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盆前山~豆佐嵐山~今熊神社~広徳寺

入山トンネル北口

入山トンネル北口

盆前山は「東京の里山100選」(石原裕一郎氏の著書) に選ばれた一峰です。整備された登山道や道標はありません。地図、コンパス、GPSなどが必携の山域にあります。

「豆佐嵐山」の読みは、「ずさわらしさん」と「ずさらしやま」がネット上に見られます。

バス停 西東京バス: 西八王子駅 → 小津町 登山口

地図 地理院地図: 盆前山 , 豆佐嵐山 , ヤマレコ

天気 発着地の天気: 八王子市 , あきる野市

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コース & タイム 鉄道駅 西八王子駅 バス停 7:10 == 7:38 小津町バス停 7:46 --- 8:43 前盆前 8:44 --- 8:53 盆前山 9:02 --- 9:57 恩方山 10:17 --- 10:50 高留沢ノ頭 10:55 --- 11:19 570m+展望地 11:24 --- 11:46 入山トンネル南口 11:47 --- 12:20 入山峠 12:23 --- 12:40 豆佐嵐山 12:50 --- 13:36 今熊山園地 13:41 --- 14:10 今熊神社下社 14:11 --- 14:42 小和田峠 14:42 --- 14:58 広徳寺 15:04 --- 15:16 小和田橋 15:16 --- 15:36 武蔵五日市駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と撮影の時間が含まれています。
盆前山(ボンゼン山)、豆佐嵐山 ぼんぜんやま:標高 498.1m、ずさわらしさん、ずさらしやま:標高 648m 単独 2023.12.18 全7時間50分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

12月18日(月)、東京都八王子市小津町の盆前山に登り、さらに入山峠を経て、武蔵五日市駅まで歩いてきました。予想通り、コース前半はアップダウンの連続。特に急勾配の登り下りでは、乾いた落ち葉の堆積に難儀しました。緊張した神経と疲れた足とを休めるため、コース後半では、入山トンネルから入山峠まで、林道盆堀線を省エネ水平歩行。その後も豆佐嵐山を除くすべての峰を巻き、静穏の山歩きを楽しんできました。

小津町へ

足腰のメンテナンスと静かな山歩きのできそうな山を探していたら、ボンゼン山を思いつきました。「東京の里山100選」にも入っていて、極上のコースだとか。アプローチに利用できるバスもあります。と言っても、西八王子駅から登山口の小津町まで行くバスは、平日に3便だけの運行で、土休日の便はありません。7時10分発の1番バスに乗るために「乗換案内」アプリで接続を調べ、目覚ましを使って起床しました。ところが駅に行くと「8分の遅延」とのこと。

実は、そんなこともあろうかと、1本早い電車に乗ろうとしていたのです。結果的に電車は9分遅れで発車し、バスに乗るにはちょうどよく西八王子駅に到着しました。バスは座席が全部埋まるほどの乗客がいましたが、皆さん次々と下車していき、「恩方ターミナル」を過ぎると、乗客は私だけになりました。この路線は、一旦廃止になったものが復活したのだそうです。バスは「モリアオガエルの道」とかいう道を走り、終点「小津町(おつまち)」に定刻到着しました。

小津町では、3人の児童が私の乗って来たバスに乗りました。スクールバスとしても運行しているのでしょう。外の空気はとても冷えていたので、少し念入りに準備運動をしました。手の指がかじかむのですが、カメラをいつでも使えるよう、我慢できるうちは手袋はしません。気合を入れて、ロータリーの左手の「西沢橋」に進みます。橋から100m少々行くと、「ボンゼン山」を指す古びた道標があり、そこから右へ鋭角に、白いガードレール付きの坂道が分岐していました。

混合樹林と針葉樹林と

その坂道に入り、道なりに進むと、左手に神社があり(小津神明神社)、ボンゼン山の取りつき地点をすでに通り越したことが分りました。来た道を戻ってみましたが、取りつき点が不明です。でもここしかないだろうと見当をつけ、畑地の隅からヤブ道に入りました。すると小さな墓地があり、ヤブ道はその参道のようです。この墓地の先に道形は見つかりませんでしたが、そのまま尾根に向かって斜面を登りました。よく探せば、どこかに道があったのでしょうか?

