成瀬尾根は、東京都町田市と神奈川県横浜市の都県境にあります。空気の澄んだ日には丹沢山塊、富士山頂、南アルプス北部、小金沢連嶺、奥多摩などの山々の好展望台になります。(この写真は2010年3月30日撮影)
宅地化の波が尾根際まで押し寄せてはいるものの、成瀬尾根の自然は、「成瀬の自然を守る会」の方々をはじめ、地元の方々の熱意でよく護られています。ゆっくり歩けば、鳥、虫、花、樹木などをさまざまに楽しめます。
長津田駅 ⇔ 恩田駅 ⇔ こどもの国駅 横浜市営バス , 東急バス , 小田急バス , 神奈中バス
地理院地図:成瀬尾根
成瀬尾根の天気:横浜市青葉区 , 町田市
成瀬尾根の標高が分からなかったのですが、成瀬尾根のホームページ管理人の方から教えていただきました。楽しげですてきなホームページです。歩いてみませんか?→ 成瀬尾根HP
小中学校の入学式も終わり、翌日の4月6日。わが家の近くの公園の桜はまだ数えるほどしか開花していませんが、各地で所によっては満開になっています。あまりの天気の好さに誘われ、午後の空いた時間に成瀬尾根を歩いてきました。
町田駅からバスで「奈良谷戸入口」まで行き、成瀬山吹緑地を目指して登ると、最短距離で登れます。バス停から至近距離にある東雲寺は花が美しく、きれいなお手洗もあります。ただ、バスはあまり多くありません。鉄道を利用して、横浜市側から入る方が便利です。こどもの国線恩田駅から出発して、西方に見える丘、あかね台の頂上を目指して進めば、どの道をたどっても登れて、迷うことがありません。
私は恩田駅から歩くことにしました。駅前の広い並木道を避け、1本裏手の道に入ります。恩田駅近くの民家の庭先に、趣味で作ったのでしょう、水車や時計台があります。この時計台には、かつて風車がついていたような気もします。ついでに山腹の徳恩寺にも行って、錦鯉を見ながら少し道草です。池の水がかなり澱んでいましたが、鯉たちは元気そうです。手を浄めるための水も止まっていましたが、これらも震災の影響(節電・節水)かなあと思います。
寺を出て、西に見えるあかね台の最高点を目指します。まもなく広々とした「あかね台鍛治谷(かじやと)公園」の横を通りますが、ここには公衆トイレがあります。その先の信号機のある交差点を渡ると、上り坂が始まります。ここからが、きょうのウォーキングで唯一と言ってもよい登り区間です。頂上近く、この4月に開校したばかりのあかね台中学校では、すでに野球の練習が始まっていました。楽器を携えた吹奏楽の生徒たちも見えます。
あかね台の丘を登りきると、「成瀬山吹緑地(なるせやまぶきりょくち)」の看板が見え、突然、広大な景観が出現します。足もとから続く町田市の町並みの向うに、丹沢山塊、大菩薩と小金沢連嶺、奥多摩の山々も見渡せます。春霞のため写真にはほとんど写りませんでしたので、別の日に撮影した丹沢の雄姿をご覧ください。
緑の若草に座って、用意してきた温かい紅茶を飲みます。砂糖をたっぷり入れた、登山仕立てです。あたりに甘い香りが漂ったのか、ギフチョウ(捕らないで!)がやって来ました。色鮮やかな翅で活発に飛びます。速過ぎて、カメラで捉えられません。私の前後を30秒ほど舞っていましたが、あきらめたのか、遠くへ飛んでいってしまいました。紅茶を少し草の上にこぼしてやったらどうだったでしょうか。
ちなみに、私がよく歩く鶴見川、恩田川沿線で、ギフチョウを見たのは13年ぶりです。(ヒメギフチョウだったかも知れません)「春の女神」と再び出会えたのはうれしかったです。何とか、個体数が増加してくれることを願うものです。
さて腰を上げ、これから北に続く尾根道に入ります。舗装がなくなり、コナラ、クヌギ、ヒノキなどが生い茂る林の中を、細い山道が保存されています。ほぼ平坦な道ですが、登山道のように、四季の自然を楽しむことができます。所々に畑地もあり、今は桜や菜の花が、朗らかな彩りを添えています。ヒノキの葉には花粉がたっぷりと着き、出番を待っています。
