山はいいなあ  >  高尾山稜  >  小下沢から堂所山

小下沢から堂所山

小下沢から堂所山

小下沢から堂所山

小下沢の中流では、ジャブジャブ歩きができます。普段見ている高尾山域とは異なる風景があります。暑い夏の日がお奨めですが、小学生以下は保護者同伴で。未就学児は浅いところ限定で。

バス停 京王バス: 高尾駅北口 → 日影 登山口

地図 地理院地図: 堂所山

天気 堂所山の天気: 八王子市 , 高尾山

関連記事 レポ: 陣馬山・大名行列 , 小下沢じゃぶじゃぶ


コース & タイム 鉄道駅 高尾駅 バス停 9:12 == 9:29 日影 9:30 --- 9:52 木下沢林道基点(入渓点)10:00 --- 12:20 ザリクボ 12:45 --- 13:56 関場峠 14:04 --- 14:46 堂所山 15:00 --- 15:23 底沢分岐 15:23 --- 16:52 底沢バス停 16:52 --- 17:18 相模湖駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
堂所山 どうどころやま:標高731m 単独 2016.07.11 全7時間48分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

7月11日(月)、小下沢経由で堂所山に行ってきました。前日の朝、NHKテレビの「ダーウィンが来た」でオオムラサキの映像を見て、高尾山域にもオオムラサキはいるだろうと思い、コナラやクヌギの多い北高尾山稜に行ってみたものです。小下沢梅林からザリクボまでは、涼しい小下沢をジャブジャブと歩きました。林道にはいろいろな蝶がいましたが、尾根すじのコナラやクヌギに、オオムラサキやスミナガシを見つけることはできませんでした。

段落見出し 高尾駅からバスで日影へ

わが家から自転車で最寄り駅に行く途中、後輪がパンクしました。パーン!と、銃声のような凄い破裂音がしたので、 驚いて自転車を降りると、タイヤから出た白い煙が消えて行くところでした。アチャー、残念! 自転車を押して一旦帰宅。歩いて駅に向かいます。小仏行きバスを1本遅らせたので、以後の予定が1時間ずつ後ろに移動しました。

高尾駅北口9時12分発のバスは、すし詰め状態で発車しました。炎天下のバス乗り場で立って待つより、バスの中で立って行く方が、立ち時間が短くて済むからでしょうか、発車時刻間際にかなりの数のハイカーが乗り込みました。蛇滝口で数名、日影で十数名が下車。私は日影でバスを見送り、日影林道入口の遊歩橋に行きました。そこは濃い緑陰の楽園。せせらぎと小鳥の声に耳を向け、自然の中に身を置く幸いを感謝しました。

遊歩橋を出て、小下沢梅林に向かい始めた時から、人の姿を見なくなりました。夏の草花や、草むらに休んでいる目覚めの悪いセミを見ながら歩きます。中央線をくぐるトンネルの手前まで来たとき、バスが狭い道を苦しそうに左折して来るところでした。もっと大きなバスなら曲がり切れないでしょう。私はその短いトンネルを抜け、すぐ右折して緩やかな坂道を登り、梅林のフェンス沿いに林道へと進んで行きます。正面の青空に、北高尾山稜の峰々が望めました。

段落見出し 林道基点からジャブジャブ開始

林道木下沢線の基点標識の後ろから、小下沢に下りました。財布、携帯、ティッシュなどを、冷蔵庫で使うファスナー付きポリ袋に入れます。スニーカーを脱いで、マリンシューズを履きました。海辺の磯歩きや、山での渡渉時に使う簡易な履物です。本当は沢靴を履くといいのですが、高価だし、沢登りをする予定もありません。カメラは防水ケースに入れると安心ですが、今回は慎重に手で持って行きます。

さて、小下沢の水はとてもきれいでした。上流に家や工場や農地がありません。梅雨時ですが、流れはたいていの場所で浅く、まさにジャブジャブ歩きです。きょう歩く区間に滝はありません。でも白い泡を立てる段差はいくつもあり、そんな岩の手前は淵になっています。この日の水量では、深い場所でもぎりぎり股下でした。沢の幅は狭く、ゴルジュ「もどき」もあります。暑い日でしたが、涼しさと、緑の自然がいっぱい。魚、カニ、カワトンボなども見られました。

ところで、マリンシューズは、柔らかいゴムの底に小さなイボイボがたくさんあり、裸の岩なら濡れていても、まずまずよく止まります。苔の上で試したら、緑の苔では大丈夫でしたが、赤茶色の苔では滑りました。とはいえ、誰にでも奨められるものではありません。もし不安があれば遡行を中止し、小下沢林道に上がりましょう。右岸や左岸の壁にはイワタバコがたくさん。白く、みずみずしいつぼみを付けていました。花の見ごろは7月下旬あたりでしょうか。

