巨大な岩の横に掛けられた階段を昇るハイカーたち。行く手の岩峰群が胸と筋肉を熱くします。
好天の土休日には、登山者の列が切れることのないほどの人気コースです。日本百名山にも選ばれています。
中央自動車道: 須玉IC → みずがき山荘
地理院地図: 瑞牆山
瑞牆山の天気: 瑞牆山 , 山梨県北杜市
5月22日(土)、山仲間とともに、奥秩父の瑞牆山に登りました。中央道で事故車による渋滞に会い、かなり時間をロスしましたが、午前9時に瑞牆山荘のある里宮平に到着。韮崎行きのバスが空っぽで出るところでした。朝一の登山者を乗せて来たのでしょう。
春ゼミたちのにぎやかな合唱の中、整備された登山道を登ります。初め、シラカバの倒木が散乱し、ちょっと山の老いを感じさせる部分もあります。でもこの季節、どこを見ても木々は萌える緑の純粋色。輝く若葉が登山者をも含めた山全体を、エネルギーの海にしています。ところどころにトウゴクミツバツツジの明るく澄んだ紅紫の花が、初々しい乙女のようなアクセントです。
急な斜面に留まっているのが不思議なような巨岩が、次々と現れます。30分ほど登ると尾根に至り、木々を透かして瑞牆山の岩峰群が目に飛び込んできました。天空に聳え立つ花崗岩の砦、口々に感嘆の声が上がります。「あの上まで登るんだね!」と、元気付いた足で、さらに尾根道を進みます。
富士見平小屋手前の水場付近では、流れ出た水で、尾根にまで湿原の植物が生えていました。9時56分、富士見平に到着。富士山の方角だけ樹木が開け、ソフトフォーカスの富士が上品に座っています。ここは樹林に囲まれた静かな空間。瑞牆山と金峰山(きんぷさん)登頂のベースキャンプ地です。
アズマシャクナゲの蕾はまだ小さく固く、見頃は6月中旬のようです。でも富士見平小屋の脇に誰か植えたのか、一株のシャクナゲが、一足早くピンクの花をいくつも着けていました。
休憩が済んだら、いよいよ気合いを入れて瑞牆山に向かいます。もったいないな、と思いながら20分ほど下ります。下りきった所を流れる小川は、その名も天鳥川(あまとりがわ)。さらさらした流れに手を浸けると、山の生命力が伝わってくるようです。ここは休憩の絶好地。人工のベンチと天然のベンチとがあります。直ぐ傍には巨大な桃太郎岩。その大きさ、形、色、割れ方が見事です。桃太郎岩の脇には一つめの木製階段があります。
これ以後、岩だらけのやや単調な登山道をひたすら頑張って登ります。眺望は山頂付近までほとんど利かないので、登ること自体を楽しんで行きました。いくつものロープ場や階段、梯子が整備され、中高年も、小学生たちも、きつい道を元気に登って行きます。途中、狭い岩の隙間をくぐる箇所があります。(帰路、赤ちゃんをおんぶしたお母さんにも出会いましたが、どうしたでしょうか...大きな犬を連れた人、ロープ場はいかに...)
山頂に近づくと、巨大な岩峰が目の前に現れ、息切れし始めた体を励ましてくれました。視界が開き始め、金峰山も背中を押してくれます。大きな岩の一つに手を触れたら、しっとり濡れていました。
山頂の肩まで登ると、大きな葉をいっぱい付けたアズマシャクナゲの群落に迎えられます。開花期だったら胸が躍ることでしょう。わずかですが日陰には雪も残っていました。
12時22分、山頂に到着。多くの人々が狭い山頂にひしめいていて少し驚きました。まず記念撮影。次にゆっくりと大パノラマを楽しみます。圧巻は眼前に対峙する金峰山と国師ヶ岳。その左にどっしりと小川山。清里高原の向こうには八ヶ岳の峰々。こわごわ岩の縁に立てば、真下に落ち込むかのような深い谷。足が引き込まれそうな感覚。翼があったら思い切り飛び出したくなりそうな大空間です。
やや雲が多く、まぼろしのように消えそうな南アルプス。その中に、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、鳳凰三山などが、どうにか見分けられました。ところで山頂に大きな黒御影石の方位盤があります。こんなに大きな石を、どのようにしてここまで持って来たのでしょうか?
ほぼ無風の山頂でしたが、海抜2230mの空気は極めて爽やか。ゆっくりと昼食をいただき、雄大な空間でかけがえのない時間を過ごしました。13時25分、下山開始。来た道をそのまま戻るのですが、思いの外スムーズにぐんぐん下れます。手ぶらで登ってくる若者たちにも出会いましたが、その心構えがちょっと心配です。
朝に5張ほどあった富士見平のテントは、2倍以上に増えていました。体力があれば、ここで一泊して金峰山にも登りたいところです。
16時25分、全員無事に里宮平の駐車場に帰着。定番のお楽しみは、ラジウムで有名な増富(ますとみ)温泉。私たち日帰り客は「増富の湯」(大人700円)で入浴券を買います。なぜか「改札」はなく、のんびりした雰囲気。浴槽ごとに、25℃、30℃、40℃などとありますが、メインはぬるい湯です。ゆっくりときょうのコースを振り返りながら、一日頑張ってくれた筋肉を丹念に揉みほぐしました。
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