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石砂山の女神たち

ヒオドシチョウとギフチョウ

ヒオドシチョウとギフチョウ

『春の女神』と呼ばれるギフチョウは、春たけなわの頃に姿を現わします。その美しい姿を撮影しようと、蝶の愛好家たちが石砂山を訪れます。

石砂山西峰から北方の415.6m峰に続く尾根ルートは、一般登山道ではありません。地形図と地形との照合をこまめに行い、現在地を確認しましょう。

バス停 神奈中バス: 橋本駅 → 三ケ木(乗り換え)
バス停 神奈中バス: 三ケ木 → 青野原 登山口
バス停 津久井神奈交バス: 藤野駅 ← やまなみ温泉 登山口

地図 地理院地図: 石砂山

天気 石砂山の天気: 相模原市緑区 , 牧野

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コース & タイム 鉄道駅 橋本駅 バス停 6:53 == 7:25 三ケ木 バス停 7:40 == 7:55 青野原 7:58 --- 8:09 吊橋 8:13 --- 8:15 牧馬沢入渓点 8:15 --- 8:25 ナメ滝 8:29 --- 8:35 牧馬大滝 8:52 --- 9:25 牧馬沢入渓点 9:25 --- 9:42 県道518号出合 9:42 --- 10:16 中沢入口 10:16 --- 10:39 牧馬峠 10:40 --- 10:55 450m+峰 12:00 --- 12:34 496m峰 12:52 --- 13:23 石砂山 13:45 --- 13:56 石砂山西峰 14:03 --- 14:36 川上ドッケ 14:36 ---(道を間違えてロスタイム約20分)--- 15:19 415.6m三角点峰 15:26 --- 15:44 県道517号出合 15:44 --- 16:12 やまなみ温泉入口 バス停 16:23 == 16:34 藤野駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が多く含まれています。
石砂山 いしざれやま:標高 578m 単独 2018年4月9日 全8時間14分  満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

4月9日(月)、5年ぶりにギフチョウを訪ねて、石砂山に行ってきました。今年の春は気温が高く、花だけでなく、蝶も例年より早く飛び始め、産卵したようです。既に翅がボロになった個体も多く見られました。その代わりという訳でもありませんが、ギフチョウの卵をたくさん見れたのが今回の収穫です。また、先回とは異なるルートを歩きたかったので、青野原を出発点とし、牧馬大滝の訪問と、石砂山西峰北尾根をプラス。充実した山歩きを楽しんで来ました。

段落見出し青野原から道志川の吊橋へ

月夜野行きのバスを、青野原で降りました。すると目に飛び込んで来たのは、真っ白な花の咲く大きな木! 白壁の家の庭で豪華に咲いています。その家の方らしい男性が、それは梨の木で、樹齢200年近いとのこと。改めて、背の高いその木を見上げました。西郷どんが生まれた頃から生きて来た木。今満開の花も見事ながら、この200年にどれほど果を実らせたことでしょうか? ソメイヨシノでは考えられないことですが、梨、リンゴ、桃などは、花も果も本当に素敵です。

さて、これより北へ、道志川に直行します。空は快晴。畑地を貫く道は開放感がいっぱい。四方の山々をきれいに望めて、自ずと足が弾みます。目指すは、道志川に向かって突き出た陸地の先にある吊橋。左右をオオアラセイトウの紫に彩られた坂道を下りて行くと、今は使われていない「青野原道志川の家」という宿泊施設がありました。もったいないようにも思いますが、修繕費を出せるほどの需要が見込めないのでしょう。そして、すぐ先に吊橋が見えてきました。

吊橋の上から見る道志川は、澄んでいました。慎まし気な流れで、水遊びには手頃かも。ただ、道志ダムから放流があると、水かさが急増するとのことです。吊橋の名は「不動之橋」。この橋の先から山道っぽくなります。カキドオシがたくさん咲く道を2分ほど行くと、大滝入口と書かれた、白い案内板が立っていました。手作り感のある造りで、「さらさら滝15分+大滝15分」と小さく書いてあります。ここから左手へ、道とも言えない道を通って、牧馬沢に下り立ちました。

段落見出し牧馬大滝で虹を見る

はじめ牧馬沢に水は見られませんでした。すぐ下流に砂防堰堤のようなものがあるので、伏流になっているのかも知れません。乾いて中小の石がゴロゴロした河床を遡行して行きます。両岸にはタチツボスミレほか、様々な山野草が見られました。少し歩くと水が現れましたが、靴を濡らすほどではありません。左岸(向かって右)には垂直に切り立った岸壁も出てきました。流れの中に点々と置かれた飛び石を踏んで遡行するところなどは、子どもたちが喜びそうです。

