山はいいなあ  >  八ヶ岳  >  北横岳

【青春18】北横岳

坪庭探勝路より望む北横岳

坪庭探勝路より望む北横岳

北八ヶ岳の横岳は、南八ヶ岳の横岳と区別するために、多くの場合「北横岳」と呼ばれます。

北横岳は活火山です。その山頂から、噴火口を覗くことができます。

バス停 アルピコ交通バス: 茅野駅 → 北八ヶ岳ロープウェイ
ゴンドラ  北八ヶ岳ロープウェイ:山麓駅 → 山頂駅 登山口
バス停 アルピコ交通バス: 茅野駅 ← 竜源橋 登山口

地図 ルート図 ヤマレコ

天気 北横岳付近の天気: 八ヶ岳夏沢峠


コース & タイム 鉄道駅 茅野駅 バス停 9:20 == 10:12 ロープウェイ山麓駅 ゴンドラ 10:30 == 10:37 ロープウェイ山頂駅 10:46 --- 11:53 三ツ岳分岐 11:53 --- 11:58 北横岳ヒュッテ 12:06 --- 12:09 七ツ池 12:19 --- 12:22 北横岳ヒュッテ 12:25 --- 12:36 北横岳南峰 12:39 --- 12:43 北横岳北峰 13:15 --- 14:45 亀甲池 14:59 --- 15:22 天祥寺平 15:24 --- 15:34 将軍平分岐 15:34 --- 16:31 竜源橋登山口ヒッチハイク 16:41 = (ヒッチハイク)= 16:47 城の平入口バス停 バス停 16:53 == 17:33 茅野駅 鉄道駅
※歩行時間には小休止と撮影の時間が多く含まれています。
北横岳 きたよこだけ:標高2480m 単独 2023年8月18日 全5時間45分  満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

8月18日(金)、青春18きっぷを利用して、北横岳に行ってきました。ロープウェイを利用しての、楽チンプランです。行ってみると、意外なことの連続。101人が乗れる巨大なゴンドラ。その乗客が一斉に坪庭に向かう。中にはヘソ出し姿の女性も。そしてマイペースで歩けない探勝路。有名観光地に来てしまったことをようやく自覚しました。とはいえ、北八ヶ岳の山々は美しく、厄介なメマトイも不在。概ね快適な山歩きを楽しめました。最後に大きな反省事項が ...

段落見出し 北横岳ロープウェイ

高尾駅で、午前6時15分発の松本行きに乗りました。勝沼ぶどう郷駅あたりから、車窓の山々を見つめます。空はまずまず晴れていますが、富士山も南アルプスも雲の中。近場の小楢山も雲隠れ。幸先が良くありません。ついに茅ヶ岳も八ヶ岳も見えませんでした。南寄りの風が吹き、湿気を含んだ空気が山にぶつかると、そこに雲が発生するのです。きょうは眺望を期待できません。では何を楽しみに登ろうか? 雲のようにモヤモヤした気持ちで茅野駅に下り立ちました。

バス乗り場は茅野駅西口にありますが、少し時間があったので、東口に行ってみました。SLが静態保存されています。安眠する「鋼鉄の生きもの」を懐かしく眺めました。近くに、2体の巨大な土偶(レプリカ)があります。これは異星人? いや地球人のはず。人体をここまでデフォルメするなんて、すごい! もっと時間があれば、考古館に行って実物を見たいところです。9時過ぎ、西口に行くと、アルピコ交通の窓口が開いていました。バスのチケットを買います。1500円也。

来たバスは「定期観光バス」と称していましたが、横浜市内の路線バスと大差ない車両でした。違うのは、運賃がすべて100円単位という点。座席数は24で、4人立ちました。約50分でロープウェイ山麓駅に到着。すぐにチケット窓口に並びます。片道切符、1400円也。臨時便が出され、乗客100名、乗員1名、計101名が乗りこみます。私はゴンドラの最後部に立ったつもりでしたが、動き始めると最前部でした。北横岳や蓼科山を望みつつ、標高差466mを上っていきます。

段落見出し 坪庭駅から、いざ出発

ゴンドラは、波頭を越えて進む船のように上下動します。下がるときに「キャー」と声を出す人もいました。この揺れを鉄塔の数だけ繰り返します。7分で「山頂駅」に到着。もちろん山頂ではなく、「坪庭駅」とも呼ばれます。吐き出された100名の客が坪庭探勝路に向かいました。私もいざ出発。でも人が多くて、狭い道では花を撮るのにも気を遣います。蝶は人波のあおりを受け、なかなか止まりません。人通りが少なくなるのを待って、いつもの道草登山を始めました。

坪庭は、すてきな山上庭園です。ハイマツが多いのですが、コケモモ、クロマメノキほか、色々な山野草も咲いていました。でも、花が咲き乱れているわけではありません。もうそろそろ夏も終わりです。トンボはほとんどがアキアカネ。黒トンボはムツアカネのオス、黄トンボはそのメスです。トンボが多いせいか、メマトイはいません。ときどき蝶の飛ぶ姿も見られましたが、種を確認できませんでした。そして最大の魅力は言うまでもなく、眼前に聳える雄大な山々です。

坪庭探勝路の木道と別れ、一般登山道に入ると、ゴロ石だらけになりました。登るほどに険しくなり、大小の岩石がほとんど切れ目なく続きます。もし東京の高尾山にこのような道があれば「難路」や「悪路」の扱いになるでしょう。実際、下り坂で前のめりに転倒する女性を目撃しました。狭い登山道におけるパーティーのすれ違いで、不自然な姿勢になり、バランスを崩したと思われます。すれ違いでは、下る人が安全な位置で立ち止まるのが登山の基本ルールです。

