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大岳沢から大岳山

大岳山

大岳沢

大岳沢は、大滝よりも上流では釣り場もなく、多くのミニ滝やミクロ滝が、ほぼ絶え間なく連続しています。

大岳山に登るルートは、サブルートまで含めると、数多くあります。ここに記したルートは、かなりワイルドです。

バス停 西東京バス: 武蔵五日市駅 → 大岳鍾乳洞入口 登山口
バス停 西東京バス: 武蔵五日市駅 ← 払沢の滝入口 登山口

地図 地図: 大岳山 , ルート図

天気 大岳山の天気: 檜原村 , 武蔵五日市駅 , 大岳山


コース & タイム 鉄道駅 武蔵五日市駅 バス停 7:01 == 7:28 大岳鍾乳洞入口バス停 7:33 --- 7:58 大岳鍾乳洞前 7:58 --- 8:24 大滝 8:31 --- 8:39 大滝上の木橋(入渓点)8:45 --- 10:31 登山道横断 10:31--- 10:47 二俣(850m)10:47 --- 10:52 伏流終点 10:52 --- 11:15 遡行中止(昼食)11:32 --- 11:47 左岸の尾根に乗る 11:47 --- 12:17 トラバース登山道出合 12:17 --- 12:20 馬頭刈尾根出合 12:20 --- 12:36 大岳山 13:05 --- 13:15 大岳神社 13:15 --- 13:25 鋸尾根分岐 13:25 --- 13:37 古い展望休憩所 13:37 --- 13:39 白岩分岐 13:39 --- 13:42 大岳鍾乳洞分岐 13:42 --- 13:52 新しい展望休憩所 13:52 --- 14:02 富士見台 14:14 --- 14:38 つづら岩下(千足分岐)14:38 --- 15:14 綾滝 15:20 --- 15:35 天狗滝 15:35 --- 15:54 千足バス停 15:54 --- 16:05 払沢の滝入口バス停 バス停 17:05 == 武蔵五日市駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
大岳山 おおだけさん:標高 1266.4m 単独 2016.7.30 全 8時間32分 満足度:❀❀❀ ホネオレ度:❢❢❢

7月30日(土)、梅雨明け直後の真夏日、大岳沢を遡行して大岳山に登りました。緑の苔生す岩が美しい大岳沢。延々と続く、いくつもの小滝。シャワーを浴びながらの沢歩きは、すこぶる快適でした。沢歩きが行き詰まると、左岸の尾根に移動。ちょっとタフなバリエーションルートで、大岳山頂に至りました。下山は歩きやすい馬頭刈尾根を辿り、つづら岩下から千足へ。ただ残念にも、防水したはずのデジカメと携帯を故障させてしまいました。

段落見出し大岳鍾乳洞入口からアプローチ

2週連続で同じ電車に乗って、武蔵五日市駅に行きました。快晴の土曜日なのに、バス乗り場へは私が一番乗り。バスを待つ10分ほどの間、日陰で準備運動をしました。直射日光がすでに強烈で、低山歩きは、場所を選ばねばなりません。上養沢行きの一番バスは、6時58分着の電車で来ても急げば間に合う、7時1分発という微妙な発車時刻です。狭い道を走り抜けるため、車体は小さく、座席数はたった12。駅から乗ったのは10人で、うち7人が登山姿でした。

養沢川沿いを走るバスの車窓から、美しい清流と、いくつかの釣り場が見えました。大岳鍾乳洞入口バス停で、残っていた乗客全員が下車。カラになったバスを見送り、目の前の養沢神社で簡単に身支度をします。鳥居をくぐると、1対の竜の石像が天を見上げていました。拝殿の前には普通の狛犬もいます。神社の裏手に、さっそくサルギ尾根を目指す人が見えました。

赤塗りの大岳橋のたもとから、大岳沢沿いの林道に入ります。季節感のあるイワタバコやヒメレンゲが目を楽しませてくれますが、他の花はあまり見られません。葉を食んでいた色鮮やかなフクラスズメ(蛾)の終齢幼虫が目を引きました。写真を掲載するのは、差し控えます。トンネルと書かれた珍しい洞門を抜け、大岳鍾乳洞前を通過し、「小滝」という名の滝を見上げ、大岳橋から約40分で林道の終点に至りました。

段落見出し苔生す岩の美しい大岳沢

登山道に入ると、さっそく木橋とその注意書きがありました。「老朽化、通行注意、橋の真中をあるいて下さい」とのことです。「このハシ渡るべからず」とつぶやきながら渡りました。美しい緑の苔の生した岩がたくさんあり、白く泡立つ清流との取り合わせがとてもきれいです。その木橋から正味(道草を含まず)5分ほどで、大滝に到着しました。釜がすてきなプールになっています。ここで一浴びして行きたいと、強く思いましたが、写真だけ撮って巻き道を登りました。

