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武甲山

芝桜の丘より望む武甲山

芝桜の丘より望む武甲山

武甲山は秩父随一の霊峰。そして、威風堂々たる独立峰です。

武甲山は石灰石を採掘するために、北面が大きく削られています。

地図 地理院地図: 武甲山

天気 武甲山の天気: 秩父市 , 横瀬町 , 浦山口駅 , 武甲山


コース & タイム 鉄道駅 浦山口駅 8:00 --- 9:27 林道終点 9:32 --- 9:44 裏参道登山口 9:44 --- 10:44 長者屋敷ノ頭 10:54 --- 11:56 武甲山 12:18 --- 12:47 長者屋敷ノ頭 12:49 --- 13:31 裏参道登山口 13:36 --- 13:42 林道終点 13:42 ---(スロージョギング)--- 14:20 (登山終了) 浦山口駅 鉄道駅 14:34 +++ 14:37 影森駅 14:39 +++ 14:42 鉄道駅 御花畑駅 14:43 --- 15:10 芝桜の丘 16:08 --- 16:26 西武秩父駅 鉄道駅 16:38
※歩行時間には道草と写真撮影の時間が含まれています。
武甲山 ぶこうさん、ぶこうざん:標高 1304m 単独 2018.04.20 全 6時間20分 満足度:❀❀❀❀ ホネオレ度:❢❢

4月20日(金)快晴、約50年ぶりに武甲山に登りました。秩父鉄道浦山口駅からの裏参道ピストンです。登山道には種々の山野草が咲いていて、予定時間を大幅に超過しました。山頂から見下ろす採石現場には、トラックが高い位置にまで来ていてびっくり。武甲山は、将来どんな姿になるのでしょうか? 下山後、羊山公園の芝桜の丘に行き、絵のような武甲山を眺め直しました。

段落見出し 浦山口駅から林道橋立線へ

きょうは、私の単独行としては珍しいピストン登山です。発着点は、秩父鉄道の浦山口駅。どうしてもこの駅から歩き、この駅に下りたかったのです。約50年前、吾野駅から伊豆ヶ岳に登った時、武甲山の迫力ある姿を見ました。伊豆ヶ岳だけでは物足りなかった私は、いくつかの峰を越えて、武甲山まで歩きました。その行程は憶えていません。けれども、山頂から浦山口駅に至る裏参道で、美しい渓流に沿った山道を下ったことだけが、深く印象に残りました。

浦山口駅のプラットフォームで三峰口行の電車を見送り、空と山とを見渡しました。そこは、美しい新緑の山々に面した小さな駅。想い描いて来たとおりです。かなり年配の駅員さんと「お早うございます」を交わし、御花畑駅で買った切符を手渡しました。自動改札機のない改札口を通り、右手の坂を下り、橋立鍾乳洞方面に進みます。道端の「道しるべ石」を見て、ここが巡礼古道であることを確認。あたりの空気を味わうように、ゆっくりと坂道を登って行きました。

お地蔵様の角で道なりに左折。道端の花がいやでも目に入ります。これまで何度となく撮った花でも、当地の花は当地の花。美しく装っているのに、知らないふりはできません。道が橋立林道に合わさると、さらに花が増えました。林道は、橋立川の右岸に沿っています。時おり、川原に下りる道がありますが、そのたびに水辺まで行き、キラキラ輝く川面を間近で眺めました。水は岩や石を洗いながら、さらさら流れています。そのよどみのない流れは、昔日のままでした。

段落見出し 山道はさらに心地よく

林道の終点にやって来ました。来る途中で私を追い抜いていった車が留めてあります。車で来れば、駅から歩くのと比べ、往復で2時間程度は歩行時間を短縮できるでしょう。この方法で、武甲山への最楽チン登山が可能かもしれません。ただし、冬場は橋立林道が凍結のため通行止めになるようです。私は駅からここまで1時間で来るつもりでしたが、1時間半も費やしてしまいました。花と緑とせせらぎの美味しい道で、ついつい道草を食ってしまったという訳です。

林道終点で小さな橋を渡り、左岸に付けられた山道に入ります。これより上は、橋立川の源流で○○沢とか呼ぶのかも知れません。瀬音が耳に心地よく、急いで歩いては、もったいないと思うほど。さらに木橋を渡って、再び右岸に移ると、湿地の花が増えてきました。「長者屋敷登山口」と書かれた古い標柱があり、かつてここを直進して武甲山頂に至る道もあったことが分かります。現在使われている登山道は、ここで左折。いよいよ本格的な登りになりました。

さて、裏参道では、ここが唯一の頑張りどころ。斜面自体は急勾配ですが、登山道はジグザグ、しかも荒れていません。日陰でもたくましく咲くタチツボスミレを見て、省エネモードで地道に高度を稼いで行きました。約25分で急登は終了。幅広の明るい尾根に乗りました。地面に桜の花びらが撒かれています。見上げると、背の高いヤマザクラが咲いていました。左(東側)は大好きなカラマツ林、右は濃緑の檜林。種々のすみれが咲き、桜並木もある、すてきな尾根道です。

段落見出し 武甲山は花の名山?