送電線が交差する下あたりに、「風の広場」があります。コブシとキブシが満開を通り越して、散り始めたようです。鉄塔の横に小さな野草園もありますが、まだ目だった花は咲いていません。 野草園の前にテーブルとベンチがありますが、成瀬尾根で通行人が座れるベンチは他にない(と思う)ので、貴重な休憩ポイントです。南方が開け、散策路から横浜ランドマークタワーを望めます。
スズメバチとマムシの注意書きのあるあたりに差し掛かったとき、シジュウカラとメジロの歌声が上の方から聞こえてきました。季節にもよりますが、鳥や花ばかりに気を取られてはなりません。とはいえ、5月になれば、いやでもキンランが目を引くことでしょう。少し注意すれば、ギンランやササバギンランも見つかります。
成瀬トンネルの上を通過する箇所には階段があり、町田側にも横浜側にも降りられます。午後なので、町田側に降り、成瀬トンネルを順光で眺めました。短いトンネルなので、切通しにすることもできたことでしょうが、トンネルにしてくれたおかげで、自然の連続が護られました。
尾根に戻って、少し北に進むと、大きなヤマザクラの木があります。斜面を守るように、東京都と神奈川県を根っこでしっかりつかみ、山の主のように長い枝を広げて陣取っています。その先には、「東京スカイツリーを撮りました」という掲示がありました。これは新着です。ここで実際に撮影したスカイツリーの写真が添えられています。
この先2〜3分歩くと、残念ながら山道はお終いです。尾根道はまだ北へと続くのですが、尾根の上部まで宅地化されて、舗装された生活道路が通っています。それでもきれいな庭の草花や木の花を見つつ、時おり家々の間から垣間見える山々を、足を止めて眺めることはできます。
この先で一箇所、尾根を深く切って作った車道と交差します。尾根道は一旦階段を下りて、また反対側で昇ります。もし広い車道を東(神奈川県側)に下って行けば、こどもの国駅に最短距離で行けます。
奈良谷戸橋(ならやとばし)は、このコースのハイライトの一つです。大気の状態にもよりますが、橋の上から西に丹沢山塊と富士山の頭を眺められます。きょう富士山は見えませんでしたが、丹沢はうっすらと見えました。東には、こどもの国の大きな森から始まる奈良町がよく望めます。尾根道はここで終わりですが、時間があればこの先も、玉川学園方面にかけ、懐かしい風景の残る里山歩きを楽しむことができます。
なお、奈良谷戸橋から下の道路に降りて南方に少しだけ歩くと成瀬台バス停があり、成瀬駅や町田駅へバスの便があります。老婆心ながら、名前の似ている奈良谷戸入口バス停は、奈良谷戸橋からは遠く、成瀬山吹緑地の西の入口にあります。
さて、成瀬尾根から続いてきた道が一般道路と出合う直前、右手前方に四角い雨水調整池が見えてきます。その調整池の横を通り過ぎると、土を盛り上げたような「奈良町さくら公園」です。桜はまだ一分咲きながら、絵を描く人、芝生で寝転ぶ人、元気に遊ぶ子供たちがいて、この公園の名に最もふさわしい季節が始まろうとしていました。
奈良町さくら公園を通り抜け、道路の反対側に渡ると、「センター前」バス停です。近隣のいくつかの駅に行くバスが、ほどほどの間隔で通っていて、利用価値があります。私は来た道を少し引き返し、歩いてこどもの国駅に下りました。
成瀬尾根はわが家からも近いので、高い山に行く時間が取れないとき、脚力の維持のために時々歩こうと思います。
2013年1月15日、前日降った大雪の残る成瀬尾根を歩いていたら、ソウシチョウに遭遇。4羽数えましたが、もっといたかもしれません。最後の1羽を何とか撮影しましたが、とっさのことで、ピントが合いませんでした。きれいな小鳥ですが、「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。
この日、成瀬尾根の別の場所で、日本在来のウグイスが、「チャッ、チャッ」と鳴いていました。
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