JR御殿場線、谷峨駅から手軽に登れます。ハイキングコースとして、至れり尽くせりの感さえあります。
(当時の事情)JR御殿場線では、SUICA や PASMO が使えません。切符を現金で買います。
小田急線新松田駅 → JR松田駅 → JR谷峨駅 小田急線新松田駅 ← JR松田駅 ← JR山北駅
地理院地図: 大野山
大野山の天気: 山北町
レポ: 高松山 , 大野山・下山は高杉コース
10月18日、丹沢山塊の南西部に位置する大野山に行ってきました。山頂付近は明るい牧草地になっていて、展望のよく利く、ハイキングに格好の山です。この日、少し曇り気味でしたが、秋らしい爽やかな日差しに恵まれ、楽しい山歩きができました。
大野山は、御殿場線山北駅または谷峨駅から登れますが、下山後に山北駅に隣接する「さくらの湯」に入るため、谷峨駅から登るように計画しました。午前8時27分、トンガリ屋根の谷峨駅に到着。プラットホームで車掌さんに切符を渡します。
駅を出て跨線橋を渡ると、刈り入れが終わって、新しい葉の伸びた緑の田んぼが広がっています。酒匂川の吊り橋を渡って車道をゆっくり登って行くと、大きな富士山が待っていました。下から七合目か八合目付近まで雲に覆われてはいますが、まだ雪を冠っていない黒い頭を突き出しています。早くしないと全身雲に隠れしてしまいそうで、自ずと足が速まります。
ススキ、セイタカアワダチソウ、イガ栗、ジョロウグモなど、それぞれの色で秋の舞台に出演しています。嵐集落で車道を離れ、農家の裏の畑を登って行きます。ヤマハッカ、ベニバナボロギクなど、やや寂しい秋の山道で慎ましく咲いています。
次の車道に出会うと、「奥山家(おくやまが)古道」の説明板が立っています。その隣には「都夫良野(つぶらの)の頼朝桜」が道路の上に大きく枝を広げています。そのすぐ先にはとても立派なトイレ。なんと更衣室まであります。さらに進むともう一度車道を横切ったところに、屋根つきの休憩所があります。この至れり尽くせりぶりは、道の草刈り、階段、手すり、分かりやすい道標など、大野山ハイキングコース全域に及んでいます。
10時10分、樹林帯を抜け、明るい開放感のある牧草地に到着。別世界に飛び出したような気分です。歩道の両側には人と牛とを隔てる柵が建ててあります。残念ながら富士山は雲に覆われてしまいましたが、視界は開け、冬の透明な空気が満ちる頃には素晴らしい展望台になりそうです。
10時45分、公園のような山頂に到着。北に丹沢湖がよく見えます。その向こうには畦ヶ丸(あぜがまる)、菰釣山(こもつるしやま)など西丹沢の山並み。右に目を移すと、大室山、檜洞丸、蛭ヶ岳の堂々たる姿。さらに南東側を見渡せば、酒匂川が大きなカーブを描いて相模湾に至ります。
この山頂にもきれいなトイレがあります。見学のため入ったら、換気扇が回り始めました。外に出ると、手ぶらで登ってくる人々がいます。山頂直下の駐車場までマイカーで来れるからです。私は急ぐ旅ではないので、山頂でゆっくりと昼食をとります。空の上では大きな雲が流れ、晴れたり曇ったりしています。
山頂から山北方面に下る道の脇に、「大野山こもれび遊歩道」があります。入ってみると、意外にも蝶よ花よの世界です。アカタテハ、キタテハなどが、トネアザミ(紫)、ヤマトリカブト(紫)、サラシナショウマ(白)、シロヨメナ(白)などの咲く花畑で遊んでいます。ごく短い遊歩道ですが、ここで30分もの大道草を食ってしまいました。
遊歩道を降りきると木彫りの動物たち並んでいます。フクロウ、熊、牛などのほか、ジャンプ中のイルカも来ています。そこを抜けると駐車場があり、まきば館を経て山北方面に下りる林道を右に分けます。地図にイヌクビリと書かれていますが、そのような地名の書かれた道標は見当たりませんでした。
真っ直ぐハイキングコースを進むと、畳表を張ったベンチが三つあります。縁にはよく似合う赤とんぼも止まっています。次に来るときは、緑茶と饅頭を持って来ようか…と思いながら通過。
牧草地の手前から長い急傾斜の階段を下ります。親切にも手すりが付いています。やや不精な感じのするトネアザミの群落を見ながらどんどん下ると涼しい樹林帯に入り、ホトトギスやキバナアキギリが見られるようになりました。
右手に石段が現れ、地蔵岩観音、水子地蔵尊と書かれた立て札があります。好奇心でのぞいてみると、狭い場所に二つの小さな社が向かい合わせに建っています。水子地蔵尊の方には、ぬいぐるみなどのおもちゃが供えられています。また子供を救うありがたい地蔵菩薩の恩徳を讃えた歌ニ曲が、内と外とに掛けられています。
共和小学校は、とても小さな校舎ですが、背後に美しい裏山を備えています。懐かしい二宮金次郎の像が薪を背負い、本を読みながら歩いています。校門の脇にコスモスがさりげなく咲いていました。
古宿(ふるやど)の集落の陽のよく当たりそうな斜面に、きれいな茶畑があります。民家の軒先にお茶の木の白い花、小菊の赤い花など、ほっとする人里です。
国道246号に沿って樋口橋を越すと、酒水の滝への道標があります。酒匂川で薄まる前の”原液”を飲んでみたい気もしましたが、往復40分も歩くことになるので止めておきました。
午後2時28分、JR山北駅に到着。レトロ調の山北町内循環バスは、3kmまで100円です。運行本数は少ないのですが、運がよければ樋口橋から山北駅まで乗れるかもしれません。
跨線橋を渡り、温泉のある山北町健康福祉センターに行くと、その先に児童公園のようなものがあり、蒸気機関車のD52が保存されています。間近で見ると、車体表面が現役選手のように美しいのに驚かされます。ベンチでおにぎりを食べていたら、新宿から来たロマンスカーが、単線を御殿場方面に登って行きました。
月曜日とあって、さくらの湯はガラガラに空いていました。誰もいない湯舟に浸かり、手足を思い切り伸ばして、心身ともにくつろいだら、心地よすぎて眠くなってしまいました。
Alt + < = 戻る。 Alt + > = 進む。 Internet Explorer では、最後に Enter を押してください。 了解