案内板から10分ほど歩くと、沢幅いっぱいに、落差3mほどのナメ滝がありました。これが、案内板に書いてあった「さらさら滝」でしょう。左岸にロープが設置されていますが、岸壁によいホールドがたくさんあるので、これに右手を順次掛けて行けば、楽にクリアできます。ナメ滝の上には、水流でスジ状に洗われた岩が何本もあって、これを天然の飛び石として、右岸に渡りました。その先でまた左岸に渡り返し、巻き道を乗り越えると、美しい大滝が見えてきました。

大滝の落差は約20m。正面の岸壁からではなく、左の岸壁から落ちています。ここは左・右・正面の三方が、首の痛くなりそうな垂直の絶壁で、文字通りのドン詰まり。地理院地図を見ると、牧馬沢の流れが上流へと連続しているように思えますが、実地踏査ではじめて分かる滝です。あいにく水量は多くありませんでしたが、滝の下部にきれいな虹がかかり、しばらくの間うっとりと見とれていました。案内板から徒歩でわずか20分、来てよかったと思いました。

段落見出し牧馬峠へ

さて、右手の岸壁を見ると、もしかしたら巻けるかもしれないと思いました。尾根まで登ってみると、地形図通り、その向こう側も急峻に落ち込む谷。でも尾根伝いに岸壁の上部に行けるかも知れません。先を見上げながら少し思案しましたが、やはりここは、単独行者にとってプチ冒険の範疇を越えています。足場が悪そうだし、万一行き詰まると進退窮まりかねません。来た道を素直に戻ることにしました。

帰り道では、来た時に気づかなかった花をいくつも見つけ、大いに道草を食いました。好きなところで好きなだけ時間を費やす。これこそ単独行の素晴らしい利点です。日当たりの良い川岸に咲く草花を撮影しながら、案内板まで戻り、吊橋から来た山道の続きを登って行きました。この山道がまもなく県道に至ろうとする地点に、素敵な展望がありました。南方が開け、眼下に流れる道志川の大U字形、先ほど渡った吊橋、緑のパッチワークのような森林が箱庭のようです。

きょうは、山が笑い、水が笑い、花も笑っています。これなら、ギフチョウも楽しみです。県道518号に出ると、三角山と焼山がよく見えました。時々車がビュンビュン走って来るので油断はできませんが、眺望は好い道です。緩やかに高度を稼ぎつつ、歩くこと1時間弱、牧馬峠に到着しました。乗用車が6台ほど停められていますが、皆さんギフチョウ目当てで来ているのでしょう。一眼レフを持った男性がいて、ギフチョウを見たいとのこと。一緒に行くことにしました。

段落見出しギフチョウ、ひらり、ひらり

牧馬峠から、石砂山への登山道に入ります。するとすぐに、登山道の真ん中に止まっているギフチョウを発見! 同行の男性にとっては初対面です。まずは見ていただいたので、次は撮影してもらいましょう。そこで、牧馬峠直近の450m峰に登ってみました。アゲハチョウやタテハチョウのような飛翔力の強い蝶は、晴れた日中に高いところへ集まる習性があるからです。頂上まで行くと、期待どおり、何頭かのギフチョウが、ひらり、ひらりと舞っていました。

リュックを下ろして、撮影態勢に入ります。ところがギフチョウはなかなか止まってくれません。止まる花はないし、地面に下りてもすぐに飛び立ちます。しかも、翅の傷んだ蝶がほとんど。それでもギフチョウどうしが出合うと、互いに相手を追い払いにかかります。あのオスとメスがどこまでも愛の舞を舞う季節は、早くも終わったのでしょうか? かれこれ1時間以上粘りましたが、正午のメロディーが流れて来たのを機に、あきらめてリュックを背負いました。

二つ目の450m峰を越えると、産卵のために食草を探して飛ぶギフチョウがいました。でも食草のカントウカンアオイは、容易に見つからないようです。なかなか産卵できずに、あちらへ、こちらへとさまよっているようでした。生まれてくる子どもたちがよく成長できるようにと、なるべく大きな食草を探す母蝶は、必死であるに違いありません。もしかして、山頂でのんびり日向ぼっこをしていたのは、皆交尾を終えたオスたちだったのでしょうか?

段落見出しやった、ライバルのツーショット!