長者屋敷ノ頭と呼ばれる地点にやって来ました。一見すると休憩所のような、発破退避所があります。ここはかつて十字路だった地点で、シラジクボに通じる道はまだ残っていますが、西参道は廃道になった旨の大きな看板が立っていました。看板には昭和61年5月と書いてありますから、32年も前のことです。ここで水分補給しながら一休み。裏参道登山口からちょうど1時間。始めに道草で遅れた時間を、その後も全然挽回できていません。花が多かったからです。

さらに登って行くと、混交林になりました。種々のすみれやカタクリの花、緑鮮やかなバイケイソウなども見られ、なかなかいい雰囲気です。これでは足が進みません。こんな状況に至り、時間を挽回することを諦め、御花畑に行くため乗る電車を1本遅らせることにしました。今、素晴らしい季節に、素晴らしい山に来ているのです。そんな山で過ごす時間はとても貴重な時間。それが1時間増えて、何だか幸せな気持ちになりました。おや、こんにちは、ニリンソウさん!

大持山・子持山からの縦走路に合流しました。そこに記念物のように立つ、古びた1本柱の道標。山頂に向かうと、右から表参道を合わせ、御嶽神社が見えてきました。大きな白木の鳥居をくぐり、オオカミ姿の狛犬の間を抜け、神社裏手の展望所に行きます。高い柵で囲まれた最高地点には行けません。山名標柱の根本に小さな石柱があり、1336-41+9 と刻まれています。計算すると、1304。これが現在の地理院地図にある、武甲山の標高です。ところで、三角点はどこかな?

段落見出し 「癒しのせせらぎ」

さて、残念ながら春霞で遠望は利きません。かつて思い出深い登山をした両神山だけは見たかったのですが、またの機会を待ちましょう。でも俯瞰すると、学習教材になりそうな、独特の眺望があります。その筆頭が、採石現場。武甲山は、北面が山頂まで削られ続けてきました。見下ろすと、当り前でしょうが、かなり標高の高いところに、重機やダンプカーなどが勢ぞろいしていてびっくり。石灰石の採掘は、いつ終わるのでしょうか? もしや、山が無くなった時?

バイケイソウの群落の前で、急いで昼食を取りました。きょうは芝桜の丘にも行きたいので、少し急いで下山します。登って来た道をそのまま下って行くと、またまたきれいな花に捉まりました。登って来たときに見逃した花が、次々と目に入ります。無視することはできません。仕方がないので、林道に下りたらスロージョギングで駆け下ることにします。そう決めて、明るくて気持ちのいい尾根はゆっくり歩き、急斜面のジギザグ道は速足で歩いて行きました。

旧「裏参道登山口」で、水辺に下りました。ざぶざぶ手と顔を洗い、帽子に水を含ませて冠ります。青い空と、渓谷特有のまぶしい新緑。♪山は緑、谷も緑 ...♪ ずっと昔に習った歌が、心のどこかでよみがえってきます。白い花の咲くニリンソウの小群落も、いくつか見られました。これから木橋まで沢の右岸を、木橋から林道終点まで左岸を歩きます。この区間を勝手に「癒しのせせらぎ」と名付けました。50年前よりも短くなったのは、林道が延びたからでしょうか?

段落見出し 芝桜の丘へ

林道終点に下り立つと、車が増えていました。これより浦山口駅まで、スロージョギングで遅れを挽回します。朝歩いた橋立川沿いの林道ですが、傾斜は緩やか、路面は上々なので、風景を見ながら楽しく走れます。体力と時間の余裕を十分に残して、浦山口駅に無事帰還しました。また券売機で切符を買って、単線ホームへ。とそこに、ひらひら舞う白い蝶が2頭。よく見ると、ウスバシロチョウでした。芝桜の丘には、どんな蝶たちが集っているでしょうか?

時刻表通りに来た電車は、隣駅の影森行き。影森駅で待っていた電車に乗り換え、御花畑駅へ。そしてテクシーで羊山公園まで約25分。かなり歩く上に、急な坂もあります。芝桜の丘に着くと、300円の入園券を買って、いよいよ武甲山を望む花壇へ入りました。エジプトの階段ピラミッドのような、いかつい武甲山の雄姿。まさに今が見頃の芝桜。帯のように中景をカバーする緑の森。目障りな電線は一切なし。一幅の絵のような風景とは、こういうのを言うのでしょう。

あたり一面、目の覚めるような色で咲き誇る芝桜ですが、蝶やミツバチがいません。びっしりモコモコの芝桜には、もちろん蜜があります。もしや、殺虫剤? いいえ、膨大な数の花が囮になるので、人はそんなに刺されないはず。時間帯のせい? うーむ。でも武甲山は威厳があり、しかも美しい。武甲山は、秩父の人々の心の山。カラフルな絨毯のような芝桜もよかったですが、私としては1輪のチチブイワザクラも見たかったな。でも素敵な一日でした。きょうも感謝です。

木の葉ライン

↓ 紙芝居



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