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柏原ノ頭(尾根コース)

柏原ノ頭への最短路、南東尾根

柏原ノ頭の南東尾根

平戸~鳥屋分岐間の旧登山道は、多くの地点で道崩れが進み、通行禁止となっています。また「柏原ノ頭」の名を記した標識類は、山頂と旧登山道から撤去されています。

バス停 神奈中バス: 橋本駅 → 鳥屋 登山口
バス停 神奈中バス: 三ケ木 ← 上原 登山口
バス停 神奈中バス: 橋本駅 ← 三ケ木(乗り換え)

地図 地理院地図: 柏原ノ頭 , ヤマレコ足跡図

天気 柏原ノ頭の天気: 相模原市緑区 , 青野原

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コース & タイム 鉄道駅 橋本駅 バス停 8:55 == 9:38 鳥屋 9:39 --- 9:55 コッコパーク跡手前の道標 9:56 --- 10:37 旧登山道を離れる尾根 10:37 --- 11:09 柏原ノ頭 11:18 --- 11:30 エンナミノ頭 11:33 --- 11:41 旧登山道の道標(平戸3.0km 焼山3.7km)11:43 --- 11:52 エンナミノ頭 12:09 --- 12:19 596m峰 12:22 --- 12:52 茨菰山への分岐 12:53 --- 13:26 413m峰 13:37 --- 13:55 氷華発生地 14:02 --- 14:04 寺入沢渡渉点 14:09 --- 14:28 上原バス停(登山終了)14:30--- 14:38 井原寺 14:46 --- 15:03 {青野原大橋} 15:11 --- 15:37 青野原関所跡 15:37 --- 青野原バス停前の児童遊園地(大休止)--- 上原バス停 バス停 16:27 == 16:42 三ケ木 バス停 16:50 == 17:33 橋本駅 鉄道駅
※歩行時間には小休止と写真撮影の時間が含まれています。
柏原ノ頭 かしばらのあたま、かしわばらのあたま:標高 632.6m 単独 2019.1.4 全 4時間49分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

1月4日(金)今季東丹沢ヒル休み山行第4弾。先月28日に旧柏原登山道(廃道)を偵察した後、尾根歩きのコースを思い着きました。一般に、尾根道はトラバース道よりも崩れ難いものです。そこで今回は、平戸の焼山登山口より旧登山道に入り、途中から柏原ノ頭の南東尾根を登りました。廃道の道崩れ箇所をすべて避ける、より安全で楽なルートです。また下山路として採用した寺入沢中間尾根も、道標こそありませんが、歩きやすく、明瞭なルートでした。

鳥屋から、旧登山道へ

鳥屋でバスを降り、串川上流の平戸に向かいます。林道奥野線に入り、しばらく行くと、3年くらい前までは鶏の鳴き声が聞こえたものでした。その宮ヶ瀬コッコパークがあった場所は、先月末までに更地となっています。その跡地の手前で右折。するとすぐ左手に、焼山と平戸を指し示す古びた道標が、今も旧ハイキングコースの遺物のように立っています。右前方からは、犬たちの吠える声が聞こえますが、果たして小型犬のブリーダー業者らしい施設がありました。

左手に立派な登山道があり、正面の尾根の南側へと続いています。ここに通行禁止の注意書きはありません。心置きなく登山道を進んで行きます。送電鉄塔を右に見て、登山道が西方に向きを変え始めると、植林の伐採現場がありました。まだ片付けがされていないので、伐られた幹、枝、葉などが登山道を覆い尽くしています。ここは道形通りに歩くことはできないので、道のありそうな方向に向かって、乱雑に倒れた木々を踏み越えて行きました。

再び道を見つけると、それ以後に伐採現場はなく、ほとんど荒れていない普通の登山道を気持ちよく登って行きました。倒木箇所に2回遭遇しますが、巻くか、越えるか、くぐることができます。それを過ぎると、陽だまりの道を軽快に登りながら、左手に半原高取山や仏果山を望めました。その先で、右手に展望があり、一見、風巻ノ頭に似た峰が見えますが、柏原ノ頭北稜(寺入沢中間尾根)の596m峰か、570m峰でしょうか? ここは、記憶しておきたいポイントです。