墓地から5分ほど登ると、尾根上に2本の大きなモミが門のように立っていました。その1本は枯れています。一般登山道なら危険木として、すぐに伐られるでしょう。この尾根はなかなかに急峻で、落ち葉に足を乗せるとズルズルと滑ります。こうなるのをある程度予想してはきましたが、思いのほか難儀しました。山慣れしていない人とこの山に登るのなら、落ち葉の少ない季節がお奨めです。やがて尾根の勾配が緩み、尾根上にどっしりと立つ大モミが次々と現れました。

針葉樹林の林床には、ミヤマシキミの小株がたくさんあり、花や実もありました。ヤブツバキに似た常緑照葉樹も見られましたが、花はありません。冷え込んでいたせいでしょうか、キジョランの葉がみな丸まっていました。鬼女の白髪に例えられる綿毛は、ほとんど残っていません。でもよく探したら、1個だけ種をびっしりと抱えた実があり、白毛をなびかせていました。こうした針葉樹林は、見た目にはうす暗いのですが、滑る落ち葉がないので、楽々と歩けます。

「前盆前」と「盆前山」

やがて行く手に一つのピークが見えてきました。前盆前(まえぼんぜん)です。この名がなければ、単なる「にせピーク」になってしまうかも知れないので、名をもらって良かったですね。前盆前に登ると、盆前山が目と鼻の先に望めました。少し下って、少し登り返して、盆前山に登頂。三等三角点石があります。山名標は、前盆前のそれと同じつくり。眺望は好いとは言えませんが、葉の落ちた枝を透かして、奥高尾・陣馬方面と入山尾根とをなんとか望めました。

家で朝食をとってこなかったので、駅の売店で買ったフレンチトーストをここで食べました。ベンチなどは無いので立ったまま、熱々のレモンティーと交互に飲み込みます。この分厚いパンを半分食べたところで、ほぼ満腹。まだまだ先が長いのでリュックを閉じ、次の恩方山に向かいます。軽く下って、ごく軽く登り返した先で、ピンクのテープが目に入りました。「恩方山→」と、書いてあります。地図を見ることを怠っていたので、危うく道を間違えるところでした。

地図を確認して右折すると、そこは激下り。と言っても長くはありません。バランスを崩さないように下りきって、また登り返します。510m+峰、490m+峰と越えた先で、尾根が岩稜っぽくなり、そこを登り切るとすぐ、標高536mの恩方山でした。私製標識が二つ、針金で立ち木に緩く取り付けてあります。この針金が幹に食い込まないよう、誰かが緩めてやったのでしょう。私製標識の取りつけ具合は必ず見るのが、私の習慣です。恩方山頂では、丹沢三峰を望めました。

ストック入手

私は普段の山歩きで、ストックを使いません。しかし今回は、恩方山頂で杖を現地調達しました。この杖(木の枝)で落ち葉を払い除けながら歩を進めるのです。急勾配では落ち葉が容易に吹っ飛び、地面が露出し、普通に歩けるようになります。落ち葉を払う時間を差し引いても、速く進めるので、ストレスも大幅に軽減されます。そのせいか、550m+峰への登りではどことなく夢を感じました。次の560m+峰の明るい尾根には、ヤマザクラの株立ち。咲くときれいでしょう。

高留沢ノ頭(589m)で尾根のT字路に突き当たります。左(南東)に下れば陣馬街道に下り立ち、きょうの山歩きは終了。余裕綽々で帰宅できるでしょう。もちろんそんな気は全くないのですが、エスケープルート(緊急下山路)の候補として確認だけしておきます。逆に右に進めば、武蔵五日市駅まで長い道。下山路の候補は4本ほどありますが、きょうは最も安全・確実な道を下りるつもりです。ところで、高留沢ノ頭の私製標識は、生木にねじ釘を打ち込んで留められていました!

