西山峠と中沢峠の間に、富士山と丹沢山塊の眺望がすばらしい場所があります。右奥手には南アルプスも望めます。
南高尾山稜は「東関東ふれあいの道」の一部です。よく整備されていて、まき道やエスケープルート(緊急時の下山路)も多くあります。
京王バス: 橋本駅北口 → クラブ前(三ケ木行き)
地理院地図: 南高尾山稜・大洞山
南高尾山稜の天気: 八王子市 , 相模原市緑区 , 津久井湖 , 高尾山
レポ: 6号路から南高尾山稜へ , 南高尾山稜のシモバシラ
立春の近づいた2月1日、南高尾山稜を歩いてきました。津久井湖の三井大橋(みいおおはし)から高尾駅まで、水平距離で約15kmのやや長い道のりですが、標高差はあまりないので、のんびり歩くのにもってこいのコースです。
この日は朝から快晴、無風で暖かな一日になりそう。8時36分、橋本駅北口から京王バス三ケ木(みかげ)行きに乗り、クラブ前で下車。すぐに三井大橋に向かいます。この橋は両側各1車線で、歩行者専用のスペースはありません。一旦渡り始めたら風景を楽しむどころではなく、車と出合わないよう急いで渡りたいところです。歩道橋が完成すれば、のんびり橋の上から津久井湖を楽しめるようになるでしょう。
峯ノ薬師まで一気に登って、一休み。このあたり、津久井湖と城山をモチーフに、のどかな絵のような眺望が楽しめます。通りすがりですが、薬師様で健康と安全を黙祷。祈願が終わったら、最初の目標である、三沢峠を目指します。この先、いくつもの峠といくつもの山を越える尾根道ですが、起伏は大したことがありません。しかもほとんどのピークにまき道がついています。ピークを登っても特に眺望が良いわけではないので、まき道を進む方が楽チンです。
南高尾山稜の圧巻は、三沢峠とコンピラ山の間にある展望地。よく晴れていたので、富士山と丹沢はいうまでもなく、南アルプスまできれいに望めました。丹沢は、塔ノ岳こそ隠れてよく見分けられませんが、舞台上手の大室山、檜洞丸の稜線から始まり、袖平山、蛭ヶ岳、丹沢山を連ね、下手の三ノ塔、二ノ塔、大山までが、ひと続きに見えています。この大パノラマの前景には、川幅のふくらんだ相模川と、河岸段丘に家々の立ち並ぶ、のどかそうな田園。いつまで見ていても飽きることがありません。(上の写真)
コンピラ山には立派な木製のテーブルとベンチに加え、たくさんのリュック掛けが作ってありました。写真をご覧くだされば分かるように、いずれも優しいフォルムながら頑丈そうな造りです。ここで腰を下ろし、行動食のヨモギもちを食べ、温かい紅茶で一服。木々の枝越しに目的地、高尾山が見えます。
眺望のない大洞山を素通りし、大垂水峠(おおだるみとうげ)に下って国道20号に架かる歩道橋を渡ります。城山に続く「関東ふれあいの道」とここで別れ、高尾山の「学習の歩道」に入ります。学習教材はもちろん高尾山の自然です。
まだ山野草は咲いていませんでしたが、陽だまりで冬越し中のテングチョウに出合いました。山を覆う杉の木は、紅葉したかのように赤みを帯びています。その色の濃さを見ると、まもなく始まる花粉飛来のシーズンが思いやられます。
高尾山の山頂手前の階段を昇って行くと、人の声の代わりに静かなギターの音色が聞こえて来ました。高尾山といえども、冬の平日は人影もまばら。ほんの僅かな人々が、大見晴台に立って山々を眺めています。富士山は午後の光でやや陰影が薄くなってはいましたが、見えるだけでも人に感嘆の声を上げさせるには十分な美しさです。
山頂からは1号路を下りました。冬だからか、薬王院の天狗のブロンズ像に雪除けのような覆いが付けてあります。縁結びの竜神の前では、若い女性たちが携帯電話で竜神像を熱心そうに撮影していました。
金比羅台では、東京、川崎、横浜の高層ビル群がよく展望できました。きっと都会からも山々がきれいに見えていることでしょう。ここから高尾山口駅に下りる方が近いのですが、きょうは高尾駅に向かって下りる計画です。最後まで気を抜かず、狭くなった道を名残り惜しく下りて行きます。前方に京王電鉄高尾線の線路が見えると、いよいよ登山道も終わりです。
名前の由来がちょっと気になる「両界橋」で国道20号と別れ、JR中央線わきの小路を駅まで歩きます。峯ノ薬師様の恵みか、すべて順調に運び、15時11分、無事にJR高尾駅にゴールインしました。
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