滝のすぐ上の木橋から、簡単に沢に下りられました。今回もマリンシューズに履き替えて入渓します。そこは、緑の岩と白い流れの岩石園。目に、耳に、肌に、そして足に、すばらしい感覚が襲ってきます。じゃぶじゃぶ、ザブザブ、ビシャッビシャッ。大自然の中で童心に帰って、ひたすら楽しく歩きます。近くに登山道が並行しているのですが、誰もいません。沢のアクセントは、紫色のイワタバコ。星形の小さな花が、本当に岩から生え出ているように見えます。

小滝が絶え間なく現れますが、水流の中心線を快調に進めました。倒木などの障害物がある場合でも、簡単に迂回できます。子供連れで来た場合、大きめの滝は迂回し、小さめの滝だけ登っても、十分にシャワークライミングが楽しめそうです。登山道が木橋で右岸から左岸に移る、その少し手前に、3m近くのすてきな小滝が見えてきました。水流がかなり強そうなので、デジカメをプラ袋に入れます。正面からまともにシャワーを受けながら登りました。

段落見出しカメラが故障!

そのシャワークライムでは、大きな満足感を得られました。ところが、デジカメを防水袋から取り出し、撮影しようとしたら、電源ランプがチカチカと点滅し、画面が真っ暗になりました。アチャー、故障です。カメラの表面が、しっとり濡れていました。それでは携帯で撮影しようと、取り出して見ると、こちらも湿っています。電源がすでに落ちていました。アチャチャー、もう写真を撮れません。財布も湿り、中の紙幣も湿っていました。  

こんな訳で、残念ながらそれ以降の写真はありません。「防水袋を二重にすればよかったかなあ!」とか「修理費はどのくらいになるだろう?」「もしかして乾けば治るかな?」とか、あれこれ考えました。ともかく、沢歩きは続けます。大岳山に登って、達成感を得て帰宅しなくてはなりません。大岳沢はその後も相変わらず美しく、元気をくれました。中でも10mほどの多段の滝は、樋もどきで、爽快に登れました。マリンシューズが、水中で岩をよく掴んでくれます。

10時半、今度は左岸から右岸に移る登山道を横断しました。後で振り返れば、ここで沢歩きを終了し、馬頭刈尾根に乗って山頂に至れば、この日は楽勝でした。でも美しい大岳沢がまだ先も続いています。行く手に待つ難路には思いもよらず、楽しく登って行きました。左手(右岸)を歩く、登山者たちが見えます。8時台のバスで来た人たちでしょうか。やがて登山道は沢から離れて行きました。

段落見出し苦行の道へ

登山道を横断してから15分ほど登ると、沢が二俣になっていました。標高850m付近です。どちらに進めばいいのでしょうか? 地形図では、向かって左の沢の方が長そうです。馬頭刈尾根も左なので、エエイッと左に進みました。ところが5分も歩かぬうちに沢が伏流になりました。その後、水が現れたり、伏せたりを繰り返します。倒木も増え、歩きづらくなりました。そしてついに沢が倒木や流木で埋め尽くされるに至って、遡行をあきらめました。

沢の左岸に上がりました。のどの渇きを覚えたので、スポーツドリンクを飲みました。足を拭き、靴と靴下を履き替え、昼食にします。さてこれから「どうしたもんじゃろのう」と、まだ暢気に構えていました。右岸は岩盤に湿った腐葉土がかぶさっているだけで、いかにも危なそう。今いる左岸は植林で、傾斜はきついものの、尾根すじまで頑張れば、何とかなりそうです。11時半、やる気満々で急斜面に取り付きました。

2週連続で、「盗塁登山」をするハメになりました。木から木へと緊張して移動し、木に寄り添って一息つくというものです。次の木へ移動する前に、斜面の状態をよく見て、安全確保のシミュレーションをし、「進塁」して行きました。急傾斜なので、一旦滑落し始めたら、谷底まで転がり落ちかねません。もし事故を起こせば、中高年者の無謀な登山として報じられそうです。15分ほどの骨折りで、左岸の尾根に乗ることができましたが、とても長く感じました。

段落見出し大岳山頂へ

尾根に立ってほっとしましたが、疲れました。これより無理をせず、ゆっくりと尾根を登って行きます。足が重くなったので、約10m進むごとに立ち止まって休みました。危険はもうありません。さらにありがたいことに、谷にはなかった涼しい風が、尾根にはそよいでいました。カメのように低速で歩きます。何とか30分ほど登ると、トラバース道に出ました。大岳山荘と馬頭刈尾根を結ぶ、水平の登山道です。この道を左に進むと、3分ほどで馬頭刈尾根と出合いました。

