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笹子雁ヶ腹摺山・お坊山

笹子雁ヶ腹摺山より望む、米沢山とお坊山

笹子雁ヶ腹摺山より望む、米沢山(左)とお坊山

笹子雁ヶ腹摺山は、富士山と南アルプスの好展望台として、首都圏から手軽にアクセスできる山です。

お坊山は、大菩薩連嶺のほとんどすべての峰を一望できる、好位置にあります。東西南北、四方にルートが通じています。

バス停 富士急山梨バス: 笹子駅 → 新中橋(新田行き)登山口

地図 地理院地図: お坊山

天気 米沢山・お坊山の天気: 大月市 , 甲州市 , 笹子駅

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コース & タイム 鉄道駅 笹子駅 バス停 7:40 == 7:45 新中橋(登山口) 7:47 --- 9:20 笹子雁ヶ腹摺山 9:57 --- 10:32 危険な展望地 10:39 --- 11:04 米沢山 11:15 --- 12:02 お坊山 12:15--- 12:24 東峰 12:28 --- 12:33 小金沢連嶺の展望地 13:08 --- 13:38 大鹿峠 13:39 --- 14:45 景徳院 14:51 --- 15:26 甲斐大和駅 鉄道駅
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
米沢山、お坊山 よげさわやま、よねざわやま:標高 1357m、おぼうやま:標高 推定1430m 単独 2013年9月18日 全7時間39分 満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

9月18日、台風18号襲来の翌々日、笹子雁ヶ腹摺山、米沢山、お坊山と連なる山域を歩いて来ました。好天に恵まれ、富士山をはじめ、南アルプス、奥秩父、小金沢連嶺などの山々を爽快に見渡すことができました。台風の影響による危険箇所は、特に見当たりませんでした。

段落見出し笹子駅からバスでアプローチ

笹子駅前から、笹子雁ヶ腹摺山の入口である「新中橋」までバスを利用すると、歩行時間を40分ほど短縮できます。ただ、私が乗ったバスは土休日運休です。乗客は、私の他に単独男性が一人いただけの貸し切り状態。この方は終点の新田まで乗って行かれました。天下の甲州街道とはいえ、バスの運行本数は極めて少ないので、ちょうどよい便がないときは、歩くほうが早くなります。

バスを降りると、右手にお坊山東峰を盟主とする連山が見えました。青い空に峰々の稜線と陰影がくっきりと描かれ、期待感が高まります。バスの後を追って1分ほど歩くと、もう笹子雁ヶ腹摺山の取り付きです。準備運動は後ほどすることにして、さっそく登り始めました。早朝の山中に針葉樹の香りが漂い、気分爽快です。7〜8分登ったところにシモバシラの花が咲いていました。リュックを下ろして、ラジオ体操を念入りに行って、これで準備万端です。

さて、出足は快調でしたが、次第に暑くなってきました。暑さの中でがんばりすぎると疲労が大きくなるので、ペースを抑えながら登ります。台風18号のもたらした雨のせいか、土や空気に湿気があるようです。みずみずしいキノコがあちこちに生えていました。少しでも風が吹いてくれたらなあ、と思いながら徐々に高度を上げて行きました。

段落見出し笹子雁ヶ腹摺山

南北に走る稜線上に立つと、うれしや、心地よいそよ風を受けるようになりました。どんどん足が前に出ます。体が急に軽くなったような気すらしました。ほどなく右手に反射板が見えてきました。ここで視界が一気に開けます。真っ先に目が行くのが青いシルエットの富士山。手前の三ツ峠山のアンテナ群が、あたかも本社ヶ丸の上に立っているかのように、重なって見えます。笹子雁ヶ腹摺山の山頂からは南方の展望がよくないので、反射板のところでたっぷりと見ておきましょう。

笹子雁ヶ腹摺山の山頂に立つと、南アルプス、奥秩父、御坂山塊などが、くっきりとした輪郭をもって望めました。甲斐駒ヶ岳、白峰三山の特徴ある山容、御坂黒岳の存在感、金峰山の五丈岩、今これだけ見えるのなら、秋冬の空気の澄んだ日には、どれほどきれいに見えることかと思います。狭い山頂ですが、三等三角点の他に、山頂標が4つもあります。4日前に歩いた秋山山稜とは大違いです。

眺望に心を奪われ、笹子雁ヶ腹摺山に長居をしてしまいました。次の米沢山に向かいます。すぐ隣にあるように見える山ですが、一旦深く下りなければなりません。ちょっともったいないと思いながらも、どんどん下って行きました。落葉を踏みしめると、プーンと秋の香りがします。ミズナラの緑色のドングリがたくさん落ちていました。

段落見出し米沢山

下り道の途中で、前方の視界がパッと開けました。行く手の米沢山、お坊山、東峰が、活きのいいタコのように並んでいます。これは貴重な撮影ポイントだと思って、カメラに収めました。一般に低山は、遠くの山々は見えても、自分が現に登っている山は、なかなか見えないものです。

鞍部を越えて少し登ると、左折する箇所があります。好奇心で真っ直ぐ行ってみたら、10mほど先で断崖絶壁になっていました。そして南面から東面にかけて、大パノラマが展開していました。この展望は、笹子雁ヶ腹摺山では得られなかったものです。何しろ足下が深く落ち込み、甲州街道まで丸見えなのです。富士山と本社ヶ丸は言うに及ばず、鶴ヶ鳥屋山の向こうに並ぶ道志と丹沢の山々、今しがた下りてきた笹子雁ヶ腹摺山、行く手のお坊山の双耳峰まで、大迫力で目を圧倒します。ただ危険な場所なので、子供連れの方は、くれぐれもご注意ください。

