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鉄砲木ノ頭・高指山

鉄砲木ノ頭・高指山

鉄砲木ノ頭から望む富士山と山中湖

鉄砲木ノ頭と高指山は、手軽に登れて、富士山と山中湖を眺めるのに格好の展望台です。

駿河小山駅から明神峠に行くバスは、季節運行です。土休日に片道だけ乗ることができます。

バス停 富士急バス: 駿河小山駅 → 明神峠 登山口
バス停 共同運行バス: 中央道八王子 ← 平野 登山口

地図 地理院地図: 鉄砲木ノ頭

天気 鉄砲木ノ頭の天気: 山梨県山中湖村

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コース & タイム 鉄道駅 駿河小山駅 バス停 8:45 == 9:06 明神峠バス停 9:08 --- 9:41 県境 9:42 --- 10:25 三国山 10:27 --- 10:43 三国峠 10:43 --- 11:05 鉄砲木ノ頭 11:34 --- 12:14 切通峠 12:14 --- 12:50 高指山 13:27 --- 14:20 平野バス停 バス停 14:25 == 16:49 中央道八王子 バス停 == 西八王子駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が大幅に含まれています。
鉄砲木ノ頭、高指山 てっぽうぎのあたま:標高 1291m、たかざすやま:標高 1174m
2016年10月15日 単独 全5時間12分 満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:

10月15日(土)、快晴の秋空、富士箱根トレイルの三国山から鉄砲木ノ頭を経て、高指山まで歩いてきました。富士山にも、湖水にも、ススキの上にも太陽がいっぱい。心身ともに癒されました。

区切りアイコン楽チン、明神峠から歩く

駿河小山駅で御殿場線を下り、バス乗り場の行列に並びました。花束を持った、墓参りらしい人々もいます。霊園行きのバスが出ると、明神峠行きのハイカーが20人ほど残り、私がその行列の先頭になりました。バスに乗り込むと、運転士の横の高いところに着席。バスが山をぐんぐん登って行くと、左手にきれいな富士山が望めました。すでに初冠雪があったのですが、雪はすっかり消えていました。

明神峠バス停は、ここが本当に峠なのかな、と思う場所にあります。バスを降りた人々の大部分は、不老山方面に行くようですが、サンショウバラが咲いていなくても大きな魅力があるのでしょう。海と富士山が見えるとか、サンショウバラの咲く梅雨時には見れないものがあるに違いありません。私はリュックを背負うと、車道と並行するハイキング道を三国山に向かいました。

100mほど進むと、トイレがありました。2室あります。中を覗いてみると、とてもきれいで、しかも完全無臭!予備のロール紙が2個。びっくりぽんです。どんな構造か、ポンプ式と書いてありました。私は、行楽地のトイレにも格付けをし、星の数で表したらどうかと思います。ともあれ、爽やかな気分でハイキング道に戻り、緩やかに登って行きました。新緑のように初々しい緑色の木々に、気分は上々。左手に白煙を上げる箱根の山と、置物のような愛鷹山が望めました。

区切りアイコン三国山のブナ林をエンヤコラ

静岡県と神奈川県の境が車道の峠で、地図によると、ここから車道を30分ほど歩くと三国峠です。しかしそれでは充実感が乏しいので、まず三国山に登る計画にしました。第一、三国山稜のブナ林を歩かないのは、もったいない。登山道の傾斜はやや急ですが、様々に面白い形をしたブナの木がたくさんあります。他にカエデも多く、ヒメシャラも少し。お楽しみは、送電線の下あたり、甲相国境尾根から丹沢主稜を経て大山までを一望できる草原があります。

山を歩くのは二か月ぶりですが、その間トレーニングを怠ったので、足がとても重くなっていました。歩幅を小さくして、無理なく登って行きます。10時になると、サーキット場から爆音が響いてきました。この騒音は三国山稜の欠点ですが、三国山頂までの辛抱です。ほどなく、右手の枝越しに鉄砲木ノ頭が見え隠れするようになりました。奈良の若草山のような、円い山容と、草原のような斜面とが特徴です。これを見て元気が増し、一気に三国山頂に至りました。

三国山頂は樹木に囲まれて、展望はほとんどありません。でも紅葉の始まった木があり、赤と緑のグラデーションが、逆光に美しく映えていました。真っ赤な紅葉もいいのですが、私は一枚の葉に、柔らかな緑と鮮やかな赤とが見られる、移ろう秋の色彩が好きです。その後、下山するまでこのような木は見られませんでした。でもその季節は、すぐそこまで来ています。思うに、東の不老山は、サーキットの騒音も届かず、美しい秋を楽しめる山なのかも知れません。