柏原ノ頭へのすてきな尾根道

そのポイントの1分先で、今まで歩いてきた登山道を左に分け、正面に立ち上がる尾根を直進します。もし登山道をそのまま進むと、道崩れに苦しめられることになるでしょう。ここが苦楽の分かれ目です。そして尾根を登って行くと、南面が開け、蛭ヶ岳、本間ノ頭、栂立尾根などを望めました。きょうの路程の前半の、最も楽しいところです。この辺りは等高線の間隔が広く、地形図に表れないほどの緩やかな下り坂もありました。冬枯れの明るい落葉樹の道は、すてきです。

快活に歩いた落葉樹林の道が終わり、杉・檜の植林帯に入りました。短い黄色や赤の杭と、コンクリートの杭がかため打ちされていますが、これはその先にも点々と続きます。植林の隙間から、右手に南山と権現平を望める場所もありましたが、総じて展望は利きません。Google MapsアプリをONにすると、白地図の中に柏原ノ頭と現在地だけが表示されました。そして軽く一登りで柏原ノ頭に登頂。「火気に注意」のリス君以外、標識類は一切ありません。

展望もあまり優れません。梢越しに東面の山並みが辛うじて望めますが、どこがどこなのか判然としません。西面には焼山や風巻ノ頭を望めますが、写真を撮るには立木が邪魔です。柏原ノ頭に登頂したことはうれしいのですが、休憩するような場所でもないので、エンナミノ頭に向かいましょう。ほとんど起伏のない尾根を北北西に進んで行きます。尾根上には、払い落されたばかりの針葉樹の大枝小枝がびっしり。植林のメンテナンス作業が進行中のようでした。

エンナミノ頭~廃道間に作業道

エンナミノ頭に到着する直前で、焼山と風巻ノ頭とをきれいに望めました。撮影するのなら、ここがそのチャンスです。そして、あっさりとエンナミノ頭に到着。この峰にも標識類はありません。でも探すと、立ち木に山名の落書きがありました。柏原ノ頭よりも狭いけれども日が当たる山頂なので、休憩にはよい峰だと思いますが、その前にきょうはサブミッションがあります。それは、地理院地図に記されている径路を歩き、旧登山道との接続点を確認すること。

エンナミノ頭から南西方向に下ります。幸い、ほんの少し下ると、ジグザグの作業道がありました。この付近一帯でなされている森林作業のおかげかと思います。スタスタと作業道を下り、旧登山道に下り立ちました。そこは、旧登山道が直角に曲がる地点で、西に15mほど行くと「平戸3.0km 焼山3.7km」の道標が立っている場所です。もし南へ進むと、道崩れ2か所、ロープ場1か所を経て、柏原ノ頭の南西尾根を巻く屈曲点に至ります。

将来、もし旧登山道の崩壊が進み、どう頑張っても通行できなくなった場合でも、エンナミノ頭と柏原ノ頭を経由して迂回できそうです。山林の作業員は、その径路を使っていると思われます。ただ、私たちハイカーが通行するのは、緊急事態を除き、少なくとも林業の作業時間中は遠慮する方がよいと思います。そんなことを考えつつ、エンナミノ頭に戻りました。旧登山道の道標からの所要時間は、片道8分ほど。山頂の日だまりに腰を下ろし、お茶とおやつにしました。

寺入沢中間尾根を下る

下山は、エンナミノ頭から北に向かい、寺入沢中間尾根(仮称)を経て、青野原を目指します。この尾根は、寺入沢本流右岸尾根、あるいは寺入沢右俣右岸尾根と呼ぶこともできるでしょう。柏原ノ頭-茨菰山をつなぐルートとして歩く人が、時々いるようです。他方、まっすぐ青野原まで歩いたハイキング記録は、ないかも知れません。どのように歩けるか、きょうは楽しみです。ちょっと長めの頑丈そうな枝を拾い、落ち葉の積もった、やや急な下りに足を踏み出しました。

エンナミノ頭から約10分で、596m峰に着きました。松の木が何本か立つ山頂は、笹が密植していて、休める広場はありません。振り返って、エンナミノ頭に再度別れを告げ、前に進みます。尾根道に特に荒れた箇所はなく、ヤセ尾根や下り坂で落ち葉に足を取られないように気を付けさえすれば、大丈夫でした。大部分は緩やかな尾根です。596m峰から30分ほどで、茨菰山への分岐に到着。「鳥屋猟区」の白い看板(相模原市)と赤い看板(津久井町)とが立っています。

地図を広げ、茨菰山と仙洞寺山の位置を確認します。「水源の森林」と書かれた赤帽白杭の手前で右に下ると茨菰山へのルートですが、その下り始めはかなり急峻なように見えました。寺入沢へは、赤帽白杭の左に下ります。ここでも落ち葉によるスリップに注意しました。その後、軽く登り返して小峰を越えると、尾根幅がだだっ広くなり、行く手に413m峰が見えてきました。峰というより、膨らみです。少し先の明るい場所で、東に茨菰山を眺めながら、お茶にしました。

氷華がいっぱい!

