官ノ倉山は、JR八高線および東武東上線の、駅から駅へと歩ける低山です。山頂から関東平野を広大に望めます。
官ノ倉山に隣接する石尊山もまた、好展望の山です。これら二山を連続して歩くハイキングコースが整備されています。
地理院地図: 官ノ倉山
官ノ倉山の天気: 小川町 , 官ノ倉山
レポ: 鐘撞堂山
官ノ倉山コースマップ(東武鉄道)
12月24日(土)、JR東日本の「休日おでかけパス」を利用して、奥武蔵の官ノ倉山と大高取山を歩いて来ました。これら二山は離れているので、記事も別々にします。(1) まずJR竹沢駅から官ノ倉山に登って小川町駅まで歩きました。このレポはそこまで。(2) 次いで、八高線に乗って越生駅に移動。大高取山への周回ルートを歩いて越生駅に戻りました。これは次のレポです。
JR竹沢駅の小さな駅舎を出ると、駅前の小広場に桜の木が1本ありました。すぐ左手にトイレもあります。先回、約半世紀前に来た時は木造の駅舎でした。現在の駅舎に変わったのは、2008年3月。もう少しだけ早く来ればよかった、残念! でも駅前を通る国道を歩き始めると、そんなことはすっかり忘れ、どこで右折するかということに集中していました。駅から約10分、東武竹沢駅からの道との交差点、そのあまり目立たない一角に、古びた白塗りの木製道標がありました。
安照寺・官ノ倉山を指す赤い矢印にしたがって、右折します。これ以降、小川町駅に至るまで、要所要所に同じタイプの白い道標があり、地図を取り出す必要がなかったほどでした。道は、家屋の点在する里山風景の中を、幾たびか左右に緩く折れ曲がりながら、山奥へと進んで行きます。やがて正面に二つの峰が見えてきました。あれが官ノ倉山と石尊山でしょうか? 地図を見ると、違うようです。官ノ倉山は、天王池まで行って、見えるようになりました。
その天王池は、農業用のため池かと思いました。ところが何と、色とりどりの錦鯉がたくさんいます。堰堤には大きな東屋もあって、ただのため池ではなさそう。水面は鏡のように滑らかで、濃緑の木々や薄青色の空を映し、神秘的なムードを醸していました。登山ポストのある地点から、池の縁に沿う道が山中へと続いています。「外秩父七峰縦走ハイキングコース」の案内板が随所に立てられ、毎年春ごろに全長42kmのハイキング大会があることを後で知りました。
シダの多い山道を登って行きました。季節柄、花こそ咲いていませんが、何かと出会えるかも知れません。でも官ノ倉山は、高尾山よりも低い山。あっさりと官ノ倉峠に至り、そのまま登頂してしまいました。でもここは官ノ倉山、晴天下の展望は360度、期待を裏切りません。関東平野の彼方に、日光男体山や筑波山が望めました。残念ながら、赤城山、榛名山ほか、群馬の山々は雲をまとって同定困難。外秩父では、堂平山、笠山、大霧山などが、至近距離で望めます。
官ノ倉山頂南面に、休憩所がありました。山頂の風が強いとき、腰を下ろして食事やお茶をするには、この暖かそうな休憩所がお奨めです。ここでは樹木の小枝に邪魔されることなく、堂平山・笠山方面を雄大に望めました。両山を改めて撮影し、隣峰の石尊山に向かって下りて行きます。鞍部まで下りると、1本柱の道標が立っていました。左が小川町、右が東秩父村安戸となっています。ここに現役の「村」が存在していることを初めて知りました。
鞍部から5分ほどで、石尊山にもあっさりと登頂しました。山頂にいろいろと祀られていて、霊山の雰囲気があります。山頂の周囲にうるさい梢があまりないので、官ノ倉山よりも撮影向きと言えるでしょう。先ほどまでいた官ノ倉山が、半順光できれいに見えました。官ノ倉山と石尊山とは双耳峰を成していますが、官ノ倉山は人間用の展望台、石尊山は神仏の霊場として、使い分けているのかも知れません。
下山し始めるとすぐに鎖場がありました。鎖がなくても登り下りに難しそうなところはありませんでしたが、子供でも安全に登れるように配慮してあるのでしょう。慎重に鎖場を通過し、シダの多い杉林を下って行きます。石尊山頂から15分ほどで、あっけなく林道に下り立ちました。山歩きを楽しむには、少々もの足りない思いがしますが、この先小川町駅まで、見どころのあるフットパスが続いています。
まず初めは、北向不動です。普通に剣を持った不動明王の石像ですが、「北向」にはどんな意味があるのでしょうか。説明板に「折原の里を見下ろすように北向きに立っている」と書いてあります。路傍の石仏はそれぞれ、建立に至った経緯、物語があるのでしょう。それからテクテク、林道を抜けて、一般車道、里山道、また車道と、白柱の道標にしたがって歩きます。私は、長福寺と八幡神社を覗いてみました。魅力的なスポットが点在するコースが設定されています。
八幡神社を過ぎたころ、ある民家の生垣にたくさんのクッキーが成っていました。「メリークリスマス、どうぞおはいりくださって、クッキーをおもちかえりください」と書かれています。そのとき、生垣からクッキーが1個、ポトンと落果したので、それを拾い、いただくことにしました。 街中に入ると、特筆したいのは図書館。その「図書館」とだけ書かれた大きな扁額に、目を見張りました。凄まじい訴求力を感じます。普通は「〇〇図書館」のように書くでしょう。
予定より早く、小川町駅に到着しました。次の高麗川行きまで45分ほどあります。ちょっと駅前商店街を歩いてみました。おや、浮かれたクリスマスの装飾が全くありません。その落ち着いた店並みが好ましく思えました。でも、商業的にはどうなのかな? 少し行くと、観光案内所があり、その入口わきにベンチと茶卓が置かれていました。空は晴れて、風はなし。ここに座ってくださいと言わんばかりです。ではここで小休止。温かい紅茶とチョコレートを取り出します。
⇒ 後半の大高取山
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