馬頭刈尾根の最上部を、山頂まで直登する道があります。地理院地図には記されていませんが、山と高原地図「奥多摩」では、赤い実線です。所要時間は記されていません。私は15分ほどかけて、ゆっくりとこの直登ルートを登りましたが、元気な人なら10分程度で登れるでしょう。そして12時36分、山頂南面の、ちょっと変なところから、大岳山頂に飛び出しました。山頂は人で大賑わい、さすがは人気の山です。富士山は9合目付近から上だけが見えました。

山頂には、そこを縄張りとする蝶がいるのが普通です。この日の大岳山頂の主(ぬし)は、キアゲハでした。飛翔力の強いタテハチョウなどがやって来ますが、キアゲハが飛び立って、侵入者を追い払います。主は自己の存在をアピールするためか、わざと人目に付くように止まります。私は背中が汗でぐっしょりと濡れていたので、太陽を背にして立ちました。速乾性のシャツなので、みるみる乾いて行きます。濡れたままだと、真夏でも冷えて体力を消耗します。

段落見出し軽快、馬頭刈尾根!

山頂では、約30分間休憩しました。きょうは登りでエネルギーを消耗したので、緩やかな馬頭刈尾根を下ります。登りでは重かった足も、下りでは軽快でした。大岳山は、その姿からも想像できるように、山頂直下の傾斜がかなり急です。午後1時過ぎ、まだまだ登って来る人も多くて、しばしば相互通行になりました。狭い登山道では、「登り優先」という山のルールがあります。でもたいていの場合、登りで苦しい思いをしている人が先に止まって、道を譲ってくれました。

大岳山荘で右折し、水平の道に進みます。登って来た左岸尾根をもう一度見下ろすと、何やら恐ろし気なほど急峻に思え、二度とここは登るまいと思いました。仮に下った場合は、大岳沢の二俣(標高850m)で尾根が終わります。正式な名称がなければ、中間尾根と呼べるかもしれません。急峻な尾根や斜面のところどころに、林業の作業員が付けたと思われるテープがありましたが、凄い人たちだなあと思います。もちろん、安全確保をして作業するのでしょうが。

馬頭刈尾根に富士見台という小峰があり、東屋が立っています。私はここで休憩しましたが、富士見台から10分ほど大岳山寄りの小峰にも新しいベンチがあり、南面に素晴らしいパノラマがあります。さらに15分ほど大岳山寄りには、やや古いベンチの休憩所があり、やはりパノラマを楽しめます。富士山、丹沢、道志の山座同定をしたり、権現尾根、笹尾根、浅間尾根等の、目視縦走などいかがでしょうか。特に三頭山から高尾山まで続く、長大な笹尾根の展望が見事です。

段落見出し慎重に下山

つづら岩近くの岩壁に、白いヤマユリが固まって咲いていました。その美しさに、目と足が止まります。そして津久井やまゆり園の事件を思い出しました。犠牲者の方々のご冥福を祈ります。ヤマユリは、神奈川県の県花。山を歩くと、暗い場所、危険な場所などにも美しく咲いています。つづら岩では、ロッククライマーたちのよく通る声が聞こえました。ここで馬頭刈尾根と別れ、千足に向かって下ります。途中、綾滝と天狗滝と小天狗滝とを見れることが楽しみです。

去る4月下旬に、三ツ森北峰から鋸尾根を下った際に転倒し、膝を深く切りました。それ以来、下り坂では特に慎重に歩いています。「(登山というスポーツでは) 無事に帰宅した者が勝者である!」と毎回自分に言い聞かせます。千足に通じる登山道は、難しい道ではありませんが、下るほどに暑さが増して行きました。早く綾滝に着いて涼みたい!

綾滝は、完全な日陰に入り、神秘の趣を増していました。天狗滝は4年前の冬に見た時よりも、ずっと心地よい感じがしました。人と同様に自然物も、出会った時々によって、印象が異なります。小天狗滝の周辺では、白装束で水行をするグループがいて、経を唱和する声が谷にこだましていました。火の見櫓が見えると千足集落です。次のバスまで1時間以上あり、払沢の滝入口まで歩くことにしました。相変わらず青い空から、夏の光線が山や川や道を鮮烈に照らしています。

段落見出しあと書き

携帯電話は、バッテリー、SIMカード、microSDカードを抜き取り、電池蓋と充電端子カバーを開けた状態で24時間放置したら、復旧しました。デジカメは永眠モードに入ったようです。

すべてのマリンシューズが水中の岩に強いグリップ力を持つ訳ではありません。軽量・柔軟で携行しやすく、短時間で終わる渡渉用としては便利なのですが、耐久性はほとんどありません。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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