413m峰からは、地図に記された山道ではなく、尾根すじをひたすら北へと進みます。すると、尾根の最北部は、ジグザグの作業道になっていました。とても楽チンです。やがて道が尾根の西に回り込むと、沢音が聞こえてきました。そして寺入沢に下り立つ直前で、シモバシラ(かな?)の氷華を発見! 足が止まります。よく見ると、氷華はたくさんありました。これはきょうのご褒美だ!とばかり、道草モードに移行。急いだところで、すぐに乗れるバスはありません。

氷華見物をたっぷり楽しんでから、寺入沢に下りました。水が少ないのは、今日で連続12日間も晴天続きだからでしょうか。そういえば、鳥屋で見た串川の流れも、ほとんど涸れていました。寺入沢を簡単に越えます。ちょうど送電線(佐久間東幹線)の真下あたりです。左岸に移った道をわずかに上ると、林道に出て、この林道もすぐに舗装区間に入りました。「きょうは早く終りすぎるなあ」という気分です。寺入沢を深く見下ろすところに「ほたるのお宿」がありました。

車止めゲートをすり抜け、反対側から見ると「林業関係者以外進入禁止」となっていました。でも「ほたるのお宿」があるのですから、歩行者の通行はかまわないのではないか、と勝手に解釈することにします。上原の集落に入ると、ご年配の夫婦から「きょうはいい塩梅で!」と挨拶されました。朝からずっと快晴・微風の、すばらしい登山日和です。そして右手に井原寺(せいげんじ)を見ると、まもなく上原バス停にゴールインしました。

青野原ミニ観光

次のバスまで、1時間50分もあります。きょうは予想以上に径路の状態が良好で、バス停に早く着き過ぎてしまいました。未知のルートで時間調整ができなかったのは、仕方ありません。暖かい日差しがあるうちに、青野原を散策することにしましょう。まずはバス停から見える2体のお地蔵様。真っ赤なニットの帽子とエプロンをまとって、子供らしい趣。石造りですが、顔がわからないほど風化しています。もしかして、首なし? 恐れ多いので、確かめはしませんでした。

すぐ近くの井原寺は曹洞宗。禅寺はきれいにできているので、観光向きです。コンパクトながら美しい山門に「御本尊延命地蔵願王尊」と書かれ、左右の仁王像が守っていました。応永24年(1417)に創建されたので、一昨年600周年を迎えたことになります。次は、青野原大橋。長さ170m、幅11mの大きな橋で、左右に歩道があります。ラーメン橋は風景を眺めるのに最適で、三角山や焼山などをすっきりと望めました。深い谷間を流れる寺入沢を覗くと、滝も見えます。

青野原大橋を渡ると、梶野交差点から南の高台に上りました。石老山・高塚山の山体が、陰影も豊かに、なかなか見ごたえがあります。そこから道志みちに下り、青野原関所跡に行きました。関所跡と言っても、今は石碑と説明板があるだけです。読むと「ふ~ん」と思う内容が書かれていました。ここはそれだけ。すぐ近くに「永井家の梨の木」があります。梨の木としては大木で、樹齢約150年。昨年の春、満開の真っ白な花を見たことがありますが、それは見事でした。

最後は永井家の向かいの児童公園で休憩し、おやつと紅茶の残りを片付けました。バスが来るまで、まだ50分もあります。寒くなったので整理運動をしました。夕暮れの迫り来る村に、チャイムが鳴り渡ります。早くも太陽は丹沢の山の陰に隠れてしまいました。こうして今までただ通過するだけだった青野原でひと時を過ごし、この村への親しみが増した気がします。

柏原ハイキングコースは復活するか?

先回と今回の山歩きで、平戸から桃ノ木沢ノ頭付近までは、道崩れ箇所をすべて避けて歩けることが確認できました。その先、焼山までジグザグ道ができれば、めでたくハイキングコースが復旧、万々歳です。いつか将来、焼山山頂東面で山林の作業が行われれば、そんなこともあり得るかも知れません。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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