その先はなだらかな山道が続き、不動山(570m+)は知らぬ間に通り過ぎました。左手(南西面)に伐採地が現れ、大岳山の特徴ある姿が望めました。またトッキリに立つ赤白の送電鉄塔(新多摩線82号)が、よいランドマークになっています。さらに行くと、左手に富士山が見えていることに気付きました。見えるのは真っ白な頭だけです。そして570m+峰に立つと、前方に展望がありました。戸倉三山縦走路と並行する鉄塔82号(赤白)~86号、山腹の林道盆堀線もくっきり望めます。

プラン変更

さて、その570m+峰からの下りは、きょう最もイヤな下りでした。ヤブっぽく、急で、落ち葉つきです。眼前に立つ鳥切場と、林道盆堀線とを見比べながら、プランの変更を考え始めました。言い訳はいくらでもあります:疲れた足と神経を休めたい、より安全である、時間を短縮できる、繰り返すアップダウンに飽きた、等々。そうこうするうち、落ち葉で滑って尻もちをつきそうになりました。きっぱりと、鳥切場を巻いて林道を歩くことにプランを変更します。

鞍部まで下りると、そこは入山トンネルの真上。きょう初めて見る公設道標が、上の鳥切場と下の関場とを指しています。迷わず林道盆堀線に下りていき、入山トンネルの南口に下り立ちました。北口を見通すと、トンネルの長さは100m弱でしょうか。車の来る気配が全くなかったので、安心してトンネルに入りました。そして北口から出ると、別世界のような明るい風景が展開。嬉しくなって、思わず♪リンド・リンド~♪と口ずさみました。「すてきな・林道」です。

林道は山腹を巻いていくので、谷側に好展望があります。都心部が見える地点に来ると、探すのは定番、東京スカイツリー。一般に、舗装された水平な道を長時間歩くと、同じ筋肉ばかりを使うので足が疲れますが、短時間なら足と脚が休まります。もちろん、ストレスで疲れた神経も癒されます。時々送電線と送電鉄塔を見上げながら、進捗を感じ取り、心理的には思いのほか早く入山峠に到着しました。地理院地図の(旧)入山峠ではなく、縦走路と林道が交差する地点です。

巻き道ルンルン

入山峠から再び山道に入ります。刈寄山は現在、下山路に工事現場があるらしいので、計画時点で却下済み。今熊山方面に進みます。これより先、巻き道のある峰はすべて巻きます。ただし、豆佐嵐山だけは頂を踏みました。丹沢と富士山を眺めるためです。まず丹沢ですが、見えてはいたものの、木々の枝が邪魔で、撮影は難。でも富士山は頭の先をしっかり望めました。ここでフレンチトーストの残り半分を食べます。レモンティーもまだ熱々。すべて順調です。

引き続き、今熊山方面に進みます。登山道の勾配は緩やかなので、落ち葉が多くても少なくても普通に歩けます。舟子尾根は、当初の計画では有力な下山路候補でしたが、クマ・イノシシとの遭遇、山林作業への迷惑などを考慮し、候補から外しました。楽しみなのは、奥多摩を広く眺められる展望地です。登山道からは見えません。登山道わきに立つ、[刈寄山1.5km 今熊山1.5km]と書かれた道標を目印に、ちょっと寄り道。その道標の背後に行くと見られます。

話を端折り、今熊山園地にやって来ました。家々、川、橋、線路、駅、等々、箱庭のように望めます。ここで、きょう初めてベンチに腰を下ろしました。トイレも利用しましたが、外見も、内部も、名称(今熊山園地便所)も、昭和レトロ風です。もう一度熱い紅茶を一口飲んで、下山の途に就きました。参道の途中に好展望の休憩所があり、きょう初めて山中で人と出会いました。引き続き参道をスタコラ下り、今熊神社下社に到着。きょうの山歩きは、実質上ここで終了です。

武蔵五日市駅までのアトラクション

山歩きは終りましたが、駅への道すがら、楽しい見どころがあります。まず、(1)新多摩変電所:大規模です。変電設備の理解できる人なら興味津々の名所。解らない人も、解説者がいれば楽しめるでしょう。(2)金剛の滝:今回は省略しました。(3)小和田地区の展望地:阿伎留神社、秋川、五日市方面の展望。(4)広徳寺:禅寺らしい美。山門、鐘楼、1対の大イチョウなど。(4)檜原街道の商店街:昭和レトロ風の店舗は少なくなりましたが、落ち着いた雰囲気は昔のまま。

きょうは、個人的に未知のルートと既知のルートとを組み合わせて、刺激と安らぎとを得られました。今回も無事に下山・帰宅できて感謝です。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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