本社ヶ丸への登山道では、すばらしい虫たちとの出会いがありました。もちろん、富士山も美しかったです。
本社ヶ丸と清八山とを併せて、大月市の「秀麗富嶽十二景(十二番)」に選ばれています。
地理院地図: 本社ヶ丸
本社ヶ丸の天気: 大月市 , 都留市 , 笹子駅
レポ: 鶴ヶ鳥屋山
7月14日、山梨県大月市と都留市との境界にある、本社ヶ丸に行ってきました。関東地方に梅雨明け宣言が出た日です。真夏の日差しが強く、水をたくさん飲みました。背負ったリュックサックは汗をたっぷり吸い込んで、真っ白に塩を吹きました。
7時13分、笹子駅を出発。国道20号を西に30分ほど歩き、「本社ヶ丸・清八山、徒歩のみ」と書かれた道標に従って左に折れます。追分トンネルを抜けると、気持ちの上でも山がぐっと近くなります。真夏の陽射しを受け、オカトラノオが白く、ふっくらと咲いています。
リニア実験線の工事現場を左に見ながら、次第に傾斜を増す林道を登ります。8時32分、東京電力の大きな変電所の前を通過。ふいに小鳥の雛が2羽草むらから飛び出してきました。巣から落ちたのでしょう。どうなるか心配です。
林道の舗装がなくなると、広々とした谷間に出ます。左は清八峠への登山道、右は送電線巡視路です。明るい斜面で林業関係者たちが作業しています。見晴らしがよさそうなので、少し遠回りになりますが、送電線巡視路を登ることにしました。
送電線に沿って、明るい尾根をジグザグに登る道は、少し暑いですが、滝子山をはじめ、多くの山々への展望が開け、小学校の遠足のような楽しさです。送電鉄塔ごとに休憩すると、ちょうど良い感じです。3番目の鉄塔に至って、樹間に出現した大きな富士山に、突き上げるような感動を覚えました。
10時5分、巡視路を登りきると、桜と紅葉の描かれた、きれいな道標が立っていました。地図上の1445m峰でしょう。ここで左に折れ、八丁山方向に進んで行きます。この道でオオトラフコガネを見つけました。蝶、蛾、毛虫、蝉など、住人も多様です。
10時24分、T字路に至りました。ここで送電線巡視路と別れ、引き続き八丁山方向に進みます。あまり歩かれていない道らしく、ブッシュをかき分けてガサガサとゆっくり進みます。尾根道なので道を失う心配はありませんが、はかどらない道です。ピンクに咲いたシモツケの花と、右手に見える富士山が慰めです。
10時56分、藪こぎが終わると、八丁山への道を右に分け、左の清八山に進みます。ここで運よく、おとなしいゼフィルス(シジミチョウの仲間)を見つけ、超クローズアップで撮影することができました。ウスユキソウも暑い山道の清涼剤です。
11時21分、清八山(せいはちやま、1593m)に到着。大きな富士山が待ってくれていました。送電線巡視路を経由したことで、清八峠への直登コースよりも一時間多くかかった勘定です。でも途中で虫たちや大きな富士山と出合うことができました。
清八峠に下りると、コアジサイの涼しげな花が目に留まりました。これも清涼剤です。ここから先、岩が増えてきます。富士山を眺めるためのような小さなテラスもあります。
12時11分、笹子駅を発って5時間、ようやく本社ヶ丸山頂に到着。ふうっ、着いたぞ!と叫びたいほどの感動。山頂からは、南方眼前に三ツ峠山、堂々たる富士山、その右手には南アルプス、さらに右手に八ヶ岳、北には大菩薩連嶺など、梅雨明けの大パノラマ。山頂を独り占めにして、ゆっくりとおにぎりをほお張ります。
この後、長い下りが待っています。鶴ヶ鳥屋山(つるがとやさん)に向かう尾根道は歩きやすいのですが、ヤグラから笹子駅に向かって下る斜面は一部ザレていて、少々緊張。尾根から20分ほど下ったところで、舗装された林道黒野田線を横切ります。
さらに登山道を下るのですが、地図を見る限りあまり楽しみがなさそうなので、アサギマダラやヒグラシを撮影しながら休憩します。下山路の沢で、頭と顔と手と帽子を洗うのも定番です。この日は平日だったので、山中で出会った登山者はわずか2組4名だけ。静かな山にはセミたちの声が、終日にぎやかに響き渡っていました。
16時29分、笹子駅に帰還。十分に満たされた心でプラットフォームに立ち、高尾行き上り電車を待ちます。
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