山はいいなあ  >  南アルプス  >  【青春18】日向山

【青春18】日向山

白砂の庭園

白砂の空中庭園

ここで言う日向山は、甲斐駒ヶ岳の前衛峰である日向山です。その山頂には、自然が造形した美しい白砂の庭園があります。

バス停 北杜市民バス: 日野春駅 → 名水公園べるが東 登山口
バス停 北杜市民バス: 長坂駅 ← 名水公園べるが東 登山口

地図 ルート図 ヤマレコ

天気 日向山の天気: 北杜市


コース & タイム 鉄道駅 日野春駅 バス停 9:13 == 9:35 名水公園べるが東 9:36 --- 10:12 尾白川渓谷駐車場 10:21 --- 11:25 矢立石登山口 11:27 --- 12:55 日向山三角点 12:55 --- 12:59 日向山 13:42 --- 14:52 矢立石登山口 15:00 --- 15:55 尾白川渓谷駐車場 16:01 --- 16:28 名水公園べるが東 バス停 16:42 == 17:02 長坂駅 鉄道駅
※歩行時間には水分補給と撮影の時間が多く含まれています。
日向山 ひなたやま:標高1660m 単独 2023年7月25日 全6時間52分  満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

7月25日(火)、青春18きっぷを利用して、日向山に行ってきました。全国に数多くの日向山がありますが、甲斐駒ヶ岳前衛の日向山です。山頂に自然が造った美しい白砂の庭園があることで知られます。連日「危険な暑さ」が予報されている最中なので、歩行速度を抑制し、こまめに水分補給をしました。大量の汗をかいたために、着ていたシャツは常に水びたし状態。でも、白砂の庭園に飛び出した瞬間、すべて報われて余りある感動がありました。

段落見出し 昆虫だらけの日野春駅

日野春駅ホームに下り立つと、甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山が迎えてくれました。跨線橋を昇ると、早くも虫たちと遭遇開始。高校生らしいグループが、カミキリムシなどを早速捕えています。この日野春駅から長坂駅にかけて、10kmの「オオムラサキ自然観察歩道」があり、オオムラサキをはじめ、様々な昆虫を観察することができます。言わば、虫好きたちのメッカ。きょうは雲が多そうなので、山に行かず、虫探索に行こうかと、ここで心に迷いが生じました。

改札口で遠くにいた駅員さんに青春18きっぷを見せたら、そのまま通ってくださいとの合図をくれたので、簡易Suica改札機の横を素通りしました。でも、まだハンコを押してもらってありません。成り行き任せにしていると、不正乗車と紙一重の立場になりかねません。改札口に戻り、ハンコを押してもらいました。帰りの電車の時刻表を確認しておきます。駅舎を出ると、すぐ右手に「北杜市民バス」の乗り場がありました。

少し時間があったので、駅の周りで虫探しをしました。すると、見つかる、見つかる、駅前の松の木まで宝探しのよう。まだLED化されていない照明があるのでしょう。頭が昆虫モードになって、ますます「オオムラサキ自然観察歩道」への誘惑が強くなりました。臨機応変か、初志貫徹か。心の中で回したルーレットは、「山」で止まりました。これも紙一重です。そうこうしているうちにバスが来て、私の真ん前でドアが開きました。

段落見出し 尾白川渓谷駐車場へ

バスが動き出すと、迷いもためらいも消えました。楽しいマイクロバスツアーの始まりです。釜無川左岸段丘をぐんぐん下り、釜無川が見えてきました。ああ、下に見えるあの橋を渡るのだな、とカメラを構え、釜無川橋に差し掛かった瞬間、上流方向をカシャ。このあたりから「むかわ」という名がよく出てきます。実は武川をむかわと読むことに、ここでようやく気付きました。通過していく集落の風情は、どこの田舎にもありそうな家並みだな、という印象でした。

緑も鮮やかな水田地帯に入りました。別世界です。家屋のほとんど見当たらない田園は、遮るものの全くなく、四方の山並みをきれいに見せてくれます。定刻通り、「名水公園べるが東」バス停に到着。料金は200円均一の後払いです。走り去るバスを見送り、ヤマレコの地図を見て現在地を確認。地図がなくても、南アルプスに向かって歩けばいいので、道に迷うような場所ではありません。道わきに立つ看板を見て「べるが」とはVerdant Gardenのことだと知りました。

「べるが通り」なる真っ直ぐな道を、山に向かって歩きます。道わきに並ぶアジサイに、花がまだありましたが、このカンカン照りでは色も冴えません。なぜか、モンキチョウばかりが幾つも飛んでいます。左に「名水公園べるが」を遠目に見つつ、ひたすら直進。突き当りの案内板を見て、竹宇駒ヶ岳神社へと向かいます。鎖に繋がれた象の像を見て、またひたすら竹宇駒ヶ岳神社へ。やがて緑陰の道となり、ほっとしました。春や秋なら、もっと楽しい道だったでしょう。