496m峰に到着しました。うまいことに、ギフチョウが木の根に止まって、翅を休めています。そっと近づき、撮影ボタンを押そうとした瞬間、ヒオドシチョウが来てギフチョウを追い払ってしまいました。蝶の撮影でのお邪魔虫は、他の蝶、人、自分自身です。ギフチョウよりも強い蝶が来ても、弱い蝶が来ても、飛び立ってしまうという点では同じです。でもこの峰は人が来なくて、撮影には好適。私は腰を低く下ろし、蝶の止まる定位置を見つめながら、お茶にしました。

おやつの甘い香りに惹かれたのか分かりませんが、またギフチョウがやって来て止まりました。そこにやって来たヒオドシチョウを、今度はギフチョウが追い払いました。しばらくすると、ヒオドシチョウが戻って来て止まりました。「仲良くしてくれ!」と心で叫んだら、ギフチョウもやって来て、ヒオドシチョウと向き合って止まりました。「そのまま、そのまま」とつぶやきながら、夢中で何ショットも撮影しました。これが上の写真です。

蝶も笑ってくれた! 私の心も笑いました。次は石砂山に向かいます。行く道で、カントウカンアオイの葉を見つけると、めくってみました。大き目の葉には、必ずと言ってよいほど、卵が産み付けてあります。緑色を帯びた、真珠のように輝く卵。まもなく黒い毛虫が生まれ、成長して蛹になり、夏と秋と冬を越して、来年の春に羽化します。春の一時期にしか見られないギフチョウの成虫。こうしたことから、スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)と言われます。

段落見出し石砂山から川上ドッケへ

石砂山の頂上には、人もギフチョウもいました。蝶が止まってくれそうな花のないのが残念。ここは、丹沢三峰、焼山から袖平山、大室山などを眺める好展望地です。山腹に見られる白っぽい部分は、ヤマザクラでしょう。丹沢も笑っています。山頂で休んでいた熟年グループとしばらくおしゃべりをし、西峰に向かいました。東峰と西峰の鞍部まで東海自然歩道を下ります。鞍部から西峰へは地図にない道。コナラの多い落葉樹林は、落ち葉がたくさん積もっていました。

西峰山頂にもギフチョウが数頭見られました。ちなみに、5年前に来たときはゼロでした。今は、交尾を終えたオスたちが、余生を過ごしているのでしょうか? それはともかく、ギフチョウ探訪はここまで。これよりやまなみ温泉まで、薄い踏み跡を辿る、プチ冒険ルートです。西峰から北へ、はじめ緩やかに、そして激しく下って行きました。急斜面に深く積もった落ち葉は、滑りやすいので緊張の連続。木の枝を拾って杖にします。ヒトリシズカが束の間の癒しをくれました。

川上ドッケとの鞍部まで下って、ほっと一息。鞍部から緩やかに尾根を登り返して、石祠のある川上ドッケ(499m)に到着しました。立ち木に私製の小さな標識が二つあります。一つには大石神社と石砂山の文字。他の一つは、字が薄れて判読できませんでした。引き続き、三角点のある峰(415.6m)に向かいます。ところがここで、またポカミスを犯してしまいました。こまめに地形図を見なかったのが原因です。私は、これを時々しでかすのです。

段落見出し道間違いで罰ゲーム?

川上ドッケから北に150mほど行ったら、左折するのが正解です。ところが私は、真っ直ぐ北に下って行きました。しばらく急下降すると、ブッシュに突入。ようやくこれを抜けると、何か変な感じがしてきました。「急な下りが少々長すぎるのでは?」ポケットから地形図を取り出して見ると、ようやく道間違いに気付きました。「左手にないはずの尾根がある! あっちの尾根が正しいルートだ!」即刻引き返します。間違い始めた地点に戻るまで、20分のタイムロスでした。

こうして415.6m峰にたどり着きました。三等三角点石にタッチし、腰を下ろしてお茶にします。空を見上げると、ヤマザクラが咲いていました。きょう最後の休憩をとりながら、これからどう進むか、地形図を見て考えました。西に進めば、霊園があります。通過できるでしょうか? いや、霊園は遠慮しよう。ここは分かりやすく、真北に下ることにしました。立ち上がり、迷わず北に下降して行くと、美しく咲いた桜と小さな家とを見下ろす緑地に出ました。

恐る恐る、小さな家の方に下りて行きました。どうやら家には誰もいないようです。この家の裏から表へ回り込むと、県道517号に下り立つことができました。あとは、やまなみ温泉まで、ひたすら舗装路を歩くだけ。途中で、篠原行きの小型バスと行き違いました。そしてやまなみ温泉の近くまで来て、戻って来たバスに抜かれました。きょうはアホな間違いをしでかしたので、時間を挽回するため、温泉は取り止め。バス停で整理体操をして、藤野駅行きバスに乗りました。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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