登山道に戻って、米沢山に進みます。傾斜が急な箇所には、鎖やロープが付けられていました。そのようなところは何箇所かありましたが、普通に注意して歩けば、特に危険ということはありません。その後、展望のないままに、米沢山に到着しました。山頂標は1本だけ。それも立ち木に括り付けられていました。腰を下ろすような場所もなく、この山頂はただの通過点のような扱いを受けているようです。

段落見出しお坊山

米沢山から少し進むと、枝越しにお坊山とトクモリが見えました。きれいなM字形の双耳峰になっています。まず先に目指すのは、右に見えるトクモリです。5分ほど下ると、北面が開け、大菩薩嶺から南西に伸びる尾根を望めました。大菩薩湖の方向に延び上がって行く送電線が遠くまではっきりと見えます。手もとの地図に、送電線が記されていないのが残念です。

お坊山に向かい、明るい広葉樹林に囲まれた、気持ちの良い尾根道を登ってゆきます。山頂まであと一息という頃、奥秩父方面の展望が開けました。金峰山と北奥千丈岳が、背の高さを競い合っているように見えます。そして、お坊山西峰に至る直前で、後方の視界が大きく開け、朝から歩いて来た米沢山と笹子雁ヶ腹摺山を、ありありと望めました。そして嬉しいことに、笹子雁ヶ腹摺山のはるか彼方に、南アルプスの悪沢岳、赤石岳、聖岳も見えています。もちろん、塩見岳や白峰三山も視界内です。思いがけなくすばらしいご褒美をもらった気分になりました。

お坊山の山頂標には、標高1421mと書かれていました。でもこれは、東峰の三角点の標高です。西峰の標高は分りませんが、国土地理院の地形図では、西峰の頂上に1430mの等高線が小さな楕円を描いています。まあ、とにかく本日の最高点に達しました。リュックを下ろし、お茶を飲みながら、甲州市、山梨市の扇状平野、少し陰影の薄くなった南アルプス、なぜか薄い横縞のある富士山などを心ゆくまで眺めました。

段落見出し小金沢連嶺の展望台

お坊山から大鹿峠方向に進みます。5分も歩かないうちに東峰への分岐に達し、そこが小金沢連嶺の展望台になっていました。やや朽ちたベンチもあります。私はここで立ち止まらず、東峰を偵察に行きました。昼食の場所を決めるためです。その東峰へは、分岐から4分で着きました。展望はありませんが、女性的で落ち着いた雰囲気の広場があり、遠望の利かない日は、ここで休憩するのがよいと思いました。

先ほどの分岐点に戻り、お昼にしました。大菩薩嶺から滝子山まで、ずらりと見渡せる豪華な休憩所です。米背負峠(こめしょいとうげ)で一旦下がった稜線の向こうに、ちょこっと頭を見せているのは、雁ヶ腹摺山ではないでしょうか。あの峠まで歩けば、大菩薩嶺から笹子峠まで私の足跡が繋がるので、ちょっと足を延ばしたい誘惑に駆られました。でもそれは次回のお楽しみにして、きょうは予定通り大鹿峠から景徳院に下山します。大鹿峠から米背負峠までの区間は、レンゲショウマの咲く季節に歩いてみるのも一興かと思います。

昼食を終え、靴紐をしっかり結び直して立ち上がりました。大鹿峠へは、約30分の下りです。尾根も幅広で、歩きやすくなりました。踏み跡の不明瞭な箇所も一部ありましたが、尾根上を忠実に下れば大丈夫です。鞍部まで下りきると、道証地蔵(みちあかしじぞう)からの道を右から合わせました。ここで景徳院への分岐を探していると、後から単独男性がやって来ました。バスを降りてから初めて出会う人です。この方も私と同じく笹子雁ヶ腹摺山から来て、景徳院に下りるそうです。お互いに、きょう見てきたすばらしい景観を称え合いました。

段落見出し景徳院

鞍部から送電鉄塔の方向に少し登ると、田野方面への分岐がありました。これ以降、景徳院までは等高線の間隔が広く、部分的にわずかな急傾斜はありますが、概して緩やかな道が続きます。膝にやさしい、ありがたい道です。落葉をサクサク踏みしめ、軽快に下って行きました。

登山道が終わると、前方に視界が開け、眼下に田野と初鹿野(はじかの)の集落を見渡せました。のどかそうな山里と、それを囲む里山が絵になっていて、最後の休憩を取るのに相応しそうな場所です。私は撮影だけして、景徳院を目指しました。最後は何と、民家の玄関先を通り抜けて一般道に下り立ちました。

景徳院は、人影が見られず、秋の花が静かに咲いていました。コスモス、紅白のハギ、ススキなどです。私は手水を使わせていただき、本堂にお参りしました。「人は石垣、人は城」という信念を持った武田信玄。武田家の忠義に篤い家臣たちが壮烈に散っていった、歴史の残る名刹です。

段落見出し甲斐大和駅へ

さて、甲斐大和駅に通じるバスは運行本数が少なく、舗装された車道を駅までテクテク歩きます。午後の陽射しと照り返しは強く、ミンミンゼミの声も聞こえて、すっかり夏に戻ってしまいました。ここが最後のがんばりどころです。幸い、元気な足がよく動いてくれ、大きな満足感を持って駅に到着しました。

高尾行きの上り電車に乗り込んだのは、私を含めてわずか2名でした。大変な駅です。この駅が存在してくれることに感謝します。

木の葉ライン

↓ 紙芝居

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