段落見出し 日向山へ

尾白川渓谷駐車場にも、いろいろな虫がいました。夜間に明かりがあるのでしょう。駐車場のすぐ先に「甲斐駒ヶ岳登山口」と書かれた標柱と、「矢立石登山口」と書かれた標識とがあります。誤解する人もいるようですが、ここは矢立石登山口ではなく、その入口です。その矢立石登山口へは、このすぐ先の竹宇駒ヶ岳神社から50分ほど登らねばなりません。でも矢立石登山口の駐車スペースが狭いので、多くのハイカーはここ尾白川渓谷駐車場から歩きます。

竹宇駒ヶ岳神社のすぐ手前から、登山道に取り付きます。道はよく整備されて、歩きやすく、要所要所には赤い目印もあり、迷いそうなところもありません。緑の濃い夏場だからかもしれませんが、眺望がないので花や虫を探しながら登りました。熱中症対策で、こまめに水分を補給します。飲めばすぐに汗になって出るので、着ていたシャツは、プールに飛び込んだかのように、ずぶ濡れ状態になりました。静寂の中に、エゾゼミとエゾハルゼミの声だけが響いています。

矢立石登山口に到着。車が10台ほどあり、満車です。小型のバスも1台ありました。汗で体が冷えないうちに「日向山ハイキングコース入口」と書かれた道に取り付きます。(では、ここまでの登山道は、何だったのかな?)さて、取りつきに「10╲0」と書かれた標識があります。ここは「0合目」ということでしょうか。そして山頂は10号目。途中にはこれと言った楽しみの乏しいコースなので、この数字を見ながら頑張っていきます。

段落見出し 白砂の空中庭園

さて、ハイキングコースに花はあまり咲いていませんでしたが、虫はいました。オオスズメバチに似た大型のアブが、ブンブンと五月蝿くまとわりつきます。林相は、広葉樹がメインでしたが、私の好きなカラマツ林も現れ、林床に大きな笹が茂っていました。その緑の笹に埋もれそうな、白くて、足にやさしい登山路。標識の数字にも励まされます。ほとんど無風で、とても暑かったのですが、ジグザグ道が右に折れるたび、谷から上ってくる微風に癒されました。

山頂に至る直前、三角点に立ち寄りました。樹木に囲まれて、眺望はありません。ここに三角点を設置したときは、見晴らしが利いたのでしょう。三角点石に表敬のタッチをし、山頂に向かうと、すぐに白砂の空中庭園に飛び出しました。何ともすばらしくドラマチックな山頂です。花崗岩の風化によってできた、ザラメのような白砂。風雪を経て造形された奇岩の数々。向かい合うライオンのオスとメスのような彫刻もあります。加えて広大なパノラマ、青い空、白い雲。

絵のようによくできた庭園に見とれながら、お昼にしました。今度は花に目が行きます。キバナノヤマオダマキ、ヤハズハハコ、キヌタソウ、ヤマホタルブクロ、等々。未開花でしたが、シオガマギク(あるいはトモエシオガマ)も見られます。昼食を終えると、雁ヶ原方面に行ってみました。甲斐駒ヶ岳がドーン、鳳凰三山がジャーンと現れます。富士山もうっすらと望めました。さらにザラメ道を進んで小峰に登り、清浄感に満ちた時間を楽しみました。

段落見出し 下山

白砂の庭園で40分余り過ごしました。下山の途に就きます。再び標識の数字を見ながら、スタコラ、スタコラ。岩場もザレ場もヤブもない、ありがたい道。整備してくださった方々に感謝です。「0合目」の矢立石登山口で小休止し、知らない人と雑談しました。引き続き、尾白川渓谷駐車場に向かって下ります。途中の林道で、小型バスに抜かれました。セミの声は、ヒグラシとアブラゼミに替わっています。バスの時刻に合わせ、時間調整のため、ペースを加減しました。

尾白川渓谷駐車場に車が増えていました。午後4時で、80台以上。まだ渓谷で遊んでいる人々が多くいるのでしょう。私は「名水公園べるが東」バス停に向かいます。下り基調なので、思いのほか足が進みました。そして再び美しい緑の水田地帯へ。田んぼが私に「お帰り!」と言っているような気がしました。モンキチョウも相変わらずテフテフ。広大な水田をよく見ると、勾配の緩い棚田に造られています。その彼方に茅ヶ岳・金ヶ岳、金峰山。そして八ヶ岳のシルエット。

再び北杜市民バスに乗車。客は私を含めて2人だけ。それでも停留所名を几帳面に告げる車内アナウンスが、観光ガイドに代わって、バスツアーを楽しませてくれます。20分ほどで、こじんまりとした長坂駅に到着。無人駅です。高尾行き上り電車に乗り込むと、靴を脱いで両足を靴の上に置きました。穴山駅までの記憶はありますが、その後は爆睡。高尾駅で降りたときには、足の疲れがほぼ消えていました。今回も無事に登山を終えることができ、感謝です。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



©2023 Oda Family  All Rights Reserved.