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妻坂峠~大持山~ウノタワ

ウノタワ

ウノタワ

妻坂峠から大持山に至る稜線は、人気の高い武甲山周回ルートの一部です。

ウノタワは、大持山南稜にある天然のプチ山上庭園で、家族ピクニックの好適地です。ただし、林道の通行規制を事前に確認しましょう。

バス停 国際興業バス: 東飯能駅 → 名郷 登山口
バス停 秩父市営バス: 五方 ← 金倉橋 登山口

地図 地理院地図: 大持山 , ヤマレコ

天気 大持山の天気: 横瀬町 , 武甲山


コース & タイム 鉄道駅 東飯能駅 バス停 7:13 == 8:07 名郷 8:10 --- 8:51 林道横倉線起点 8:52 --- 9:24 妻坂峠 9:28 --- 10:32 大持山の肩 10:35 --- 10:43 大持山 10:59 --- 11:01 富士見の丸太 11:04--- 11:11 大持山の肩 11:11 --- 11:49 ウノタワ 12:41 --- 13:06 鉄塔跡地 13:13 --- 13:32 鳥首峠 13:52 ---(道間違いでタイムロス10分)--- 14:56 冠岩 14:58 --- 15:09 林道終点 15:09 --- 15:40 浦山大日堂バス停(登山終了)15:42 --- 15:47 大日堂 15:48 --- 15:53 浦山大日堂バス停 16:16 --- 16:30 金倉橋バス停 バス停 16:30 ==(秩父市内大渋滞)== 17:16 五方バス停 17:16 --- 17:20 西武秩父駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と撮影の時間が含まれています。
大持山 おおもちやま:標高 1294.1m 単独 2020.10.25 全 7時間30分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

10月25日(日)、絶好の秋晴れ。奥武蔵の名郷から、妻坂峠を経て大持山に登りました。紅葉は、標高の高いところで序章の始まり。あでやかさを表す前の、初々しい色彩を見せていました。最大の楽しみは、ウノタワでの大休止。山上のプチ楽園で心ゆくまで過ごした後、鳥首峠を経て浦山大日堂へと下山。ここまですべて順調でした。ところが、その後に想定外の難が ...

段落見出し 名郷から妻坂峠へ

当初の計画では、芦ヶ久保駅からバスで松枝に行き、武川岳を経由して大持山に登るつもりでした。ところが横浜線の電車内で爆睡し、八王子駅での2分間乗り換えダッシュに失敗。八高線の電車を逃してしまいました。止むを得ず次の電車に乗ったのですが、松枝ゆきのバスには間に合いません。そこで、名郷から妻坂峠に上ることにしたものです。考え直してみると、歴史のある妻坂峠に「下る」のではなく、「上る」ことを体験できたのはよかったと思います。

湯の沢ゆきバスは、すでに満員に近い状態で東飯能駅にやって来ました。乗客はほぼ全員が登山者姿。「ノーラ名栗・さわらびの湯」まで立ちっぱなしになりました。まあ、乗れただけでも感謝です。名郷でトイレを済ませると、最も使いやすそうな「なぐりづえ」(名栗杖)を1本選んで借りました。準備運動は後ですることにし、さっそく出発。歩き始めは武川岳南陵ルートと同じで、入間川左岸の車道を進みます。行く手の空は青く、入間川には秋の光があふれていました。

林道山中線の起点に来ました。「橋倒壊のため通行止」の看板があることは、山行記の写真で知っていましたが、「歩行者も通行できません」と書き足してあります。ちょっとためらいましたが、その橋まで行ってみようと思い、山中線に進みました。10分余りで倒壊した橋に到着。すぐ横に仮の橋が架けられていて、「工事関係者以外立入禁止」となっています。きょうは日曜日だからか、誰もいません。「すみません」と仮設橋に謝りながら、歩かせてもらいました。

段落見出し 妻坂峠から大持山へ

さらに10分余りで、林道横倉線の起点に到着。横倉線はウノタワへの最短路ですが、起点に通行止の看板があります。かなり荒れているとの情報は得てきました。私は真っ直ぐ妻坂峠へと進みます。これより妻坂峠1.6km、大持山4.0km、武川岳2.7km。鉄板の橋を渡って沢を越え、丸木組の橋でせせらぎを越えました。いい雰囲気の針葉樹林に入ります。やがて木々の隙間に稜線と青い空とが見えるようになると、すぐに妻坂峠に到着しました。ほどよく体が暖まっています。