区切りアイコンススキと富士と

三国山頂で右折し、三国峠へと下って行きます。すぐに爆音は聞こえなくなりました。広葉樹林の落ち葉を踏みしめながら緩やかに下って行きます。やがて笹の茂みをかき分けて進むようになると、賑やかな人の声が聞こえてきました。車も何台か見えます。車道に飛び出すと、そこが三国峠でした。1時間前に横断した車道を、ここでまた横断し、真っ直ぐ登って行きます。V字状に鋭くえぐれた登山道を登って行くと、すぐ左手にススキの茂みが見えました。

ススキを見に行くと、登山道と並行して、ススキの草原の中に明るい道がありました。見晴らしがよく、幅も広めで歩きやすい、すてきな道です。それより、いきなり大きな富士山が見えました。おおお!と感動の瞬間。即撮影!この後、各所でもっと美しい構図の富士山を見られるのですが、感動の記憶が収められたショットは、自分だけの宝、保存版です。でも、どうして道が2本あるのでしょうか。おそらく夏場は日差しが強く、明るい道を歩くのは厳しいのでしょう。

これより先は、山頂に引きつけられるように、ぐんぐんと登って行きました。ススキ越しに富士山を眺めたり、前方の丸い山頂を見上げたり、後方の三国山を振り返ったりしているうちに、難なく鉄砲木ノ頭に到着しました。山頂標には、「明神山頂」と書いてあります。西面が広大に開け、快晴の大空、大きな富士山、青い山中湖、枯草色のススキ原、夢の風景が欲しいままです。はるか西方には南アルプス。白峰三山から赤石岳へと、くっきりした稜線を望めます。

区切りアイコン切通峠を経て高指山へ

腰を下ろし、お茶にします。家で淹れてから6時間たった緑茶ですが、まだ舌を焦がしそうなほど熱く、雄大なパノラマを眺めながら、ちびりちびりとすすりました。次第に人が増えてきます。皆さん、記念写真を撮り合っていましたが、私も撮影を頼まれました。富士山を背景に、にこやかな顔を、暗くならないようフラッシュで明るく撮ってあげるのですが、何かもの足りない気がします。かれこれ30分ほど絶景を楽しんで、もう一つの展望台、高指山へと向かいました。

低木や中木の濃く茂るトンネルを、軽快に歩きます。1250mの丘まで、ほぼ平坦な尾根歩きでした。そこから切通峠(1050m)へと一気に下って行きます。稼いだ高度がもったいないような気がしますが、この先に息の切れるような登り返しはありません。落葉樹の尾根歩きは、気持ちのいいものです。ただ、トリカブト以外の花がほとんど見られないのが寂しいところ。シカたちもトリカブトは食べないのでしょう。鉄砲木ノ頭から40分ほどで、切通峠に到着しました。

切通峠に立つ道標に、浅瀬入口を指す腕木がありますが、通行止とは書いてありませんでした。浅瀬方向を覗いてみると、細い道がありましたが、やはりあまり歩かれてないようです。反対側の平野(ひらの)へは、普通の登山道がありました。切通峠から高指山へは、1.3km。トリカブトの群落を見て、緩やかな尾根をのんびりと登って行きました。予約したバスに、うまく乗るための時間調整もしています。途中、平野への分岐が3か所あり、4か所目が高指山頂でした。

区切りアイコンもう一つの展望台、高指山

高指山頂の眺望も、鉄砲木ノ頭のそれに負けず、素晴らしいものでした。山中湖が富士山を映す位置になっています。ただ午後の逆光が強くなり、富士山が平板になっていました。朝早く来れば、何もかもが新鮮な色彩で、立体感も豊かに見ることができるでしょう。でもススキの穂は逆光でいっそう美しくなっていました。山頂から鉄砲木ノ頭を振り返ったり、石割山や大平山を望むことができます。

朝の御殿場線の車内で相席だった男性の二人組が到着し、後姿を撮影し合っていました。「あ、これがいい!」そう思って、私も後姿を撮影していただきました。富士山と山中湖の展望に魅せられている男の後姿です。富士に背を向け、顔の正面から撮るよりも、ずっとロマンがありそう。今後は、これで行こうと思います。でも後姿の自撮りは、簡単でない場合も多いことでしょう。

高指山では、鉄砲木ノ頭よりも長居をしました。平野に向かって、ススキの草原を下ります。輝く銀穂が花道のように、下山の道を飾っていました。別荘地を通り抜け、テニスコートの多いリゾートを、満たされた心でテクテクと歩きます。平野バス停に到着すると、新宿駅行きのバスが入って来ました。予約したバスより1時間早い便ですが、幸い空席があって、乗せてもらえました。快適な座席に着くと、たちまち夢見心地となり、楽々と家路に就き......感謝の一日でした。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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