段落見出し キャンプ場跡地から関場峠へ

ザリクボの木橋から、キャンプ場跡地に上がりました。入渓点から2時間20分、途中で少々道草を食ったとはいえ、予想以上に時間がかかりました。沢靴を履いて、カメラの防水対策をすれば、もっと速く歩けると思います。木陰の丸木に腰を下ろし、濡れた靴下を脱ぎました。そして昼食を終え、乾いた靴下を履こうとしたのですが、リュックの中に見つかりません。何と、忘れて来たのです。これは大失敗。やむを得ず濡れた靴下をよく絞って、もう一度履きました。

次いで、スニーカーを履きます。気持ち悪~。でも歩き始めると、すぐに靴下が体温まで温まり、慣れてしまいました。帰宅したら、スニーカーをていねいに洗ってやらねばなりません。関場峠へは緩い傾斜の林道をテクテク、いろいろな山野草を楽しみながら歩いているうちに、いつの間にか高度を稼いでしまう道です。沢では未開花だったイワタバコが、林道ではきれいに咲いていました。蝶やトンボは、暑いせいか、あまり目にしません。私も暑さでのどが渇きました。

関場峠には、思った通りコナラの木がたくさんありました。オオムラサキの幼虫が葉を食べるクヌギもあります。どこかに樹液を吸っている蝶、蜂、甲虫類がいないかと、目の届く限りコナラやクヌギの木を目視スキャンしましたが、簡単には見つかってくれません。本当は知っている人に教わるのが、最も手っ取り早いのですが、自分で見つければ、そこはヒミツの場所、喜びが10倍になります。となれば、地道に探すしかありません。

段落見出し 底沢峠の思い出

樹液と虫を探しながら、堂所山に来てしまいました。ベンチが二つありますが、壊れかけているので、使うときは注意するようにと、貼紙があります。堂所山は、高尾・陣馬縦走路からわずかに外れているため、訪れる人が少ないそうです。景信山や陣馬山と比べると、展望はほとんど無いに等しく、何か意味を見出そうとすれば、北高尾山稜のターミナルだということくらいでしょうか。私は地形図を取り出して、下山路を確認しながら、まだ冷たかったお茶を飲みました。

高尾・陣馬縦走路を、底沢峠まで歩きました。続いて、美女谷温泉に下ります。この山道は、8年前、当時小学生だった娘と下ったことがあります。その朝、二人で相模湖駅から陣馬山に登ったまでは良かったのですが、娘がわがままを捏ねたことに私が怒り、「勝手にせよ」と娘を後に残すように、大人の足で陣馬山から底沢峠まで小走りに来て、そのまま下山を始めたのでした。もちろん、娘がしっかりと付いてきていることを耳で確かめながらです。

半ばまで下って、腰を下ろして休みました。娘は私の横に来て、私が与瀬神社で見つけて陣馬山頂まで使った杖(木の枝)を私に差し出しました。私が娘を置き去り(?)にしてから、その杖を持ってずっと私を追いかけて来たのです。それを私は、「こんなもの、いるもんか!」と言わんばかりに投げ捨ててしまいました。まだ怒っていたのです。この時のことを、私はそれ以来、ずっと後悔することになりました。何があろうと、愛を投げ捨ててはいけません。

段落見出し 底沢から相模湖駅へ

その場所を私は探そうとしました。もしあの杖がまだ残っていたら、家に持ち帰ろうとも思いました。あの日は秋、今は夏。年月が経った上に季節も異なり、もはやその場所すら全く分かりません。

登山道の終点近く、民家の脇を通り抜けるところにサザンカの木があります。あの日、ピンクの八重咲きの美しい花が咲いていました。私がサザンカの花にカメラを向けると、娘がいくつかの花を指さし「あの花がすごくきれい」と言ってくれました。娘は「ものすごくよいこ」になっちゃったみたいにふるまって、相模湖駅まで仲良く歩きました。その日は文化の日。小原宿跡で、大名行列の祭り行事を一緒に見物しながら、私は娘に悪いことをしたと思っていました。

国道20号を歩いて行くと、北相中学校の手前、既に移転した相模湖幼稚園の銘板と建物とが残っていました。今はひっそりと佇む建物ですが、過ぎし日の、園児たちの賑やかな声が容易に想像できます。こどもたちを見ていた木々や山々もそれを憶えているでしょう。青根小学校の木造校舎は残念ながら焼失してしまいましたが、燃え残った廃材を使って、コカリナという楽器を作り、4人の全校児童にプレゼントしたそうです。ヒトにもモノにも心があると、私は思います。

段落見出し 花さがし

この日出遭った、主な花です。(五十音順)


木の葉ライン

↓ 紙芝居



©2016 Oda Family  All Rights Reserved.