妻坂峠では強い風がビュービューと吹いていました。この峠で会いたかったお地蔵さまと会えたのはよかったのですが、体が冷えてしまいそう。急いで写真を幾つか撮って、早々に大持山に向かいました。妻坂峠に立つ道標によれば、大持山2.4km「急な登り坂あり約1時間40分」です。その通り、急な山道を登って行きました。でもすぐにミズナラやコナラの多い幅広の尾根になり、気分は上々。はじめ緑一色だったモミジに、紅い葉がチラホラ混じるようになりました。

登るにつれ、モミジの紅みが増していきました。紅葉や黄葉を眺めつつ、落ち葉を踏みしめて歩きます。誰もいないのをいいことに、「晩秋の頃」を口ずさみました。♪茜や金色、落ち葉の道♪ ... 長かった登山自粛にもかかわらず、足取り軽く登れるのは「エール」のおかげ? 好展望の尾根に至り、「あれ、ここはどこだ?」と思ったら、もう大持山の肩に着いていました。紅葉は序章。コハウチワカエデなどの初々しい色彩がとてもすてきです。紅、橙、黄、緑 ... 空の青。

段落見出し 大持山からウノタワへ

大持山頂は樹木に囲まれ、展望が利きませんでした。先客も1人だけ。私は三等三角点石に指先で軽くタッチをし、軽食とお茶にしました。思いのほか体調が良くて、小持山まで行きたい衝動が起こりましたが、ここは年の功で自制。立ち上がり、ウノタワに向かいます。来た道を少し戻ると「富士見の丸太」に気付きました。キョロキョロ、富士山を探します。しばらく探し、樹木の枝の僅かな隙間に富士山が見つかりました。「丸太」の方向を見ればよかったのです。

大持山の肩まで戻り、もう一度眺望を楽しみました。休憩や食事をするなら、山頂よりもこの肩がお奨めです。行く手の尾根の錦模様が、往路で見た時よりもいっそうきれいでした。これより先、急勾配の尾根を下ります。それは地形図を見ても、遠くからその稜線を見ても分かること。ところで今、私は登山靴を履くと足の指が痛くなるので、スニーカーを履いています。でも急な下りでは、やはり登山靴は底が優れていると思いました。滑らないよう、慎重に下ります。

紅葉について言えば、豪華な赤が目を奪う木もありましたが、総じて現在進行中。多色刷りの絵のような木々が多くありました。このような木々の移ろいゆく美、みずみずしいグラデーションやモザイク模様が、私は好きです。見つめていると、ほのかな陶酔感に包まれることも。この日、最もきれいだと思ったのは、朱色と黄橙のコハウチワカエデでした。そして、また南面の眺望の好い場所があり、そこから軽く一山越えると、ウノタワの窪地が見えてきました。

段落見出し ウノタワから鳥首峠へ

ウノタワの窪地の東側に、色鮮やかな緑の広場があります。一見芝生のようですが、行って見ると、そこはびっしりと生した苔のじゅうたん。フカフカしたきれいな苔を、土足で踏むのは申し訳ない気がします。ウノタワを取り囲む木々は、紅葉楽章の冒頭のような趣。空の澄んだ青とマッチし、どこを切り抜いても絵葉書になりそうです。好い時に来れました。倒木に腰を下ろし、お茶とおやつで休憩します。下がった目線の先に、かわいいキノコ村がありました。

ウノタワでは、3人連れが食事を楽しんでいました。お母さんとその子ども2人のようです。後に幼児を含む家族連れ2組とすれ違いましたが、ウノタワはピクニックの好適地に違いありません。ただし、標高は1075m。長い林道と山道を歩かなくては来られない、山上の庭園です。ルートの状態を事前によく確認し、周到な準備をした上で、子どもたちを連れてきてあげたら、素敵な時間を過ごせると思います。少年少女の時代には、様々な美しいものに触れさせてやりましょう。