段落見出し 登頂するも眺望なし

登山道では、親子を何組も見ました。夏休みですね。想い出深い体験になるでしょう。子どもを背負った人も歩いていました。岩石を選んで踏み歩く道です。全員無事に登山を完了できるよう、思わず祈ってしまいました。私も慎重に登っていきます。三ツ岳への道を右に分け、さらに5分ほど登ると、北横岳ヒュッテに到着しました。有料トイレ(100円)があります。少しですが、ヤナギランも咲いていました。ここからすぐ近くの七ツ池に寄り道します。

2分ほどで七ツ池に到着。池は静寂そのもので、誰もいませんでした。大きなヤンマが池の上をゆっくりと飛んでいます。池に映る空が青かったらいいのにと、つくづく思いました。なお、現在ここで見ることのできる池は二つだけです。ヒュッテに戻ると、アザミに訪花していた蝶とハナバチを見つけ、少しねぎらわれた思いがしました。登山を続行します。ヒュッテから10分ほどで、北横岳南峰に到着。多くの先客が休んでいます。残念ながら、山頂はガス(雲)の中でした。

南峰で3分ほど休憩しました。眺望をあきらめ、北峰に向かいます。途中、ハイマツの廊下のような道があり、腕を擦るハイマツの優しい感触が心地よく感じました。南峰から4分ほどで北峰に到着。相変わらずガスで、遠望は利きません。せめて蓼科山だけでも見たかったのですが、大河原峠と双子山が辛うじて見えただけでした。ここでお昼にします。腰を下ろし、南八ヶ岳、南アルプス、蓼科山などを想像していると、山頂から明るい声が聞こえました --「また来よう!」

段落見出し 亀甲池を経て天祥寺原へ

午後1時15分、下山開始。まず亀甲池に向かいます。下り始めてすぐ、山頂直下に深いくぼ地が見えました。後で地図を見て分かったのですが、これは北横岳の噴火口です。ネット情報で、北横岳が活火山だということも知りました。さて、道はかなりの急勾配です。登る人は骨が折れることでしょう。でも出会ったのは一人だけ。セミの声もない、静寂の山。いたる所を覆う緑の苔が、あらゆる音を吸収してしまうかのようです。林床に日が差すと、苔類が美しく輝きました。

下り道の途中で、張り出していた岩に頭をぶつけてしまいました。私は夏山用に、つばの大きな帽子を冠っていたのですが、このつばが上方の視界を狭くして、でっぱり岩に気が付かなかったのでした。ゴツンした瞬間はとても痛かったのですが、幸い数分内に痛みは治まりました。急ぐ道ではないし、万一の場合にも人通りがないので、慎重に下っていきます。予定よりも30分ほど超過し、亀甲池に到着しました。ひっそりとした森の小さな池です。水は多くありません。

亀甲模様を見たくて、岩伝いに歩いて池を見たのですが、何やらよく分かりませんでした。天祥寺原に向かいます。嬉しいことに、その道はこれまでと打って変わって、なだらかな道でした。明るい草原や笹原を歩いていくと気分も高揚。きょう初めてのハクサンフウロも見ました。正面に、蓼科山が聳え立っています。すてきな庭園のような場所もあり、私一人しかいないのがもったいないと思うほど。亀甲池から正味20分ほどで、天祥寺原のT字路に至りました。

段落見出し 竜源橋へ、時間調整に失敗!

名残惜しいですが、きょうの最終行程である、竜源橋へと進みます。ヤマレコのアプリから、所要時間を65分と見積もりました。竜源橋バス停の最終バスは16時30分。私の持ち時間は、66分。のんびり行くことはできませんが、ことさら急ぐ必要もありません。ほぼ平坦な道で、岩石も少なく、しかも下り基調なので、足がどんどん進みました。形を変えていく蓼科山を何度もカメラに収め、北八ヶ岳にいる時間を楽しみ続けます。きれいな苔、可愛らしいシダ、等々も。

ヤマレコアプリが「16時21分」を告げたとき、地図を見ました。何と、竜源橋まであと500m強! 少し驚いた私は、バンバン飛ばしていきました。ようやくビーナスライン(県道192号)に飛び出すと、16時31分になるところ。でもバスの音は聞こえてなかったので、間に合ったのでしょう。ほっとして竜源橋バス停に行きました。ところが、5分待ってもバスが来なかったので、少し不安になりました。ヒッチハイクを考え始めます。16時40分まで待ってみようと思いました。

車がビュンビュン通るので、山奥のバス停にいるような心細さはありません。16時40分になりました。バス停の前でヒッチハイクのサインを出します。1台の乗用車とバイクが通り過ぎた後、その乗用車が戻ってきてくれました。バイクを先に行かせて停止し、戻ってくれたのだそうです。若いカップルが後部座席をきれいにして、乗せてくださいました。Y市S区に在住のお二人。軽快に走って、先行するバスを追い抜き、城の平入口バス停で下ろしていただきました。感謝!

段落見出し 反省

本当に助かりました。心も温まりました。最高の気分でバスに乗り、茅野駅に無事帰還できました。でもヒッチハイクは登山の交通手段ではありません。この記事をご覧の皆様は、ヒッチハイクに頼らないよう、お願いします。もちろん、生命にかかわるような事態では別です。私はもっと頻繁に地図を見て、現在地を確認するべきでした。また最終バスに乗る場合は、少なくとも10分以上前に、バス停に到着すべきでしょう。最後にもう一度、Y市のお二人、本当にありがとうございました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



©2023 Oda Family  All Rights Reserved.