。乙女峠とススキ。丸岳とススキ。カシャ、カシャ、カシャ。これらの情景はすべて、自分自身のための記憶遺産です。

時計を見て、仙石高原バス停に行きました。長い行列に並び、新宿行きのバスを待ちます。先に小田原駅行きが来て、客たちが乗り込むと、私一人が残されました。次いで新宿行きが少し遅れて到着。バスに乗り込み、PASMOで運賃を払うと、6Dの席をくれました。着席すると、たちまち夢見心地に ... きょうも美しいものをたくさん見ることができ、無事に家路に就くことができ、本当に感謝です ... 。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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