ウノタワでは、の~んびり、50分ほど過ごしました。鳥首峠に向かいます。まずロープ付きの岩場を巻きますが、子連れの場合は要注意。その後は普通の登山道になり、相変わらず紅葉を愛でつつ南下していきました。途中、送電鉄塔の跡地で広大な展望が出現! 全く期待していなかったので、びっくり、感動しました。特に西面の奥秩父と奥多摩のパノラマが素晴らしいです。ここかしこで道草を食いながら、十分な時間と体力のゆとりを持って、鳥首峠に到着しました。

段落見出し 鳥首峠から浦山大日堂へ

鳥首峠からは、名郷バス停に下りることもでき、浦山大日堂バス停に下りることもできます。バスの本数は、名郷の方が圧倒的に多く、便利です。他方、浦山大日堂から利用できるバスは、午後2時と4時の2本だけ。どちらに下りるか、時計とも相談し、この鳥首峠で最終決定をします。出発地点とゴール地点は離れている方が、多少なりともロマンがあると思い、浦山大日堂に決めました。朝の準備運動を忘れていたのをここで思い出し、ラジオ体操とストレッチをします。

さて、選んだ下山路は、針葉樹の落ち葉が積もって、足に優しい道でした。ところがいつしか気が緩み、気が付くと道が消滅。油断大大大敵! 気を引き締めて、正しい道に復帰します。途中、冠岩という場所に至る手前で、越えなければならない沢が荒れていました。倒木がたくさんあります。それをくぐったり、越えたり、巻いたりして通過し、しばらく行くと、お地蔵様と廃屋がありました。ここから冠岩沢沿いに下ります。最後に鉄の橋を渡ると、県道の終点でした。

冠岩沢右岸の県道を下ります。左から林道を合わせる地点から先は車も通るので、もう一度気を引き締め直します。やがて、浦山川に架かる大日橋を渡ると、浦山大日堂バス停が見えました。きれいな観光トイレもあります。4時のバスまで時間があったので、大日堂を拝観しに行きました。バス停から大日堂まで、片道5分ほどです。大日如来像があられるのでしょうが、暗くて中は見えませんでした。バス停に戻り、きょう一日お世話になった「なぐりづえ」を置きました。

段落見出し 秩父市営バス「ぬくもり号」は?

さて、4時になりましたが、バスは来ませんでした。道路事情により、多少の遅れはあるかも知れないと思い、待ち続けます。でも4時15分過ぎにもなると、少々心配になりました。きょうは運行できなくなったのでは?と。悪いことにスマホの電池が切れて、電話を掛けることができません。このまま明日までここに取り残されたら ... と変な考えも頭を過ります。こんな場合は、躊躇なく前進するのが吉。正しい方向だけは分かっています。もしバスが来れば、出合うでしょう。

浦山川沿いの県道73号を、秩父さくら湖の方向にテクテク歩きます。やがて毛附トンネルが見えてきましたが、トンネル内を歩くのは怖そうだったので、河岸の旧道を歩きました。そして毛附トンネルの向う側で金倉バス停を過ぎたとき、そのバス停の写真を撮っておこうと思って振り返ると、浦山大日堂の方向から軽快に走って来るミニバスが目に入りました。期待を抱いてそのバス停の前に立っていると、ミニバスがスピードを落とし、止まりました。ぬくもり号でした。

乗客は私だけ。前払いで310円支払います。運転手さんの話では、秩父市内での渋滞により、30分も遅れてしまったとのこと。しかもこれから市内に帰ると、さらに遅れる見込みだと、申し訳なさそうに言いました。私の方はもう大船に乗ったような気分で、何も気になりません。車窓から秩父さくら湖を観光し、夕暮れ空に、いかつい要塞のようなシルエットを見せる両神山を望み、貸切バスの旅を楽しみました。

段落見出し 終わりよければすべてよし

秩父市内の渋滞は、全く解消していませんでした。運転手さんに事情を尋ねると、きょうは特別なイベントがあったわけでもなく、日曜日だからという訳でもなく、こんな大渋滞は珍しいとのこと。全くナメクジのようにノロノロとしか進めません。最後は運転手さんの勧めもあって、「西武秩父駅入口」の一つ手前の「五方」で降り、細い小路を駅まで歩きました。できるだけ明るい声で運転手さんをねぎらったことは、言うまでもありません。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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